【ホンダ N-BOX 改良新型】競合ひしめく軽スーパーハイトワゴンクラス、アドバンテージはどこに?

ホンダ N-BOX 改良新型と開発責任者の宮本渉氏
ホンダ N-BOX 改良新型と開発責任者の宮本渉氏全 6 枚

ホンダ『N-BOX』が属する軽自動車スーパーハイトワゴンクラスは、国内でもっとも販売ボリュームのあるマーケットだけにライバルも多く、各車がしのぎを削っている。ライバルを具体的にいえば、ダイハツ『タント』、スズキ『スペーシア』、日産『ルークス』、そして三菱『eKスペース/eKクロススペース』である。

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そんななか、5年連続(2020年も好調だったため、もうすぐ6年連続となる見込み)で販売トップに立っているのが、N-BOXだ。12月24日にマイナーチェンジを受け発表された新型N-BOXの、ライバルに対するアドバンテージはどんな部分にあるのだろうか。開発をまとめた本田技研工業ものづくりセンターの宮本渉氏に尋ねてみた。

「まずは先進安全装備です。ライバルに相当するクルマも先進安全装備を用意していますが、N-BOXはACCまで含めてすべてのグレードに標準装備。グレードで差をつけていないのです。オプションでもなく標準なので、付けると価格がアップすることもありません。安心安全についてはグレードによる差をつけていないので、ベーシックグレードでも安心できるし、グレード選びがしやすいのではないでしょうか」(宮本氏)

確かに、日産ルークスや三菱eKスペース系に備わる「前方衝突予測警報」など、ピンポイントでみるとホンダの先進安全装備パッケージ「ホンダセンシング」よりも優れている機能も他車にはある。ACCの機能も、停止保持を組み込むなどN-BOXよりも高性能なタイプを採用している車種があるのも事実だ。

しかし、ACCや車線維持支援機能を全車に標準装備しているのはこのクラスではN-BOXだけであり、グレード選びのしやすさや「どのグレードを買っても先進機能の水準に差がない」という拘りを感じるのは事実。これが販売現場でユーザーにきちんと伝われば、ライバルに対するアドバンテージとなるだろう。

「あとは走りですね。私もライバルのクルマに乗ってみることがあるのですが、その時に思うのは走りに差があること。排気量は同じ660ccですが(多くの人が選ぶ自然吸気エンジンは)出力に各車ごとに違いがあって、ホンダのクルマがもっとも力強い。運転すると、幹線道路や高速道路では明らかな違いがありますね。N-BOXはキビキビ走るし、同じような加速ならエンジン回転を上げなくて済むから静か。走行性能は他車には負けていません」(宮本氏)

たしかに実際に運転すると、動力性能の違いはN-BOXの強みとして感じられる。記者も2017年にフルモデルチェンジした現行型をはじめて運転したとき、「自然吸気エンジンでこんなに走るのか」と驚いたことを覚えている。そんな高出力や出力特性の最適化には、自然吸気エンジンに搭載されているVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)も効いているだろう。

ちなみに、ライバルの中で後席にセンターアームレストを用意しているのはN-BOXだけだ。これもアドバンテージの一つと言える。

さらに、同車は2017年から18、そして19年と3年連続で、軽自動車の枠を超え小型車/普通車を合わせた販売台数でもトップに輝いている。ここまで高い人気を得ている理由はどこにあるのだろうか?

「技術的な性能やスペックの違いもありますが、私個人としては『Nシリーズ』とか『N-BOX』という名前やブランドが、ここへきて大きく浸透したことがあると思います。ブランドと言っても高級品というわけではなく、買って安心の定番商品という意味。買って間違いのない商品という認識を持ってもらえたということですね。

初代はセンタータンクを使うことでフロアを下げ、エンジンルームを極限まで小さくすることで室内の広さを打ち出しました。それが『こんなに広いの!』というお客様の驚きとなり、『軽自動車が広い』という価値を生み出せたのではないでしょうか。お客様に驚いてもらうほどのそれを、はじめて実現できたクルマだったと思います。しかも、安全性も高かった。それがスーパーハイトワゴンのスタンダードとなり、安心して選んでもらえるブランドへとつながったのではないでしょうか」(宮本氏)

クルマの魅力は、そのクルマのユーザーが何を求めるかで変わってくるものだ。あるクルマは燃費かもしれないし、あるクルマは速さや積載性能かもしれない。そんななか、N-BOXが人気車種となった理由が「広い室内という価値」だったことは確かに納得だ。そのうえで安全性やデザインの良さもあり、多くの人に選ばれるクルマへと成長してきたのだろう。ちなみに現在のN-BOXの顧客は男女比がほぼ半々、年齢層は特定の層に集中するのではなく幅広く分布しているという。

《工藤貴宏》

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