【アウディ e-tron GT】急速充電対応で充電網も整備…ライバルは?

アウディの新しいブランドアイコン

日本仕様でも90kW以上の充電に対応

ディーラー充電網も整備、グループ協働?

車内で聞こえる走行音、実は…

アウディ e-tron GT
アウディ e-tron GT全 25 枚

アウディ・ジャパンは2月にワールドプレミアされた『e-tron GT』を4月7日より5月31日まで東京・表参道の「Audi House of Progress Tokyo」で一般公開すると発表した。車両は「e-tron GT quattro」と「RS e-tron GT」の2台。

アウディの新しいブランドアイコン

発表にあたってアウディ・ジャパン代表取締役社長 フィリップ・ノアック氏は、「e-tron GTはただのEVではなく、アウディの新しいブランドアイコンになるクルマだ」と紹介する。すでに発売されているe-tronスポーツバッグと同様eクアトロシステムによる安定した走りに加え、93kWh(実使用容量84kWh)の大容量バッテリーを搭載することで、「GT(グランドツーリスモ)」に恥じない長距離ドライブに対応した。

正式な航続距離のスペックは、国交省の認可を待つ必要があるが、現時点で日本の計測方式によるWLTCで500km以上は確保される。前後に2台搭載されるモーター出力は、e-tron GTで350kW。RS e-tron GTで440kWとなっている。ローンチコントロールにより、それぞれの出力は最大390kW、475kWまで高められる。トルクはそれぞれ830Nm。0-100km/h加速は3.3秒だ。

主なスペックと価格帯を見ると、ライバルとして浮かぶのはポルシェ『タイカン』だ。しかし、ノアック氏によると、「『e-tronスポーツバック』でもそうだったが、e-tronは30歳代から歳70代まで幅広い層に受け入れられている。EVユーザーはこれまでのターゲット層の類型とは違うマインドセットを持っている。セカンドカーとしてe-tronを選ぶ人もいた。EVは新規の層を開拓できていると思う」と述べ、特定のライバルは意識していないとする。

ただし、スポーツ性能に寄せたEVとの違いは、日本のWLTCで500km以上、WLTP 488kmというロングレンジと静粛性・乗り心地にあるともコメントした。

日本仕様でも90kW以上の充電に対応

気になる充電性能だが、e-tron GTは日本仕様でも90kW以上の充電に対応するという。EU仕様では150kWに対応しているが、スポーツバックでは国内急速充電器に多かった50kWまでので制御をしていた。e-tron GTでは、国内でも設置が広がっている90kWの充電器にも対応。高出力を生かした効率的な充電が可能になる。

輸入車EVの一部は、国内仕様にするためチャデモ規格にあわせるとき、受入充電能力を50kW以下に制限するものがあり、一部の90kW出力の急速充電器でも、50kW相当での効率でしか充電できないものがあった。e-tron GTでは、高出力充電器のメリットが生かされるはずだ。

ディーラー充電網も整備、グループ協働?

関連してディーラー充電網の整備も進めるという。これから充電器を設置するディーラーには、「将来を考え100kW以上の充電器の導入を推奨し、2023年末から24年にかけては既設50kW急速充電器を150kWにリプレースを推進していく」(ノアック氏)とした。

さらにうれしいのは、詳細未定ながら、国内の充電網についてグループ内での協調路線を検討している(ノアック氏)とのことだ。具体的な社名は何も決まっていないが、ポルシェの150kWチャージャーとの協調を示唆した。EVに積極的でない日本市場において、メーカーやディーラーが充電インフラについてプランやサポートを表明してくれるのは、オーナーや購入検討者にとっては朗報だ。この動きは期待したい。

その他のスペックでは、サスティナビリティを考えた、レザーフリーのシートを用意した。従来からのレザーシートも選べるが、ペットボトルや漁業の網をリサイクルした特殊な生地のシートが設定される。この生地は、さらにリサイクルが可能だといい、文字通りの循環型の環境製品だという。

車内で聞こえる走行音、実は…

車内・車外向けの走行音もこだわっている。通常EVのインバーター音(直流を交流にする高周波スイッチング音)は「キーン」というような高音になりがちだが、e-tron GTは、走行にあわせて低音系の独特な音だ。「ブーン」となるハム音のような音が速度に合わせて鳴る。純粋なインバーターの音ではなく合成音とのことだが、ロングツーリングではこのほうが気にならないかもしれない。音は設定可能だが、低速走行時の走行音を消すことはできない。

フロントバンパーには、カメラ系のセンサーが増設されている。アラウンドビュー用の小型カメラとは別に、大口径のカメラと3Dスキャナ風のドーム型のデバイスがある。その中央には長距離センサーとしてミリ波レーダーが設置されている。緊急ブレーキや車線維持などのADAS機能向けのカメラはフロントシールド中央に設置されているので、この2つのカメラは、夜間、悪天候その他でのセンシングをアシストし制御・認識精度を上げるものと思われる。取り付け位置からすると、駐車車両の影にいる歩行者や自転車などの検知目的の可能性もある。

アウディのホームページによれば、ドーム型のセンサーは360度カメラとなっており、大口径のカメラはナイトビジョンカメラ(暗視カメラ)となっているが、詳細説明がされていない。

e-tron GTは、2021年秋から国内出荷が開始される予定。

《中尾真二》

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