メルセデスAMG SL 開発中、ホワイトボディの写真…単体重量は約270kg

伝説の「ガルウィング」をルーツに持つSL

メルセデスAMGが開発した軽量なアルミ複合シャシー

後席を追加した2+2シートのレイアウト

ボディのねじり剛性は現行型比で18%向上

メルセデスAMG SL のホワイトボディ
メルセデスAMG SL のホワイトボディ全 15 枚

メルセデスベンツは5月19日、『SL』の後継車として開発を進めているメルセデスAMG『SL』(Mercedes-AMG SL)のホワイトボディの写真を公開した。同時に、ボディ剛性を高める新技術も明らかにしている。

伝説の「ガルウィング」をルーツに持つSL

現行メルセデスベンツSLは6世代目モデルだ。2012年1月、米国で開催されたデトロイトモーターショー2012でワールドプレミアされた。すでに、デビューから9年が経過している。

次期型となるメルセデスAMG SLは、メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGが中心となり、全体的な車両開発を進めている。メルセデスAMGによると、次期型はメルセデスベンツの伝説的なSLロードスターのルーツに回帰することを目指しているという。

ダイムラーベンツ(当時)は1952年3月12日、スイスで開催されたジュネーブモーターショーにおいて、新しいレーシングスポーツカー『300SL』(W194)をワールドプレミアした。1952年、このメルセデスベンツ300SLのプロトタイプが、メキシコで開催された「カレラ・パナメリカーナ」に参戦し、総合優勝を成し遂げた。このことが、ガルウィングクーペとロードスターという2種類の量産スポーツカーの開発が始まる契機になったという。

メルセデスベンツは1954年2月、米国で開催されたニューヨーク国際モータースポーツショーにおいて、市販モデルの『300SL』ガルウィングクーペ(W198)を発表した。新開発の格子パイプフレームは、可能な限り最大のねじり剛性での重量の軽さを実現していたものの、従来のようなドアの取り付けは不可能に。その解決策が、上に向かって開く「ガルウィングドア」だった。この300 SLガルウィングクーペは1957年から、オープンボディのロードスター化されている。メルセデスベンツ 300SL(1954年)メルセデスベンツ 300SL(1954年)

メルセデスAMGが開発した軽量なアルミ複合シャシー

メルセデスベンツは1952年、スペースフレーム構造を開発した。これは初代SLで、軽量さと可能な限り最高のねじり剛性を可能にしていた。この構造は、モータースポーツでの使用のために考案され、後に市販モデルに採用された。

次期型の基盤となるのが、メルセデスAMGによって開発されたまったく新しい車両アーキテクチャだ。軽量なアルミ複合シャシーは、正確なドライビングダイナミクス、高い快適性、最適なパッケージング、スポーティなプロポーションを実現する、と自負する。

新しいロードスターアーキテクチャは、アルミ製スペースフレームと自立構造の組み合わせで構成されている。それは、1952年の最初のSLと同様に、新開発された。現行SLや、メルセデスAMG『GTロードスター』から受け継がれたコンポーネントはないという。メルセデスAMG SL のプロトタイプメルセデスAMG SL のプロトタイプ

後席を追加した2+2シートのレイアウト

次期型のボディシェルアーキテクチャに求められる基準は、厳格なものだったという。2シーターの現行型とは異なり、次期型では後席を追加した2+2シートのレイアウトを採用する。また、現行型よりも幅広いパワートレインが用意される。これは、次期型の開発者にとって、複雑さという点で新しい課題を提示したという。

次期型では、アルミやマグネシウム、ファイバーなどの素材を組み合わせることにより、軽量化と剛性を追求している。最適化された素材断面とコンポーネント成形により、快適性や安全性、新しいテクノロジー、ソフトトップのためのスペースが生まれたという。

アンダーボディにはアルミ製スラストパネル、フロントとリアには機能統合ストラットが採用された。マグネシウム製のインストルメントパネルの支持部は、ガラス繊維とカーボンの混合物を含む繊維複合素材で作られた。フロントガラスのフレームは、高強度の熱間成形管状鋼で作られた。これは、後席の後ろのポップアップ式ロールバーと組み合わせて、万一の横転時に乗員を保護するシステムとして機能する。メルセデスベンツ SL現行メルセデスベンツ SL現行

ボディのねじり剛性は現行型比で18%向上

鋳造アルミ製部品は、大きな力を伝達する必要がある部分に使用された。現行型と比較して、ボディシェル構造のねじり剛性は18%向上した。横方向の剛性はAMGGTロードスターよりも50%高く、縦方向の剛性は40%高い。ドア、ボンネット、トランクリッドなどを除いたホワイトボディの単体重量は、約270kgに抑えられている。

MIG溶接、レーザー溶接、パンチリベット留め、ブラインドリベット留め、MIGはんだ付け、接着シーム、フローホールボルトなどの最新の接合技術や正確な工具製作により、ボディシェルの剛性が引き上げられた。

品質に関する高い要件にもかかわらず、次期SLの開発は記録的なペースで進んでいるという。事前開発は3か月で完了。デジタル開発に用いられる最新ソフトウェアにより、シャシーのプロトタイプがなくても、先行して工具を製造することができたという。

なお、メルセデスAMG SLの生産は、現行型と同じく、ドイツ・ブレーメン工場で行う、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  3. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  4. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る