自工会 豊田会長「すべてEV化ならピーク発電10~15%増必要」…性急な電動化論に危機感

自工会 豊田章男会長(オンライン懇談の画像)
自工会 豊田章男会長(オンライン懇談の画像)全 4 枚

日本自動車工業会の豊田章男会長は12月17日、オンラインでメディア関係者と懇談し、政府の「2050年カーボンニュートラル」方針に関連して自動車の電動化や純ガソリン車の販売停止などへの見解を示した。

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このなかでハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などによる電動化については、「日本は遅れていると言われることがあるが、(直近の販売では)電動化率は35%であり、ノルウェーの68%に次いで世界第2位だ。(年間販売の)実台数では日本が150万台で、ノルウェーは10万台」と指摘し、比率や規模の面で世界的にも先行しているとの認識を示した。

また、「マスコミ各社は『電動化=EV』と対立させて報道されるが、すべてEVになるとどういうことになるか試算した」とし、その内容を紹介した。試算によると、国内での年間の乗用車販売約400万台がすべてEVになり、保有台数(現状6200万台規模)がすべてEVになると、電力ピーク時の発電能力は現状より10~15%増強する必要があるという。その能力増は原子力発電だと10基、火力発電だと20基程度に相当するとしている。

また、EV化に伴う充電設備については14兆~37兆円のインフラ投資が必要と提示した。さらにEVに搭載するバッテリーの供給能力は現状より約30倍(設備投資額は約2兆円)、EVの完成時に充電する必要電力は1家庭で1週間分の消費分に相当する―などの試算結果にも言及した。

国内外では電動化推進のなかで、HVのように電動機能をもたない純然としたガソリン車の販売は、近い将来に禁止する動きが出ている。日本政府も「2030年代なかば」で検討を進めており、東京都は30年とする方針だ。豊田会長はEVに関する試算のほか、火力発電が主体の日本と原子力発電が中心のフランスとの発電事情の相異なども示し、EVの普及やガソリン車の販売禁止でカーボンニュートラルが実現するという性急な見方に強い危機感を示した。

日本ではコロナ禍の今年、93万人の雇用が減少したが、自動車産業では11万人を増やしたとも指摘。適切な電動化政策を打ち出さないと、「この国で自動車を造って雇用に貢献し、税金を納めるというビジネスモデルが崩壊してしてしまう。自動車産業はそういうギリギリのところに立たされている」と訴えた。

一方で、菅義偉首相が打ち出した2050年カーボンニュートラル方針については、17日の自工会理事会で実現に向け、「全力でチャレンジすることを決定した」と述べた。ただ、同方針は「国家のエネルギー政策の大変革そのもの」でもあり、欧米や中国などと同様に「政策的、財政的支援を要請したい」と語った。

《池原照雄》

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