“元凶”への対処から…デッドニング[サウンドユニット セッティング法]

「吸音材」の一例(フェリソニ・C-1)。
「吸音材」の一例(フェリソニ・C-1)。全 6 枚

カーオーディオ製品の取り付け作業においての決まり事や注意事項を紐解くことで、カーオーディオの奥深さや面白さを伝えていこうと試みている当連載。前回は「デッドニング」とは何かを説明した。それに引き続き今回からは、これの作業内容を紹介していく。

なお「デッドニング」は、理論やセオリーが諸説ある。なのでこれから説明する内容は、絶対的なものではない。一般論として言われている事項を紹介していくが、細かな考え方ややり方はショップごとで変化する。

さて、「デッドニング」とは前回の記事の中で説明したとおり、クルマのドア内部の音響的なコンディションを上げ、ドアをスピーカーへと作り替えていく作業だ。つまりドア内部で起こり得るさまざまな問題が、発生しにくいようにしていくわけだ。

ちなみに、ドアの中で起こる問題には“元凶”がある。それはズバリ、「背圧(はいあつ)」だ。「背圧」とは、スピーカーユニットの裏側から放たれる音エネルギーのことを指す。これがドアの中で、あるいはドアの外側に漏れたり伝わったりして悪さをしでかす。

なので「デッドニング」ではまず、この“元凶”の影響がもっとも大きく及ぶ場所への作業が行われることが多い。その場所とは、スピーカーの奥側の鉄板だ。ここに対策用の部材が貼られることとなる。

用いられることが多い部材は3つある。「吸音材」「拡散材」「制振材」、これらだ。

「吸音材」とはスポンジ状になった部材で、これをスピーカーの奥側の鉄板に貼り、「背圧」を吸収することが目指される。要は「背圧」のエネルギーを小さくしようとするのだ。そして「拡散材」とは軽く堅いコルクのような素材等でできていて、表面が凸凹している。これをスピーカーの奥の鉄板に貼ると「背圧」のエネルギーを散らせるので、「背圧」がスピーカーに跳ね返りにくくなる。

というのも「背圧」がスピーカーへと跳ね返ると、スピーカーの振動板にぶつかり振動板の動きを阻害する。「拡散材」は、そのストレスを緩和する効果を発揮する。なお「吸音材」もまた、「背圧」の跳ね返りを少なくする役目も担う。

そして「制振材」とは、ブチルゴムやアスファルト系の素材がアルミシートに貼り付けられてできていて、これをスピーカーの奥側の鉄板に張ることで鉄板の共振の抑制が図られる。鉄板も、振動すれば少なからず音を発する。その音が、スピーカーの表側から放たれる音を濁す。しかし「制振材」を貼れば、鉄板が鳴るのを抑制できる。

今回は以上だ。次回は、この後に行われる作業内容について説明する。お楽しみに。

“元凶”への対処が、「デッドニング」の1stステップ! サウンドユニットの「セッティング法」を大研究! 第2章「スピーカー編」その5

《太田祥三》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  3. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  4. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る