[カーオーディオユニットの選び方]スピーカーの価格帯…価格差が性能差

10万円以下の市販スピーカーの一例(ビーウィズ・Lucent Duo165)。
10万円以下の市販スピーカーの一例(ビーウィズ・Lucent Duo165)。全 3 枚

カーオーディオには“楽しみどころ”がさまざまある。「製品選び」もその1つだ。当連載では、そこのところを満喫していただくためのガイドとなる情報を提供している。まずは、音の出口である重要パーツ、「スピーカー」の選び方を解説している。

【画像全3枚】

スピーカーでは特に、価格差が性能差に直結!?

今回は、「価格帯」について解説していく。カー用のスピーカーは、ピンからキリまである。手頃なところでは1万円を切るモデルもリリースされているその一方で、100万円を超える製品も存在する。

さて、ここまでの価格差が生まれる理由は何なのか。そしてどのくらいの「価格帯」のモデルの中から選べば良いのか…。当回ではそこのところに切り込んでいく。

ところで、大方の工業製品は価格が上がれば上がるほどそのもの自体が大型化する。テレビなどはその良い例だ。画面サイズは価格差を生む大きな要因の1つとなる。クルマでもその傾向があり、ホーム用のスピーカーにもある程度当てはまる。

しかしカー用のスピーカーは基本的にどれも、ボディサイズは大きくは変わらない。ドアに取り付けられる大きさには限度があるからだ。特に口径に関しては17cmクラスのモデルであれば1万円のモデルも100万円のモデルもほぼ同一だ。価格は100倍違っても、質量的にはそこまでの違いは到底現れない。

にもかかわらずこれほどまでの価格差が生まれるのはなぜかと言うと…。ポイントは主には2点ある。「材質」と「精度」、この2つだ。「精度」に関しては細かくはさまざまな要素があるが、高性能であろうとすればするほどこの2要素が際限なく煮詰められていく。

例えば振動板素材には、割と平凡な合成樹脂や合成繊維が使われる場合もあれば高額な希少金属が用いられることもある。スピーカーはその仕組み自体はシンプルなのだが、コストを注ぎ込めば注ぎ込むほど性能を上げていける。そしてそこのところにリミットがない。ゆえに、超高級品が生まれることとなる。そして、掛けたコストはそのまま性能差となって現れる。価格差はダテではないのだ。

10万円以下の市販スピーカーの一例(カロッツェリア・TS-V173S)。

高級品になればなるほど、取り付け費用も高額化する!?

というわけなので、製品選びの際には可能な範囲内でできるだけ高額な製品をターゲットにした方が、高い満足度が得られやすくなる。

ただし、高級品を選ぶ場合には注意点も生じてくる。「高額になるほど、取り付け費用も高額化する可能性が高まる」、このことは頭に入れておくべきだ。例えばミッドウーファーでは高級品になるほど奥行き寸法が長くなる傾向があり、ドアの内張りパネル内に収まらない場合も出てくる。そうであれば内張りパネルを切ってスピーカーの取り付け面をパネル面に出すような方式で取り付けなければならなくなる。ツイーターもしかりだ。埋め込み加工が前提となるケースも増えてくる。そうなると自然と取り付け費用がかさんでくる。

このように、背伸びをし過ぎて高級なモデルに手を伸ばすと、最終的な費用が思いもよらずに肥大化しかねない。なので、ある程度の予算内でスピーカー交換を完了させたいと思うなら、取り付け性の良いモデルの中から選ぶべきだ。

となると、「価格帯」的には「10万円以内」が1つの目安となってくる。概ねその範囲に収まっているモデルは多くの場合、ある程度の取り付け性の高さが確保されていることが多いのだ。より良いモデルを手にした方が良いとはいえ、10万円以下のモデルの中からセレクトすると、トータルの費用もある程度の範囲内に収めやすくなる。

なお、取り付け性の高いモデルを選ぶにしても、取り付け費用がある程度は掛かることは想定しておこう。ホーム用のスピーカーはエンクロージャーと呼ばれる箱にスピーカーユニットが装着された状態で完成形となっていて、その箱にもコストが多く掛けられている。カーにおいては、取り付け作業が「箱を作る作業」となる。当然ながらそこにもコストを掛けないと、スピーカーとしての完成度は落ちてしまう。取り付け費用を抑えられるに越したことはないが、ある程度は必要経費だ。このこともまた、頭に入れておくべきだ。

10万円以下の市販スピーカーの一例(モレル・マキシマス 602)。

低価格帯の製品では、価格差による性能差も一層大きくなる!?

ところで、価格が上がるほど高性能になっていくと説明したが、低価格帯の製品ほどその傾向が如実に現れる。例えば、1万5000円のモデルと3万円のモデルとでは価格は倍違う。倍も違えば最初に説明した「材質」と「精度」の差もそれなりに開いてくる。そして3万円のモデルと6万円のモデルとでもまた、価格差が2倍に開く。1万5000円のモデルとの差は4倍に達し、それだけ違えばその差はサウンドクオリティにも相応に影響してくる。

なので多くのカーオーディオ・プロショップでは、最エントリークラスのモデルがお薦めされることはあまりない。そこから少し背伸びをするだけで、得られる結果が大きく変わってくるからだ。また、手頃なモデルを使っているともう少し良い音を得たくもなってくる。そうして後から上級機に買い替えることとなると、かえって余計にコストが掛かる。

もちろん最エントリークラスのモデルでも、純正スピーカーより高性能であることは確かだ。さらにはもしも純正スピーカーがフルレンジタイプである場合、スピーカーを交換するとツイーターが足されることとなり、そのことだけでも音的な利点を発揮する。なので最エントリーモデルであってもある程度の満足度は必ずや得られる。

しかしそれに対して倍のコストを掛ければ、得られる満足度もそれに呼応して大きくなることもまた事実だ。せっかくスピーカーを交換するのだから、より大きな満足度が得られた方が良いと思うのだが、いかがだろうか。

なお製品選びの際には、なるべく試聴をしたい。価格が上がれば高性能になることは間違いないが、好みの音かどうかはモノによっても変わってくる。「価格帯」を絞り込んだ後には、その中からもっともグッとくるモデルを、試聴して選び出そう。

今回は以上だ。次回もスピーカー選びについての解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

連載「カーオーディオユニットの選び方」詳細解説! Part1「スピーカー編」 その3「価格帯」について

《太田祥三》

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