8月4日に発表された新型スーパーカーのゴードン・マレー『T.50』(Gordon Murray Automotive T.50)は、車体後部に直径400mmの「ファン」(送風機)を装備する。マレー氏がかつて設計したF1マシン、ブラバムBT46B、通称“ファンカー”のアイデアだ。
T.50は先進的なエアロダイナミクス性能を追求している。その例が、車体後部に装着されたファンだ。F1レースから撤退を余儀なくされた“ファンカー”は、44年後、ロードゴーイング・スーパーカーとして再現される。T.50は2022年に発売される予定だ。
1978年、F1スウェーデンGPに登場したブラバムBT46B(エンジンはアルファロメオ)は議論を巻き起こす。車体後部に取り付けられた機器冷却用のファンは、同時に車体床下の気圧を下げ、車両のロードホールディングを向上させていた。ただし車両規定では空力部品の可動部品を禁止していた。ブラバムBT46Bを開発したエンジニアがゴードン・マレーだった。結局、これは規定には反していないとされたが、チームオーナーのバーニー・エクレストンは1戦限りで使用をあきらめた。
ちなみに1978年のスウェーデンGPは、スウェーデンで開催された最後のGPである。
ジョン・ワトソンのブラバム BT46B(1978年、F1スウェーデンGP)なおブラバムBT46Bより8年前の1970年シーズン、北米のCan-Amに参戦するシャパラルが、ファンで積極的にバキュームを作り出してグラウンドエフェクトを利用するマシン、シャパラル「2J」(エンジンはシボレー)を実戦投入していた。こちらも可否でもめたのか、技術的な問題があったのか、めだった戦績は残していない。