【トヨタ ヤリス 新型試乗】スポーティな走りを求めるユーザーにおススメしたい…丸山誠

燃費競争は一人勝ち状態

3気筒エンジンの残念な部分も

重量バランスのよさが光るハイブリッド

トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)
トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)全 13 枚

燃費競争は一人勝ち状態

『ヤリス』ハイブリッドは、新開発の3気筒エンジンに新開発のモーターを組み合わせた新規のハイブリッドシステムを搭載している。

【画像全13枚】

発進時からモーターのトルクを感じさせる力強さがあり、加速はスムーズでなかなか速い。ノーマルの1.5リッターM15A-FKS型エンジンをベースにし、ハイブリッド用のM15A-FXE型はアトキンソンサイクル化することで熱効率をトップクラスに引き上げている。

コンパクトカークラスのハイブリッドの燃費競争は、ほぼ同時にデビューしたホンダ『フィット』が燃費競争とは別の道に進んだため、ヤリスの一人勝ち状態だ。

トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)
ハイブリッドXの燃費は、WLTCモードで36.0km/リットルだからトップクラスなのは間違いない。フィットのベーシックは同モードで29.4km/リットルだからスペック上は大きな差になっている。自動車専門誌やネットの同車の燃費比較を見るとやはりヤリスが一般道から高速道路まで、ほとんどの場面で勝っているが、数値を見るとWLTCモードほど差がつかないこともあるようようだ。

新型コロナにより世界の原油需要が落ち込み、原油の取引価格は大幅な安値を記録している。すでに日本のガソリン価格も安値になっていて、燃料価格を表示している「e燃費」のサイトを見ると原稿執筆時(4月24日)のレギュラーガソリンの最安値は岩手県のリッター113.83円。全国平均でも125.8円。東京都内ではリッター119円という看板をよく見かけるようになった。こうした安値傾向はヤリスには逆風で、フィットには追い風になりそうだ。

3気筒エンジンの残念な部分も

トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)
まあ、いずれにしてもヤリスハイブリッドの燃費性能はトップクラスだが、残念な部分もある。それはエンジン音に雑味感がある点だ。『アクア』や従来の『ヴィッツ』ハイブリッドは4気筒だったが、新型は3気筒になったが振動や吹き上がり感などほとんどの場面でネガティブな感じはない。だが音質がよくない。特に高回転域になるほど雑味感が増すため、ハイブリッドであってもアクセルを深く踏み込むのを躊躇してしまう。期待度が大きい新型パワーユニットだっただけに、とても残念な点だ。

このエンジン音は高回転域だけでなく、巡行時にエンジン由来と思われるこもり音も気になる。一般道でも高速道路でも燃費向上のために積極的に低回転域とEV走行を使い分ける制御を行っているが、高速道路を75km/hほどで巡行するとエンジンを使って走る場面がある。バッテリーの充電状態や外気温、エアコンコンプレッサーのオンオフなど状況によって異なるが、低回転を使うためこもり音が発生してしまうのだ。

このときタコメーターを見ると約1500回転くらいでエンジンが回っている。わずかにアクセルを踏んで回転が上がるとこもり音がなくなり、アクセルを戻せばモーターでEV走行するから気づくことは少ないと思う。だが、高速道路ではこの速度域で巡行することもあるわけだから、ちょっと気になる制御だ。

重量バランスのよさが光るハイブリッド

トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)
後席に座るとレッグスペースが意外に狭い。フィットがフラットで広い後席レッグスペースを実現していることを考えると、ヤリスの弱点といえそうだ。また、後席に座るとサイドウインドーが近く、余計に狭さを感じてしまう。これはヤリスのデザイン的な特徴でもあるリヤを絞り込んだスタイルのためだ。後席の広々感や開放感を重視するとファミリーには、きっとヤリスの後席では物足りないと思う。後席の快適性では、ライバルのフィットが勝っている。

「ハイブリッドZ」は、ノーマルの1.5リッターより前後の重量バランスがいい感じだ。リヤシート下に重い駆動バッテリー(従来と異なりリチウムタイプを新採用)を搭載するためかガソリンのGよりフラットな挙動を示す。だがサスペンションの設定は硬めでジョイントなどの段差を通過すると、それなりのショックが伝わってくる。

だが、コーナリングではヨーロッパ車を寄せ付けないコーナリング性能を見せる。ロー剛性が高く、4輪が路面をとらえている感じが、ドライバーによく伝わってくるため安心感が高い。ステアリングをズバッと切ってコーナーに飛び込むような場面でも、コンパクトスポーツのようなしっかりした操舵感と安定した車両姿勢を見せる。サスペンションの味付けは、乗り心地よりもスポーティさを重視しているようだ。

ハイブリッドでもコンパクトスポーツのようなハンドリングは評価できる。だが、乗り心地や後席の広さを考えるとファミリー向けというより、スポーティな走りを求めるユーザーにおススメしたい。

トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)トヨタ ヤリス(ハイブリッドZ)

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。

《丸山 誠》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. レクサス『NX』ビッグマイナーチェンジはこうなる…新デザイン採用で商品力を大幅強化か
  2. 【シボレー コルベット Z06 新型試乗】ノーマルとは別物、まさに「洗練の極み」…中村孝仁
  3. 三菱『パジェロミニ』を北米投入か? 「ベイビー・パジェロ」は新たな武器になる!
  4. ホンダ『シビックタイプR』受注停止のままモデルチェンジへ、登場は2026年秋か…最終デザイン
  5. アキュラ『インテグラ』の「タイプS」、FF車の新記録を達成…パイクスピーク 2026
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ボルボカーズ、2028年以降の車両にアプティブのGen 8レーダー採用へ…悪天候や複雑な市街地でも高精度センシング
  2. ボッシュ、ヒューマノイド向け需要拡大でロボティクス事業を強化
  3. アステモが執行役員を解任、「職務遂行の適切性に問題」…子会社社長も交代
  4. SDV時代、進化するアフターマーケットの“今”と“未来”が一堂に…「アウトメカニカ フランクフルト 2026」9月8~12日開催
  5. 7/27申込締切 【激変するインド自動車産業】政策転換とEVシフト、クイックコマースが拓く日本企業の勝機
ランキングをもっと見る