[カーオーディオ用語解説2021]スピーカー編 第2回

「マルチウェイスピーカー」の「ミッドウーファー」一例(シンフォニ/クワトロリゴ・エロイコシリーズ)。
「マルチウェイスピーカー」の「ミッドウーファー」一例(シンフォニ/クワトロリゴ・エロイコシリーズ)。全 3 枚

カーオーディオに興味を持ちいろいろと調べてみると、専門用語が頻出する。結果、それらが難解で馴染めず調べるのを止めた…、なんて経験を持つドライバーは少なくないようだ。当連載では、そのように感じる人を少しでも減らすべく、専門用語の意味を解説している。

【画像全3枚】

「マルチウェイスピーカー」、そして「2ウェイ」、「3ウェイ」とは?

まずはスピーカーに関連する用語を説明している。その第2回目となる当回では最初に、「マルチウェイスピーカー」について解説していこうと思う。

ところで前回「フルレンジスピーカー」という言葉の意味を説明したが、「マルチウェイスピーカー」はその対義語だ。「フルレンジスピーカー」は、1つのスピーカーユニットだけで高音から低音までの全帯域を鳴らし切ろうとするものだが、「マルチウェイスピーカー」は、複数のスピーカーユニットを使って全帯域を再生しようとするスピーカーのことを指す。

でその中で、全帯域の再生を2つのスピーカーユニットで行おうとするものは「セパレート2ウェイスピーカー」と呼ばれ、3つのスピーカーユニットでそれを行おうとするものは「セパレート3ウェイスピーカー」と呼ばれている。

ところで、なぜに「マルチウェイスピーカー」が存在しているのかというと、理由は以下のとおりだ。本来ならば1つのスピーカーユニットだけで高音から低音までをスムーズに再生できればそれに越したことがないのだが、実際それは簡単ではない。なぜなら、スピーカーは振動板の口径が小さくなればなるほど高音再生がしやすくなり、振動板の口径が大きくなればなるほど低音を再生しやすくなる。なので、口径の異なるスピーカーユニットを用意してそれぞれに得意な仕事だけに専念させた方が(役割分担させた方が)、より効率的にそしてスムーズに全帯域を鳴らせる、というわけなのだ。

なのでカー用の市販スピーカーの中には本当の意味での「フルレンジスピーカー」はほとんどなく、「フルレンジスピーカー」と呼ばれているものも実際は中低音の再生を担当するスピーカーの同軸上に高音再生用のスピーカーが取り付けられていて、それ以外は「セパレート2ウェイ」または「セパレート3ウェイ」である場合がほとんどだ。

「セパレート2ウェイスピーカー」の一例(モレル・マキシマス602)。

「2ウェイ」の方がスタンダード。「3ウェイ」は上級者向き!

ちなみにカーオーディオでは、「2ウェイ」と「3ウェイ」とを比べた場合には「2ウェイ」が使われることの方が圧倒的に多い。その答はズバリ、「2ウェイ」の方が導入のハードルが低いからだ。「3ウェイ」はスピーカーの数が増える分取り付けコストが多くかかり、システムも大掛かりになりがちだ。そしてサウンド制御の難易度も上がる。なので「3ウェイ」は“上級者向き”のアイテムという色彩が濃い。ただし、それらハードルを乗り越えられると、より良い結果が得られる可能性も高まる。

さて続いては、「マルチウェイスピーカー」で使われるそれぞれのユニットについて説明していく。まず「2ウェイスピーカー」においての高音を再生するユニットのことは、「ツイーター」と呼ばれている。なおこの名称は、鳥のさえずりが語源だ。

そして中低音を再生するスピーカーのことは「ミッドウーファー」と呼ばれることが多い。この「ウーファー」とは、大型犬やオオカミ、またはライオンやトラなどの唸り声が語源となっている。ちなみに“ミッド”を外して「ウーファー」と呼ばれることもあるが、カーオーディオでは超低音を再生するスピーカーユニットである「サブウーファー」が使われることが多く、これと差別化するべく“ミッド”を付けて呼ばれることが多い。

また「ミッドバス」とか「ミッドベース」と呼ばれることもある。これらはともに、再生する(担当する)帯域がスピーカーユニットの名称として使用されたパターンだ。そしてさらには、「ウーファー」を省いて「ミッド」と呼ばれることもある。

「セパレート3ウェイスピーカー」の一例(フォーカル・ES 165 KX3)。

中音を再生するスピーカーは、「スコーカー」、もしくは「ミッドレンジ」と呼ばれている

そして「3ウェイスピーカー」では、「ツイーター」と「ミッドウーファー」に中音再生用のスピーカーユニットが足されるわけだが、そのスピーカーユニットは「スコーカー」と呼ばれている。これは、ネズミやリス、またはカラスの鳴き声が語源だ。なお、再生する帯域が中音であることから「ミッドレンジ」と呼ばれることも多い。

ところで、超低音を再生するスピーカーユニットである「サブウーファー」の“サブ”という言葉には実は、ふたとおりの意味がある。1つは「下の」という意味で、例えばサブマリン(潜水艦)やサブウェイ(地下鉄)の“サブ”はその意味を持つ。そしてもう1つが「補助の」とか「副の」という意味だ。例えば「サブタイトル」とか「サブリーダー」という言葉に使われる“サブ”は、その意味を表している。

で「サブウーファー」の“サブ”は、どちらかといえば「下の」という意味合いの方が強い。「ミッドウーファー」が再生する音よりも低い帯域を担当するスピーカーだからだ。ちなみに、「ツイーター」が再生する帯域よりもさらに高い音を再生するスピーカーのことは「スーパーツイーター」と呼ばれている。この“スーパー”は、まさしく「下の」という意味である“サブ”の対義語だ。つまりこの“スーパー”という言葉は、「上の」という意味で使われている。

とはいえカーオーディオで使われる「サブウーファー」は、「ミッドウーファー」が再生する低音を「補助する」役割も担っている。というわけで「サブウーファー」の“サブ”には、「下の」という意味と「補助する」という意味の両方が含まれている、というわけなのだ。

今回は以上だ。次回もスピーカーに関連するワードの解説を続行する。乞うご期待。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 1・スピーカー編 第2回

《太田祥三》

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