【INDYCAR 第12戦】ウィル・パワーが今季初優勝、佐藤琢磨10位…王座戦線では首位パロウにオワードが接近

“インディ・ロードコース”での第12戦、ウィル・パワーが今季初優勝を飾った。
“インディ・ロードコース”での第12戦、ウィル・パワーが今季初優勝を飾った。全 8 枚

NTTインディカー・シリーズ第12戦の決勝レースが現地14日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースであり、ウィル・パワーが今季初優勝を飾った。佐藤琢磨は10位。このレースの結果、タイトル争いがもつれこむ気配を見せてきている。

8月の3連戦、その真ん中の第12戦は今季2度目となるインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(米インディアナ州)のロードコースを舞台にした戦いだ。第5戦以来の“インディ・ロードコース”戦でポールポジションを獲得したのは、ドライバーズポイントランキング3位のパトリシオ・オワード(#5 Arrow McLaren SP/シボレー)。今回の予選ではポイントランキンク1位のアレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)が6位、ランキング2位のスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)は26位となっているため、オワードとしてはこの好機を活かしたいところ。

ドライコンディションでの決勝85周レースは、前週のナッシュビル市街地戦とはうってかわってフルコースコーションが終盤まで出ない平穏な展開で進む。ただ、ポール発進のオワードがすんなり勝つ流れにはならず、3回のピットストップが基本戦略となるなか、オワードは自身最初のピットストップ後、予選2位だったウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)にコース上でパスされてしまい、実質首位の座から陥落。

抜いたパワーはそのままレースを掌握し、一時は後続に差を縮められる局面もあったが、今季初優勝を飾った。シリーズ王座獲得歴があり、インディ500の優勝経験もあるベテラン、これでインディカー通算40勝目とのことである。パワーは「僕のクルーたちはシーズンを通じて常に、本当に良くやってくれている。ただ、不運があったり、自分のミスがあったりした。我々には勝利が必要だったんだ」と、待望の今季初勝利に安堵したような意を語り、陣営に感謝していた。

決勝2位はロマン・グロージャン(#51 Dale Coyne Racing with RWR/ホンダ)。昨季までF1のハースでレギュラードライバーを務めていた“新人”グロージャン、これで今季のインディ・ロードコース戦は2戦とも決勝2位である(2位は現時点での彼のインディカー最高位)。3位には前戦で速さを結果につなげることができず、実に悔しい思いをしたコルトン・ハータ(#26 Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian/ホンダ)が入った。4位はアレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ)。

さて、ポール発進のオワードはこのレースを最終的に5位で終えた。王座争いにおけるチャンスを活かせたとは言い難い結果と思われるところだが、ポイントランキングでは3位から2位に上がり、ランキング首位パロウとの点差を48から21へと詰めている。インディカーの通常レースは優勝50点(他にボーナスあり)なので、情勢は一気に緊迫してきたといえそうだ。

レース後半、パロウがオワードをコース上で抜くシーンがあり、終盤はパロウが前という戦況だった。つまりポイント差は広がる可能性が高かったのだ。ところが残り18周となった68周目、4番手パロウのマシンが白煙らしきものを吹いてトラブルストップしてしまう。この日は終盤に2回のフルコースコーションがあったのだが、その1回目の原因がこれだった。

第12戦は28台と出走が多く、しかも戦線離脱するマシンが少なかったため、パロウは27位というリザルトになった。“全車ポイント獲得”が基本のインディカーだが、決勝25位以下では5点しか稼げない。決勝5位のオワードがポール獲得や首位走行によるボーナスも込みで今回32点をゲットしたため、両者のポイント差は48から21へとグッと接近したのである。

ランキング2位だったディクソンは今回決勝17位に終わり、オワードに抜かれてランキング3位に後退した。ランキング上位は、1位パロウ:415点/2位オワード:394点/3位ディクソン:381点という形勢に変化し、ホンダのパロウ対シボレーのオワードという若手対決がヒートアップしそうな気配が出てきた。パロウの僚友、大先輩である6冠王ディクソンを含めて残り4戦、王座争いはどう展開していくのか(今季は現状で全16レースの予定)。

首位パロウが足踏みしたことで、ランキング4位以降にも可能性が広がったと見るべきかもしれない。目下のランキング4位はジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)で360点、同5位はマーカス・エリクソン(#8 Chip Ganassi Racing/ホンダ)の353点、このあたりまではチャンスあり、だろうか(今回のレース、ニューガーデンは決勝8位、エリクソンは同9位)。

佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は今回、2グループに分かれての予選第1段階でグループ8位となり、計12台が争う第2段階(今回の最終予選)には進めず予選総合順位は16位。ニューガーデンがエンジン交換に関する6ポジション降格ペナルティを受けることが決まっていたため、15番手からの決勝スタートとなった。

波乱少ないレース展開のなかでもジワジワと浮上した琢磨は終盤、8番手を走っていた。しかしながら残り2周というところでニューガーデンに当てられながらパスされる格好になり、ここでエリクソンにも先行されてしまい10番手に後退。そのまま10位でのフィニッシュとなった。

#30 佐藤琢磨のコメント
「レースの終盤に8番手まで上がっていました。ニューガーデンとの激しいバトルになり、自分がターン1でインサイドを守ったところ、そこへ入ろうとした彼がぶつかってきて、こちらは芝生に(はみ出すところまで)押し出されてしまいました。残念ながら、そのコースオフによって2つポジションを落としました」

「チームは確かな仕事をしてくれたと思っています。8位でゴールしたかったところですが、また次のレースで頑張ります。今シーズン最後のオーバルレースは、“たくさんの素晴らしい思い出があるショートオーバル”での開催ですからね」

次戦第13戦はイリノイ州マディソンの「World Wide Technology Raceway」にて、現地8月21日決勝のスケジュールで開催される予定。琢磨にとっては(コメントにもあるように)2019年に優勝を経験し、2レース開催された昨季もその1戦目で決勝2位となるなどしている“高実績コース”での戦いになる。

《遠藤俊幸》

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