「ベルランゴ」ヒットの理由は? 国産ミニバン&SUVからの乗り換え需要も

シトロエン ベルランゴ
シトロエン ベルランゴ全 12 枚

2019年に限定のファーストエディションが数時間で売り切れ、昨年よりカタログモデル化されて日本でもヒットモデルとなったシトロエン『ベルランゴ』。ルノー『カングー』が独占していたフレンチ・ユーティリティ・バンとして存在感は増すばかり。

【画像全12枚】

本国でも「バカンス・エクスプレス」の気が強い一台で、日本のオーナーも大半がファミリーカーとして購入していることが予想されるが、PSAジャパンでシトロエンのブランドマネージャーを務める中山領氏に聞いてみたところ、意外な事実が発覚した。

「ベルランゴ」ヒットの理由は

シトロエン ベルランゴシトロエン ベルランゴ
「じつは従来もシトロエンに乗られていた方は15%のみで、新規顧客が85%。うち半分弱、つまり全体のほぼ4割は国産車からの乗り換えなんです」

セカンドまたはサードカーという増車ケースも15%ほどで、シトロエンtoシトロエン(・ベルランゴ)の乗り換えでは、先立つヒット作である『C3』の1回目車検に伴うケースが多いとか。だが圧倒的に目立って多いのは、年齢層的には40代前半、国産ミニバンや国産SUVとの比較検討・乗り換え組だとか。中山氏は具体的な車種名には踏み込まないものの、それこそ『ノア/ヴォクシー』に『セレナ』に『ステップワゴン』、『シエンタ』に『フリード』といった辺りですか? と尋ねると否定しない。

「国産車から乗り換えてくださった方がベルランゴに見い出しているのは、モノスペースの車型や積載性は元より、“個性的なデザイン”と“スライドドア”なんですよ。こだわりはあるけど、クルマよりアクティヴィティ重視層という雰囲気です」

シトロエン ベルランゴシトロエン ベルランゴ
いかにも国産車なアクの強いデザインが苦手な、小さな子供のいる家庭のファーストカー需要が、圧倒的に多いのだ。

「私がいうのも妙ですが、シトロエンといえば“ヘン○イさん、いらっしゃい”だった頃は、すっかり過去で、そのぐらい普通のクルマとして選択肢に挙がるようになったんですね…」

そうしみじみ、中山氏は締め括る。

カングーからの乗り換え、実は少ない?

ルノー カングー リミテッド ディーゼルMTルノー カングー リミテッド ディーゼルMT
ちなみに同じくフレンチ・リュドスパスの雄、ルノー・カングーからの乗り換えは、ゼロではないけど、巷でいわれるほど多くはないそうで、むしろイメージと現実の乖離を強く感じるところなのだとか。

「ベルランゴはソリッド系のボディカラーが人気で、道具感を求めらている感じです。でも本国のデザインの意向で徐々にメタリック系にバリエーションが絞られていまして、中古市場も下がりづらいスパイラルが生まれつつあります。そこへきて街中でも頻繁に見かけるモデルになったため、指名買いの来店客も増えているんです。ベルランゴがシトロエンのすべてではありませんが、裾野が広がっていることは素晴らしいこと」

加えて1.5リットルのクリーンディーゼルなので75%減税対象のベルランゴは、自動車税が年間1万円を軽々と割るレベル。燃費のよさ、足の長さはいうまでもない。人と違う個性的な選択肢でありながら、実用面でも維持費面でも欲張る、そんなユーザー像が浮かんでくる。

SUVでも従来のステーションワゴンでもなく、単なる「お洒落」だけではない理由で、フランス車は想像以上にコモディティ化しているのだ。

シトロエン ベルランゴシトロエン ベルランゴ

《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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