トラックなのに自宅でくつろぐようなキャビン空間…ボルボトラック FH・FMXをモデルチェンジ

FH
FH全 41 枚

ボルボトラックの日本国内主力中型トラックである『FH』・『FMX』がモデルチェンジされた。2021年のモデルの主な変更点は待望のリジッドモデルが追加されたことだ。他にもいくつかの変更点がある。

【画像全41枚】

ボルボトラック:FH/FMXモデルチェンジボルボトラック:FH/FMXモデルチェンジ

ボルボトラックはスウェーデンで1927年に創業されたベアリングメーカーを前身とする。創業翌年の1928年には自動車の製造販売も開始している。EUを中心に中型・大型トラックをグローバルで展開しているが、欧米ではこのクラスのトラックの多くがトラクターヘッドがトレーラーを牽引するタイプだ。日本は大型トラックでも、荷台や架装が運転席と一体になったリジッドタイプが多い。

モデルチェンジでは、FHに シャシー全長約11メートルの「カーゴ」タイプが追加された。駆動輪方式は、6×2(6輪のうち後ろ1軸2輪駆動)と6×4(6輪のうち後ろ2軸4輪駆動)だ。他にもエアサスのバリエーションが増え、トラクター、カーゴともにフルエアサスのモデルが設定された。エアサスのトレーラーと組み合わせることで精密機器の大型・大量輸送への用途が広がる。

トラクターについては、従来の6×4よりショートホイールベース(3.8メートル)の4×2(4輪のうち後ろ1軸2輪駆動)も追加された。

外装では、LEDヘッドライトとヘッドマークの大型化が図られた。LEDヘッドライトは自動でハイビーム・ロービームを切り替えてくれる機能(アダプティブ・ハイビーム機能)がついた。そしてサイドミラーのフレームが欧州モデルと同じ形になった。従来モデルはミラーの支柱がパイプフレームだったが、樹脂カバーのついたタイプに変更されている。鏡面サイズも大きくなり視界確保がよくなっている。

ミラー下のカメラミラー下のカメラパッセンジャーコーナーカメラの画像パッセンジャーコーナーカメラの画像

左ミラーフレーム根本には広角カメラが取り付けられている。画像はコックピットの9インチサイドディスプレイに表示される。巻き込み防止や側方の死角対策のためのカメラだが、視野角が前方・真横にも広がっている。ウィンカーをだせば左側はおよそ2車線分の状況がカメラで確認できる。カメラ以外にも左後方に向けたセンサーもあり、バイクや自転車などを検知すればアラートを出してくれる。

ボルボのダイナミックステアリング(VDS)は一般道、高速道路などのモード設定だけでなく、好みの制御に設定できるパーソナルセッティングに対応した。VDSは、路面の凹凸などによるステアリングのキックバックを打ち消したり、セルフアライメントトルク(ハンドルが自然に直進状態に戻る力)を調整したりする。ドライバーは、ギャップでハンドルがとられてクルマがふらつくといったストレスから解放される。VDSの設定が、オーディオのイコライザーのようなスライダーでカスタマイズできるようになった。

FMXはダンプなどの架装を意識した構内専用車両。新型はFHとキャビン部分を共通となり、静粛性、居住性、機密性が向上した。駆動輪タイプは6×4と8×4の2種類だ。許容軸荷重が38トンまで拡大され、トータルの積載量を約20%増やすことができる。VDSも標準搭載となった。工事現場のような不整地こそVDSの良さが際立つので、FMXにVDS標準搭載の効果は大きい。

FMXFMX

エンジンは13LのDK13Kが搭載される。最大出力は460hp、最大トルク2300Nmの水冷直列6気筒ディーゼルターボエンジン(インタークーラー付き)だ。FH 6×4には540hp、2600Nmのタイプも用意される。トランスミッションは12速電子制御自動トランスミッション(I-シフト)。540hpエンジン車は、デュアルクラッチシステムにより非常になめらかなギアチェンジを実現する。

エンジン・トランスミッションに大きな変更はないが、ボルボトラックは一貫して、大排気量にこだわっている。他社がダウンサイジングの流れで7L、8Lのエンジンに置き換えているが、ボルボは13Lのままだ。その理由は、大型トラックの場合、高速道路の上り勾配や山道、あるいはフルロード輸送では、パワーの余裕が結局、燃費や環境負荷を減らすという考え方を採用しているからだ。なによりドライバーのストレスを低減できる。

最後に細かいところだが、FHのコックピットにはUSB充電ポートが3つ用意され、オプションで冷蔵庫を2台装着できる。座席後ろの折り畳みベッドは適度な堅さだ。エンジンをかけずにエアコンやヒーターを使えるI-パーククール、I-パーキングヒーターも装備できる。また、最上位オプションを装備すると、助手席を90度回転させキャビン内で運転席脇に設置したテレビを見ることができる。運転中でも休憩中でもドライバーは自宅のようにくつろげる居住性を狙っている。

助手席が回転する。運転席側面上部にテレビをオプションでつけることができる助手席が回転する。運転席側面上部にテレビをオプションでつけることができるFHFH

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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