「最上級セダン」は生き残ることができるか? アウディ『A8』が“集大成の”マイナーチェンジ

アウディ A8L
アウディ A8L全 17 枚

10月末日、アウディAGはオンラインのクローズド枠で限られたメディアに対し、フラッグシップセダン『A8』のマイナーチェンジ版を披露した。

【画像全17枚】

1994年の初代はアルミニウムの軽量ボディ構造にクワトロAWDを組み合わせ、2002年の2代目はLEDテクノロジーやW12エンジンを、2010年の3世代目はバルブリフト制御にハイブリッドを、2017年の4世代目はOLEDランプを採用するなど、つねに歴代A8は最先端テクノロジーをまとってきた。

そのA8も次世代フラッグシップの座を「グランド・スフィア・コンセプト」の市販バージョンに譲るであろうことを思えば、時代の流れを感じざるをえないが、今回のマイナーチェンジは通算で57万台、現行世代で8万6000台を積み上げてきたA8の集大成ともいえる。

中国市場専用のロングバージョン「A8Lホルヒ」も

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だが昨今、上から下までSUVのラインナップが出揃い、欧州Fセグメントつまりハイエンドのサルーンは相対的に影が薄くなりつつある。標準ボディでも全長5m超、ロングボディのショーファードリヴン版ならさらに約20cmほど長い。そういうサイズ感で、ドイツ御三家以外にも、アメリカからキャデラック、日本ならレクサスといった各メーカーの旗艦モデルが鎬を削ってきた。EVの台頭やグローバル市場のロジックは変化しつつも、全体ボリュームの中で無視できない中国のような巨大市場では、それでもサルーンの人気は高い。

ショーファードリヴン仕様であるロングバージョンの『A8L』は各国に供給されるが、今や60%以上が中国市場で販売されている事実を受け、新たに中国市場専用のロングバージョンとして「A8Lホルヒ」が登場する。これは全長5.45mと通常のA8Lよりさらに長いボディが与えられ、巨大なパノラミックルーフやツートンカラーも選べる仕様だ。パワートレインはV6・3リットルのTFSIのみ。現地ではメルセデスマイバッハ『Sクラス』と競合すると見られる。

アウディ A8L ホルヒアウディ A8L ホルヒ
その一方で、もっともスポーティな『S8』のパワートレイン、48VのMHEVと組み合わされたV8・4リットルツインターボの571ps・800Nmと、0-100km/h加速で3.8秒というパフォーマンスは維持された。だが今回、マイナーチェンジされたA8の成熟市場におけるハイライトは、従来のV8ツインターボの「60 TFSI」を置き換えるであろう、V6・3リットルのハイブリッド「60 TSI-e」が加わること。そしてオプションで21インチホイールも選べるSライン・パッケージが、A8として初めて登場することだ。

よりインパクトを、よりプレステージ感を

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今回のマイナーチェンジによってフロントマスクは、よりインパクトあるデザインに変更された。シングルフレームグリルが幅を広げただけでなくグリル内のモチーフが、水平バーから3Dの細かなクローム・エレメントをチェーンのようにちりばめ、よりモダンで個性的、かつプレステージ感を強めたのだ。

ライト・シグネイチャー自体も見直されており、マトリクスLEDヘッドライトは100万ピクセルで構成されるデジタルLEDマトリクスライトへと進化。道路状況によりきめ細かく対応し、ドライビング・セーフティに資することはいうまでもない。このヘッドライトのカタチ自体、下部中央にフックラインのある意匠に一新されている。またエアインテーク形状も、フォグランプを囲むクロームモールがより広く力強く、改められている。

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リアのデジタルOLEDライトも変更が加えられており、真一文字のクロームインサートで左右を結ぶ意匠は受け継ぎつつ、内部のライトセクションがパーソナライズ可能になったとか。マフラーエンドを囲むクロームは面積も張り出しを増しているが、リアバンパーからボディサイド、フロントバンパーへ繋がるクロームのラインは保たれている。

「ヘイ、アウディ」で起動する音声認識に、レベル2+の運転支援

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マイナーチェンジしたA8のエクステリアは、かくしてプレステージ・エレガントな方向性を再確認、強調する。とはいえ、Sラインはよりスポーティなグリルやエアインテークを採用し、アルミニウム仕上げのドアミラー、あるいはインテリアについてもエンボス入りの専用シートが奢られる。

ロングボディでも通常ボディでも、インテリア全体の意匠はキープコンセプトだが、ディナミカなどエコ素材への変更、マトリクスLEDのアンビアンスライトの採用によって、より落ち着いた雰囲気を醸し出す。10.1インチのメーターパネルと8.6インチのタッチスクリーンにも変更はないものの、eSIMによる接続環境が確保され、「ヘイ、アウディ」で起動する音声認識機能などインフォテイメントは一新される。

リアシートには温感調整付きマッサージ機能も加わる。またADAS関連の搭載機能は40種類以上を数え、レベル2+の運転支援環境が整えられる見込みだ。

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《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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