ポルシェ ボクスター&ケイマン に6気筒復活、7速PDK初設定…2021年型を欧州発表

7速PDKの加速性能は6速MTを上回る

サーキット仕様の足回り

ダウンフォースは最大50%増加

ポルシェ 718 ケイマン GT4 の7速PDK車
ポルシェ 718 ケイマン GT4 の7速PDK車全 11 枚

ポルシェは9月8日、『718スパイダー』(Porsche 718 Spyder)と『718ケイマンGT4』(Porsche 718 Cayman GT4)の2021年モデルに、7速デュアルクラッチトランスミッションの「PDK」を欧州で設定すると発表した。従来は6速MTだけの設定だった。

ポルシェは2015年春、『ボクスター・スパイダー』を発表した。軽量構造のソフトトップは、電動ではなく部分的に手動で開閉する仕組み。前後バンパーは、『ケイマンGT4』と共通デザインとした。ミッドシップに搭載されるのは、3.8リットル水平対向6気筒ガソリンエンジンで、最大出力375ps。トランスミッションは、6速MTのみ。ボクスター スパイダーは、0~100km/h加速4.5秒、最高速290km/hのパフォーマンスを備えていた。

このボクスター・スパイダーが、最新の『718ボクスター』に設定された。同時に、『718ケイマン』ベースの718ケイマンGT4も登場している。

7速PDKの加速性能は6速MTを上回る

ポルシェ 718 ケイマン GT4ポルシェ 718 ケイマン GT4

現行の718ボクスター、718ケイマンはデビュー当初、4気筒エンジンのみを搭載していた。これに対して、718スパイダーと718ケイマンGT4では、6気筒ボクサーエンジンが復活している。

ミッドシップに搭載されるのは、4.0リットル水平対向6気筒ガソリン自然吸気エンジンだ。新型『911カレラ』シリーズ向けをベースに開発されたこのエンジンは、最大出力420ps/7600rpmを獲得する。旧ボクスター スパイダー、旧ケイマンGT4に対して、それぞれ45ps、35psの強化にあたる。最大トルクは42.8kgmで、5000~6800rpmの範囲で引き出される。低負荷走行時には、シリンダーの一部を休止し、燃費性能を追求している。

ポルシェ 718 スパイダーポルシェ 718 スパイダー

従来からの6速MTの場合、動力性能は0~100km/h加速が4.4秒。最高速は、718スパイダーが301km/h、718ケイマンGT4が304km/hと、300km/hオーバーを可能にする。一方、新設定の7速PDKの場合、0~100km/h加速は3.9秒と、6速MTの4.4秒に対して0.5秒速い。0~200km/h加速も13.4秒と、6速MTよりも0.4秒短縮している。

7速PDK車では、PDKのスポーツボタンを押して、最大のパフォーマンスを発揮するようにプログラムできる。 『911GT3』のデザインを反映したPDKセレクターレバーを採用した。PDKの7速の各ギアは、専用レシオとしている。

ポルシェ 718 スパイダーポルシェ 718 スパイダー

さらに、7速PDK車には、メカニカル・リアディファレンシャル・ロックを備えた「ポルシェ・トルク・ベクタリング(PTV)」を強化した。トラクションモードとオーバーランモードでは、6速MT車よりもロック値を引き上げた。これにより、縦方向と横方向のダイナミクスとトラクションにプラスの効果をもたらすという。

サーキット仕様の足回り

ポルシェ 718 ケイマン GT4ポルシェ 718 ケイマン GT4

足回りには、軽量スプリングストラットのフロントとリアアクスルに、レーシング技術を導入する。シャシーとの接合部分には、ボールジョイントを使用した。車高が30mm低くなる「ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント」が重心を下げ、サーキットでパフォーマスを発揮するチューニングを施した。

「ポルシェ・スタビリティ・マネジメント(PSM)」は、オプションで無効にすることが可能だ。718ケイマンGT4には、「クラブスポーツパッケージ」がオプション設定され、ロールバー、消火器、6点式シートベルトがセットされる。

ポルシェ 718 ケイマン GT4ポルシェ 718 ケイマン GT4

高性能ブレーキシステムには、大型のアルミ製ブレーキキャリパーを採用する。オプションで、カーボンセラミックの「PCCB」が選択できる。 718スパイダーには、ポルシェ独自のウルトラハイパフォーマンス(UHP)タイヤを設定している。

ダウンフォースは最大50%増加

ポルシェ 718 ケイマン GT4ポルシェ 718 ケイマン GT4

718スパイダーと718ケイマンGT4では、専用のエアロパーツを開発し、最大50%増のダウンフォースを獲得する。フロントは、大型フロントリップスポイラーとエアカーテンを装備した。エアカーテンは、フロントタイヤ周辺の空気の流れを最適化する。

リアは、新設計のシングルチャンバーアーチサイレンサーにより、空力性能の新しいディフューザーの装着が可能になった。この新ディフューザーが、718ケイマンGT4の場合、リアのダウンフォースの30%を引き出す。718ケイマンGT4の固定式の大型リアウイングは、旧モデル比で20%多いダウンフォースを獲得。ポルシェによると、200km/hで走行時、12kgの追加ダウンフォースに相当するという。718スパイダーには、120km/hで自動的にせり上がるリアスポイラーを装備している。

ポルシェ 718 スパイダーポルシェ 718 スパイダー

718スパイダーには、軽量のコンバーチブルトップを採用する。このコンバーチブルトップは、『550スパイダー』や『718RS 60スパイダー』など、ポルシェのロードスターの歴史を受け継ぐ。トップは数ステップでトランクリッドの下に収納できる。

《森脇稔》

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