JR北海道が日高本線鵡川-様似間の廃止届を提出…2021年11月1日廃止とするが、4月1日に繰上げの意向

新冠~静内間を行くキハ160形気動車。日高本線用として1997年6月から運行を開始したが、ハイブリッド動力の試験に供与された後、2013年に廃車となった。2000年4月30日。
新冠~静内間を行くキハ160形気動車。日高本線用として1997年6月から運行を開始したが、ハイブリッド動力の試験に供与された後、2013年に廃車となった。2000年4月30日。全 6 枚

JR北海道は10月27日、国土交通省に対して同日付けで日高本線鵡川~様似間116kmの鉄道事業廃止届を提出したことを明らかにした。

10月23日にむかわ町を含む沿線自治体8町とJR北海道が正式に廃止合意の覚書を交わしたことを受けて行なわれた。廃止日を2021年4月1日とする報道があったが、正式には同年11月1日とし、今後、鉄道事業法に基づき国土交通省北海道運輸局が行なう意見聴取の席上で廃止日の繰上げを陳述する予定で、認められれば2021年4月1日に廃止となる。

日高本線鵡川~様似間は、1913年10月に前身の苫小牧軽便鉄道により、現在、富川駅となっている佐瑠太(さるふと)までが最初に開通した。

佐瑠太から先は日高拓殖鉄道の手により延伸し、1924年9月に厚賀まで、1926年12月に静内まで開通。1927年8月には国有化され、その後は1933年12月に日高三石まで、1935年10月に浦河まで開通し、1937年8月には様似まで全通。1943年11月には日高本線に改称した。

国有化に際しては、前身の2私鉄が762mm軌間のナローゲージだったため、1931年11月までに苫小牧~静内間の1067mm改軌が完了している。

全通当時の日高本線は、客車と貨物の混合列車による運行で、全線で5時間程度を要していたが、戦後の1963年6月には札幌直通の優等列車として準急『えりも』が誕生。1966年3月に急行に格上げされ、国鉄最後のダイヤ改正となった1986年11月に廃止されている。また、貨物営業も1984年2月に廃止されており、国鉄末期には本線を名乗りながらも、割増運賃が適用される地方交通線となっていた。

2015年1月には、暴風雪による厚賀(あつが)~大狩部(おおかりべ)間での土砂流出により鵡川~様似間が長期運休状態となり、結果的には、最終列車の運行を待たず災害による廃止という結末となった。

同様の例としては、1968年8月に休止し、1972年5月に廃止された北海道の寿都(すっつ)鉄道(黒松内~寿都)や、2005年9月に全線が不通となり、2007年9月の部分廃止を経て2008年12月に全線が廃止された宮崎県の高千穂鉄道(延岡~高千穂)などがある。最終日に列車が運行されない例としては、5月7日に廃止された札沼線北海道医療大学~新十津川間に続くものとなる。

なお、今後はバス転換など、地域の公共交通のあり方についてさまざまな検討や協議が行なわれる模様だが、鈴木直道北海道知事は10月23日の定例会見で「地域が要望している来年4月からの日高地域における持続可能な交通ネットワークの形成に向けて、情報提供、助言、調整など必要な支援、こちらをしっかりやっていきたい」と述べている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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