【トヨタ ハリアー 新型】「録画機能付きデジタルインナーミラー」を「ドラレコ」と呼ばない理由

新型ハリアーに搭載された「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付」。液晶表示の状態では積載の影響受けない。写真提供:トヨタ自動車
新型ハリアーに搭載された「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付」。液晶表示の状態では積載の影響受けない。写真提供:トヨタ自動車全 8 枚

新型トヨタ『ハリアー』が斬新な機能を満載して登場し、受注が好調のようだ。気になる機能が「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付)」だ。ほぼドライブレコーダー(ドラレコ)のような機能を備えるが、トヨタではそうは呼んでいない。その理由はどこにあるのか。

そもそも「デジタルインナーミラー」は後部に専用のカメラを備え、後方の様子をルームミラー上に映し出せるというものだ。車内に荷物を積んだ状態であっても後方視界を確保できるということでトヨタ車以外でも多くのクルマに採用され始めている。

新型ハリアーではここに前方のカメラを加え、デジタルインナーミラー内のマイクロSDカードにその映像を記録保存できる録画機能を追加装備した。これを工場装着で標準装備したのはトヨタ車として初めてのことだ。海外でもおそらく今までなかったと思う。

前後方のカメラで撮影した映像を記録保存するとなれば、誰もがドラレコを思い浮かべるだろう。しかし、冒頭でも述べたようにトヨタはドラレコとは表記していない。それはなぜなのか。開発担当者に話を聞いてみた。答えてくれたのはトヨタ自動車のコクピット電子システム開発部の木村有伸さん。

新型ハリアーに搭載された「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付)」。動作中は「REC」や「メニュー」が表示できる新型ハリアーに搭載された「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付)」。動作中は「REC」や「メニュー」が表示できる

木村さんによれば、ドラレコと呼ばない理由は以下のようなことがあるという。「ハリアーのデジタルインナーミラーを企画した時点で、車両前後の映像をより高解像度で記録することだけにフォーカスした」そうだ。そうした背景もあり、「音声記録やプレビューができず、駐車時の監視にも対応しなかった。ドラレコのように衝撃を受けたときの映像は別フォルダに保存される機能は備えるものの、その感度は固定となっている」。つまり、この仕様ではトヨタとしてドラレコと呼ぶことはできないと判断したわけだ。

また、カメラの画角も一般的なドラレコよりも狭い。前方は水平で55°、後方は50°しかなく、一般的なドラレコが100°前後以上の画角を備えていることを踏まえると撮影範囲はかなり狭い。この画角に設定した理由については回答が得られなかったが、その効果として「画角が狭くても自分の運転が車線をはみ出していたかどうかを証明できるし、(レンズが広角でないため)前後のクルマをより鮮明に記録できるメリットはある」と話す。

新型ハリアーに搭載された「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付」。鏡面表示の状態。車内の状況の影響を受けていることがわかる。写真提供:トヨタ自動車新型ハリアーに搭載された「デジタルインナーミラー(前後方録画機能付」。鏡面表示の状態。車内の状況の影響を受けていることがわかる。写真提供:トヨタ自動車

一方で木村さんは「画角が狭いことで、直近で左右から突っ込んでくるクルマや歩行者を捕捉することに弱いのは確かだ。しかし、前方ならぶつかる1~2秒前から相手車両を撮影して保存しておけるし、レンズをやや望遠系としたことで相手が遠くにいる時点から鮮明に記録できる」とも話す。確かに一般的なドラレコのように画角が広いと、レンズの特性上ナンバーを読み取れる状況になるには近づいてからでないと難しい。画角を望遠系に振ったことで、新型ハリアーではむしろ相手車両は鮮明に撮影できるメリットが生まれたというわけである。

《会田肇》

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