パナソニックCFO「今後の生産拡大に向けてテスラからは強いデマンドがある」

パナソニックの梅田博和CFO
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パナソニックは5月18日、2019年度連結決算を発表した。売上高は7兆4906億円(前期比6.4%減)、営業利益は2938億円(同28.6%減)、当期純利益は2257億円(同20.6%減)だった。売上高営業利益率も3.9%と、ソニー(10%)に大きく差をつけられてしまった。

「売上高は事業ポートフォリオ改革、中国での投資需要低迷に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって減収となった。営業利益と純利益は事業構造改革費用などにより減益となった。ただ、フリーキャッシュフローは大幅に改善し、資金は十分な流動性を確保している」と梅田博和CFOは説明する。

セグメント別業績では、アプライアンス、ライフソリューションズ、コネクティッドソリューションズ、オートモーティブ、インダストリアルソリューションズの5部門すべてが減収減益といいところがなかった。その中で、オートモーティブは売上高が前期比3%減の1兆4824億円で、営業損益も前期よりも悪化して466億円の赤字だった。

車載電池の増産投資効果があったものの、市況の減速や新型コロナウイルスの影響、車載機器の製品サイクル移行期による減販を挽回できずに減収となった。営業利益は、円筒形車載電池の北米工場が第3四半期に引き続き、第4四半期も黒字化を達成して収益性を大きく改善したが、角形車載電池の固定費増、欧州充電器の開発費増、のれん減損などで減益となった。

梅田CFOによると、テスラ向けの電池を生産しているギガファクトリーは、2020年3月末に生産能力が32GW/hに達したが、4月はロックダウンのために生産が落ち込んだそうだ。しかし、すでに35GW/hに向けた設備は入っていて、今後は材料のレシピの改善と技術革新の取り組みを行っていく予定だ。

「新型コロナウイルスの影響で立ち上げ事態は遅れているが、2021年度に向けて35GW/hを目指す。今後の生産拡大に向けては、テスラから強いデマンドがあり、協議している段階にある」と梅田CFOは話す。テスラ向け事業はこれからも紆余曲折がありそうだ。

いずれにしても赤字の車載事業を早く黒字化する必要があり、車載機器の開発費抑制や円筒形車載電池の増販、生産性改善といったことで収益改善に取り組んでいくという。しかし、自動車メーカーの稼働状況を考えると、2020年度も車載事業は厳しいのは間違いないだろう。

「新型コロナウイルス感染症の拡大が与える影響の不確実性が高い。今後、連結業績予想を合理的に算定することが可能となった時点で速やかに開示する予定」(梅田CFO)と、今回2020年度の連結業績見通しを公表することを見送った。

《山田清志》

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