シトロエン、1956年製トラクシオン・アヴァンで南北アメリカ縦断 7月から女性冒険家2人組

トラクシオン・アヴァンは前輪駆動を意味

エンジンなどの駆動系をフロントに集中させることでバリエーションの開発を容易に

1954年にハイドロニューマチックサスペンションを採用

アラスカから「パンアメリカンハイウェイ」を南下してアルゼンチンを目指す

シトロエン・トラクシオン・アヴァンの11B(1956年製)
シトロエン・トラクシオン・アヴァンの11B(1956年製)全 9 枚

シトロエン(Citroen)は5月28日、ブランド初の量産FF車の『トラクシオン・アヴァン』が7月から、南北アメリカ14か国、4万kmの縦断ツアー「テラ・アメリカ」を行うと発表した。

写真:シトロエン・トラクシオン・アヴァン

トラクシオン・アヴァンは前輪駆動を意味

シトロエンは1934年4月、最初のトラクシオン・アヴァンの『7CV』を発表した。シトロエンを創業したアンドレ・シトロエンが、1935年に亡くなる直前に、送り出した1台だ。トラクシオンは駆動力(トラクション)を意味し、アヴァンは前を意味する。

トラクシオン・アヴァンは、デザイナーのフラミニオ・ベルトーニによってデザインされ、エンジニアのアンドレ・ルフェーブルによって開発された。このモデルは、当時最も車高が低く、空力性能に優れており、自動車業界初となる革新的な技術を数多く搭載していた。

とくにデザイン面においても技術面においても、当時の自動車の常識を打ち破ることとなった「前輪駆動」という特長から、トラクシオン・アヴァンと呼ばれ、親しまれた。

エンジンなどの駆動系をフロントに集中させることでバリエーションの開発を容易に

また、トラクシオン・アヴァンは世界初のモノコックシャシー(単体構造)を持つ量産車であり、トーションバー付きの独立式フロントサスペンションと4輪油圧ブレーキも備えていた。ユニット化されたオールスチール製ボディ、取り外し可能なシリンダーライナーも採用していた。これらの特長により、運転の楽しさと安全性を次のステージへと押し上げることに成功した、と自負する。

トラクシオン・アヴァンは、ボディサイズが全長4450mm。車両重量は900kgに抑えられ、OHV式フローティングパワーエンジンによって、最高速100km/hの性能を備えていた。

1934年のパリモーターショーでは、トラクシオン・アヴァンのバリエーションとして、『11CV』が発表された。トラクシオン・アヴァンの基本モデルとなる7CVのボディをベースにしながら、全長は200mm、全幅は140mm大型化。最大出力46hpのエンジンに3速トランスミッションを組み合わせ、最高速106km/hの性能を可能にしていた。

1938年には、トラクシオン・アヴァンのファミリーに、新たに『15Six』が加わった。室内は広々として快適で、最高速は135km/hに引き上げられた。運転しやすい15Sixは、その優れたロードホールディング性能によって、「オートルートの女王」と呼ばれるようになった。トラクシオン・アヴァンは、エンジンなどの駆動系をフロントに集中させることで、全長やホイールベースの異なるバリエーションの開発を容易にしていた。

1954年にハイドロニューマチックサスペンションを採用

さらにシトロエンは1952年、顧客の要望に応えるべく、トラクシオン・アヴァンに、積載スペースを2倍に拡大するリアトランクエクステンションを追加した。

また、トラクシオン・アヴァンの15Sixには1954年、リアにハイドロニューマチックサスペンションを採用し、快適性を向上させた。車高を一定に保つハイドロニューマチックサスペンション画期的な技術であり、シトロエンの設計部門が開発を手がけた。

シトロエンは1955年、23年にわたって販売し続けた15Sixの生産を終了した。そして1957年、トラクシオン・アヴァンの生産も終了している。長い歴史の中でトラクシオン・アヴァンはさまざまなバージョンが生産され、1957年の生産終了時には、累計生産台数はおよそ76万台に到達していた。

アラスカから「パンアメリカンハイウェイ」を南下してアルゼンチンを目指す

シトロエンは、このブランド初の量産FF車のトラクシオン・アヴァンを使って、7月から南北アメリカ14か国、4万kmの縦断ツアー「テラ・アメリカ」を行う。使用されるトラクシオン・アヴァンは、1956年製の 『11B』だ。2人の女性冒険家が、アラスカを出発し、世界最長の道路「パンアメリカンハイウェイ」を南下して、アルゼンチン南端のウシュアイアを目指す。

5月26日、フランス・パリでテラ・アメリカの出発イベントが開催された。最初のステージは北米で、2021年7~9月に走破する予定だ。次のステージは中南米。ラテンアメリカは2022年1~5月、南米は 2022年10月から 2023年1月にかけて、縦断する予定だ。

車載ナビゲーションシステムのおかげで、ルートをリアルタイムで追跡することが可能に。衛星中継によって、地図上で車両の進行状況をライブで追跡し、定期的に送信される写真や映像によって、これまでにない没入感のある遠征体験を楽しむことができる、としている。

《森脇稔》

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