【日産 セレナ オーテック 新型試乗】このオンザレール感を標準車にしてもいい…吉川賢一

セレナオーテックのお薦めは断然「e-POWER」

標準車にしてもいい「オンザレール」フィール

人とは違うミニバンを探している方へ

日産 セレナe-POWER AUTECH SPORTS SPEC
日産 セレナe-POWER AUTECH SPORTS SPEC全 12 枚
◆セレナオーテックのお薦めは断然「e-POWER」

AUTECH(オーテック)がブランド再構築を始めた第一弾が、この『セレナAUTECH(セレナオーテック)』だ。

鮮やかなブルーのボディカラーにメタル調フィニッシュのスポイラーが付いた前後バンパー、サイドシルプロテクター、専用ガンメタ塗装のアルミホイール、インテリアにもブルーとブラックのコンビレザーシート、レザレットインストパッド、専用本革ステアリング、シフトノブ、センタークラスタのエンブレムなど、ベース車とは比べ物にならないほど、トータルコーディネートされている。


今回試乗したのは、2020年8月に追加となった『セレナe-POWER AUTECH SPORTS SPEC』だ。これまでにもセレナオーテックにはe-POWERもあったのだが、SPORTS SPECはS-ハイブリッド仕様のみであったため、今回満を持しての本命e-POWERのSPORTS SPEC採用となった。ちなみにS-ハイブリッド仕様も継続するそうだが、お薦めは断然、e-POWER仕様だ。

◆標準車にしてもいい「オンザレール」フィール

このクルマ、力強くかつ静かなe-POWERと相まって、水面を滑るように絶妙なセッティングがなされたSPORTS SPECの足が実に心地良い。タイヤはベース車の16インチから17インチへとサイズアップされており、ダンパーやスプリングも強化タイプへと変更されているので、本来ならば突起での突き上げは増すはずなのだが、それがほとんど感じられない。


またコーナーでのキビキビ感を狙うのではなく、全車速域で「芯」のある高い直進性を持っている。忖度なしで、ミニバンでこれほどの「オンザレール」フィールを感じたのは初めてかもしれない。通常足のセレナの柔らかいフィーリングも良いが、この足の動きを標準車にしてもいいのではと思ったくらいだ。

その旨を、オーテックの商品開発実験部シニアエキスパートドライバー、高沢仁氏へ伝えると「まさに狙い通り」だという。実際に行ったのは、フロアの剛性補強を追加しボディのねじれを抑制したことで、高いスタビリティを実現。そのうえで、足回りのチューニングを進めたという。足を固めることで、当然インパクトショックは増えるが、車体側でショックをいなす構造が取ることで、乗り心地は悪化しない丁度良いバランスに落とし込むことに成功したそうだ。

◆人とは違うミニバンを探している方へ

懸念があるとすれば、約60万円近く上がる車両価格だが(ベース車のセレナe-POWER ハイウェイスターVは税込358万2700円)、スプリングとダンパーのリセッティング、EPS特性のリセッティング、強化サスリンク、専用コンピュータチューニング、17インチホイール&タイヤ(205/50R17 ミシュランパイロットスポーツ4)、そして少しばかりのオーテックブランド・フィーだと思えば、需要はあるだろう。

人とは違うミニバンを探している方へお薦めしたい一台だ。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

吉川賢一|自動車ジャーナリスト
元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。

《吉川賢一》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  2. 三菱『エクリプス クロス』新型、航続600kmのEVに…ルノーからOEM供給へ
  3. 空冷ポルシェで1台2億円!? マニア垂涎『シンガー911 DLS』とは
  4. ホンダ『ヴェゼル』、新グレード「RS」先行予約開始…10月発売へ
  5. 顔が激変! BMWの最小SUV『X1』改良新型、ノイエクラッセ導入へ…プロトタイプを初スクープ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る