首都圏に列車制御自動化の波…山手線や京浜東北線などのワンマン化も視野に

JR東日本の営業列車として3月から初めて自動運転が開始された常磐緩行線のE233系2000番台。
JR東日本の営業列車として3月から初めて自動運転が開始された常磐緩行線のE233系2000番台。全 5 枚

JR東日本は12月7日、首都圏における無線式列車制御装置(ATACS)の導入や自動列車運転装置(ATO)の導入・高性能化計画を発表した。

ATACS(=Advanced Train Administration and Communications System)は、従来のレールの電流により列車の在線を検知する軌道回路方式に代わって、列車と地上との間で無線交信を行ない列車を制御するもので、自動列車停止装置(ATS=Automatic Train Stop)や自動列車制御装置(ATC=Automatic Train Control)などの保安装置列車の内包し、列車間隔に応じて速度をコントロールすることができる。軌道検知方式では信号機やケーブルなど多数の地上設備が必要となるが、ATACSは信号機すらなく、きわめてシンプルなシステムとなる。

従来の列車制御と無線式列車制御(ATACS)の比較。従来の列車制御と無線式列車制御(ATACS)の比較。

現在、JR東日本では仙石線あおば通~東塩釜間と埼京線池袋~大宮間に導入されており、小海線(小諸~小淵沢)ではATACSを応用した無線式列車制御方式が導入されている。

ATO(=Automatic Train Operation)は、2018年12月~2019年1月に山手線で試験が行なわれており、2021年3月に常磐緩行線綾瀬~取手間に導入されているが、ATACSを導入することで高性能化される計画で、東京圏輸送管理システム(ATOS=Autonomous decentralized Transport Operation control System)との連携により線区ごとに効率的な運行を実現し、将来的には一部のモノレール路線に導入されている添乗員が乗務するGoA3レベルの自動運転を目指すとしている。

国土交通省の「鉄道における自動運転検討会」で示されている自動運転のレベル定義。JR東日本が目指す自動運転は、異常時に対応する添乗員が先頭部以外に乗務するGoA3。国土交通省の「鉄道における自動運転検討会」で示されている自動運転のレベル定義。JR東日本が目指す自動運転は、異常時に対応する添乗員が先頭部以外に乗務するGoA3。

これにより、2025~2030年頃には山手線と京浜東北線にもATOが導入される計画で、同時にこの両線を含む根岸・南武・横浜・常磐緩行などの各線をワンマン化。そのための車両改造工事や駅設備工事が進められる。

その後の2028~2031年頃には山手線と京浜東北線大宮~東神奈川間にATACSが導入され、ATOの高性能化が図られる。

ATOやATACSの導入、ATO高性能化、ワンマン化の計画スケジュールと対象線区。ATOやATACSの導入、ATO高性能化、ワンマン化の計画スケジュールと対象線区。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  3. トヨタの顧客は1億5000万台…バリューチェーンで財務基盤強化
  4. BMW、カーボン素材を天然繊維複合素材に置き換え、量産車に採用へ
  5. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  5. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
ランキングをもっと見る