【ルノー アルカナ 新型試乗】F1のエッセンスが注入されたルノー初のSUVクーペとは?上陸は来春か

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ルノー アルカナ
ルノー アルカナ全 27 枚

今年3月に欧州での受注を開始したルノー初のSUVクーペであるアルカナが、来年春に日本に上陸する予定だ。しかもルノーの電動化技術E-TECHの一翼を担うハイブリッドシステムを搭載してくるという。

発売に先駆け、日本仕様の先行生産車に特設コースで試乗するとともに、デザイナーやエンジニアにオンラインでインタビューできたので、紹介していきたい。

初のSUVクーペとは思えないほど完成された姿

ルノー アルカナルノー アルカナ

ルノーがSUVクーペを作ろうと思った理由は、プレミアムブランドの市場に食い込んでいきたいからだという。今年1月に発表された新戦略「ルノールーション(Renaulution)」では、ルカ・デ・メオCEOが「ボリュームからバリューへ」の転換を掲げている。その具現化としての1台と言える。

アルカナはCセグメントに属するが、プラットフォームはルーテシアやキャプチャーと同じCMF-Bを使う。同じCセグメントのメガーヌ用より軽量であるうえに世代が新しく、ADAS対応などに長けているというのが理由だ。

ルノー アルカナルノー アルカナ

欧州仕様のホイールベースは2720mm、ボディサイズは4568×1821×1576mmで、同じフランス生まれのSUVプジョー3008と比べると全長とホイールベースは長く、全幅はやや狭く、全高は低い。

実車に対面するとまず、ルーフからリアスポイラーまで滑らかな曲線でつなげたきれいなルーフラインが印象に残る。同じCセグメントのメガーヌを思わせるワイドなフロントマスク、リアフェンダーの豊かな張り出しもスタイリングに溶け込んでいて、初のSUVクーペとは思えないほど完成された姿だった。

日本へ導入される見込みはR.S.ライン

ルノー アルカナ インストゥルメントパネルルノー アルカナ インストゥルメントパネル

デザイナーは、グレードごとの差別化にも留意したとのこと。たしかに今回試乗した、日本に導入される見込みのR.S.ラインは、フロントにF1タイプのエアインテークブレードを内蔵し、ホイールは赤いアクセントの入った専用デザインとして、精悍さが際立っていた。

インテリアはキャプチャーとの共通部分もあるが、こちらもR.S.ラインということで、インパネにはカーボン調パネルや赤いラインを入れ、シートは細かいドットの入ったレザーとスエード・ライク・フィニッシュ(本国呼称)のコンビという、メガーヌR.S.に近い装いだ。

ルノー アルカナ セカンドシートルノー アルカナ セカンドシート

デザイナーは、クーペでありながらキャビンの広さにこだわったとも話していた。後席に乗り込むとそれを実感した。座面の高さは適切なのに、身長170cmの筆者ならルーフに頭が触れることはなく、足元にも余裕がある。480リッターの容積を持つラゲッジスペースも奥行きがたっぷりしていた。

ルノー アルカナ ラゲッジスペースルノー アルカナ ラゲッジスペース

1エンジン2モーター、ドッグクラッチのトランスミッション...ここにもF1のエッセンスが

ルノー アルカナ 1.6リッター直列4気筒エンジンルノー アルカナ 1.6リッター直列4気筒エンジン

カナのもうひとつのアピールポイントであるハイブリッドシステムは、1.6リッター直列4気筒エンジンに2つのモーターを組み合わせ、エンジンは4速、メインモーターは2速のトランスミッションを持つ。それぞれにニュートラルもあるので、合わせて15通りの変速モードが実現できる。

ルノー アルカナルノー アルカナ

開発には2014年からハイブリッドを投入していたF1のエンジニアも関わっている。ゆえに1エンジン2モーター、ドッグクラッチを用いたトランスミッションという内容になったそうで、制御のソフトウェアもF1から提供されたとのことだ。

一部の記事ではルノー日産三菱アライアンスで構造部品を共用するとあったが、実際はエンジンが日産製であるだけで、それ以外はルノーが開発したものだ。

ルノー アルカナルノー アルカナ

発進はモーターのみで、途中からエンジンが始動するというマナーは他の多くのハイブリッドカーと共通。アクセルから足を離すとエンジンが停止して回生が始まり、ブレーキを踏むと回生が強まることも同様だ。欧州仕様の車両重量1435kgに対し、システムでの最高出力は143psなので、加速に不満はない。

ただしフィーリングは、多くの人が抱くハイブリッドカーのイメージとかなり違う。加速時のエンジンの吹け上がりはリニアで、右足を緩めると変速が行われ回転が落ちるなど、デュアルクラッチトランスミッションに近い小気味良さなのだ。

ルノー アルカナルノー アルカナ

ガソリン車と同じマイセンス/スポーツ/エコの3つのドライブモードもあり、短距離ながらモーターのみで走行するボタンも用意されるが、持ち味を発揮するのはスポーツモード。レスポンスが鋭くなるだけでなく、減速時にもエンジンを回して次の加速に備えるなど、走り好きの気持ちをわかったマナーだった。

電動化なんて…と思っている人にこそ、試してほしい

ルノー アルカナルノー アルカナ

SUVとしては全高が低めなのに対しホイールベースは長く、トレッドは広めなので、乗り心地はCセグメントにふさわしい落ち着きがあり、身のこなしに腰高感はなく、ハッチバックのルーテシアやメガーヌに近い感覚でコーナーをクリアしていけた。クーペにふさわしい走りだ。

欧州のモード燃費は20.8km/Lと、ボディサイズが近いハイブリッドSUVであるトヨタ・ハリアーのWLTCモードに近い。しかもその乗り味は、私たちがハイブリッドカーに抱く先入観をいい意味で打ち破っていた。電動化なんて…と思っている人にこそ、試してほしい1台だと思った。

アルカナをもっと詳しく知りたい方はこちら

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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