【INDYCAR 第13戦】ニューガーデンが今季2勝目、佐藤琢磨6位…タイトル争いではオワードが首位に浮上

ジョセフ・ニューガーデンが今季2勝目を飾った。
ジョセフ・ニューガーデンが今季2勝目を飾った。全 8 枚

NTTインディカー・シリーズ第13戦の決勝レースが現地21日、米イリノイ州のワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイにて実施され、ジョセフ・ニューガーデンが今季2勝目をあげた。佐藤琢磨は6位。王座戦線の方は風雲急を告げる展開となっている。

8月の3週連続開催、3週目のシリーズ第13戦は今季最後のオーバルコース戦となる「ワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイ」(WWTR)での戦いである。WWTRの所在地は米イリノイ州マディソンと記されるが、商圏的に属するセントルイス(ミズーリ州)、あるいはゲートウェイなどとも通称されるショートオーバルだ(ゲートウェイはかつてのコース名称にも含まれたりしていたワードで、セントルイスの有名建造物ゲートウェイアーチにちなむと思われる)。

今回のレースウイーク、インディカーに関しては土曜にのみ公式走行セッションがある1デー形式となっている。参戦は24台。予選では前戦優勝者のウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)がポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は予選17位だったが、他車の降格ペナルティにより16番手からの決勝ローリングスタート参加となる。

さて、その降格ペナルティだが、エンジン交換に関するもので予選前から適用が決まっていた。そしてこれを受けるのは、前戦でマシントラブルのためにストップしたポイントリーダー、アレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)である。パロウは予選12位となったので、9グリッドダウン、与えられたグリッドは21番だ。2戦前にも同種の6グリッドダウンがあるなど、試練が続いているパロウ。WWTRでの決勝レースをどう戦うか。

19番グリッドのジェームズ・ヒンチクリフ(#29 Andretti Steinbrenner Autosport/ホンダ)がスタート隊列にはいない状態で260周の戦いが始まった(ヒンチクリフもレースには参加)。レースは荒れる。特に序盤が荒れた展開となり、レース中に計6回あったフルコースコーションのうち5回が序盤のものであった。

なかでもチャンピオン争いに重大な影響を及ぼしたのが、4回目のコーション明けのリスタート時、すぐに5回目のコーションを出すことになったアクシデントだ。リナス・ビーケイ(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)を中心とする格好の瞬間的な交錯連鎖が起き、ここで名門ガナッシの2台、しかもポイントリーダーのパロウとランキング3位のスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)がともにレースを(実質的に)失うこととなったのである。

パロウはそこで戦線離脱となり、リザルトは20位。ピットに戻れたディクソンは長い時間をかけてマシンを修復、大きく遅れながらもコース復帰を果たすが結局はストップしている。リザルトは19位(周回数的に大きなビハインドがあったので、これ以上周回しても、もう順位は上がらない、という判断が働いたのかもしれない)。

パロウは前戦でランキング2位に上がってきたパトリシオ・オワード(#5 Arrow McLaren SP/シボレー)に21点差と迫られていたので、オワードの今回成績次第ではランキング首位交代の可能性が出てきた。

このレースを制したのはジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)。最後は2番手を僅差で振り切ってゴールし、3戦ぶりの今季2勝目をマークした。ニューガーデンは前戦終了時ポイントランキング4位だったが、ディクソンを抜いて3位に浮上することとなっている。

そしてニューガーデンの背後で決勝2位に入ったのがオワードである。オワードはパロウを逆転し、ポイントリーダーの座に立った。この2戦でチャンピオン争いはその様相を大きく変えたのであった。

第13戦を終えてのドライバーズポイントランキング上位5人は以下の通り。トップ5が60点差の圏内で、ランキング6位は首位から111点差なので、残り3戦、ほぼ5人の争いと見ていいだろう(インディカーの通常レースは優勝50点、他にボーナスあり。また、参戦すればポイントが0ということは基本的にない)。

#5 オワード(シボレー)435点
#10 パロウ(ホンダ)425点
#2 ニューガーデン(シボレー)413点
#9 ディクソン(ホンダ)392点
#8 エリクソン(ホンダ)375点

(マーカス・エリクソン=#8 Chip Ganassi Racing/ホンダは今回、決勝9位)

特にトップ3は混戦接戦といってよさそうな状態で、しかも3人とも違うチームの所属。この3者の争いが激化していきそうな予感が漂ってきた。

今回のレースの決勝3位は、ポール発進だったパワー。4位はスコット・マクロクリン(#3 Team Penske/シボレー)、5位にはセバスチャン・ブルデー(#14 A.J.Foyt Enterprises/シボレー)が入っており、5位までをシボレー勢が独占した。

そして6位がホンダ勢最上位の琢磨。スタート位置からは10ポジションアップでのフィニッシュとなった。だが、今回は優勝の可能性もあったように思われる。

次第にポジションを上げていた琢磨は終盤、6回目のフルコースコーションが出た際にはブルデーの後ろ2番手につけていた。ここでステイアウトしていれば、最終となるリスタートをトップで迎えていたはずである。しかし、前のピットストップ時に燃料がしっかり入っていなかったという問題があったため、ブルデーに続いてピットへ。ステイアウトしたニューガーデンらが前に行き、琢磨は6番手に下がってのリスタートとなった。そしてそのまま6位でゴールしている。

過去2年、このWWTRではインディカー・シリーズが計3レース実施されているが、琢磨とRahal Letterman Lanigan Racing(RLLR)の組み合わせは優勝、決勝2位、ポールポジションを1回ずつ記録していた。得意コースで待望の今季初優勝とはならなかったが、琢磨は今回の6位、決勝巻き返しの内容をポジティブにとらえているようだ。

#30 佐藤琢磨のコメント
「セントルイス(WWTR)は我々が大好きなコースのひとつで、非常に良い成績をこれまでに残してきています。今回は予選でのマシンがあまり良くなかったのですが、レースでは徐々にポジションを上げていくことができました。しかし、残念なことにピットストップで給油ホースに問題が発生し、もう一度ピットして燃料を継ぎ足さなければなりませんでした。それがなければ、本当に力強いフィニッシュを実現できていたと思います。それでも、今回のトップ6フィニッシュはチーム全体にとっていいものだったと考えています」

現段階で今季のインディカーは残り3戦、9月の3連戦でクライマックスを迎えることになる。次戦第14戦はポートランド・インターナショナル・レースウェイ(米オレゴン州)が舞台。ここも琢磨&RLLRにとっては優勝経験コースであり、今度こそ今季1勝目を実現してほしいところだ。9月12日決勝の日程で開催が予定されている。

なお、昨季までF1にレギュラー参戦していたロマン・グロージャン(#51 Dale Coyne Racing with RWR/ホンダ)、今季はインディカーのロード/市街地コース戦を主戦場にしている“新人”だが、今回のWWTRでオーバルコース戦に初出走し、決勝14位となっている。

《遠藤俊幸》

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