JR東日本が輸送密度2000人未満線区を公表…陸羽東線・鳴子温泉-最上間の営業係数は2万超え

陸羽東線鳴子温泉~中山平温泉間の鳴子峡を行くキハ110系。同区間を含む鳴子温泉~最上間は2019年度実績で営業係数が8760だったが、コロナ禍の2020年度は観光客が激減したせいか、2万2149と3倍近くも悪化している。
陸羽東線鳴子温泉~中山平温泉間の鳴子峡を行くキハ110系。同区間を含む鳴子温泉~最上間は2019年度実績で営業係数が8760だったが、コロナ禍の2020年度は観光客が激減したせいか、2万2149と3倍近くも悪化している。全 5 枚

JR東日本は7月28日、「ご利用の少ない線区」の経営状況を開示した。

[図:1日あたりの輸送密度が2000人未満だった線区]

対象は2019年度に輸送密度が2000人/日未満となった66線区で、これらの2019・2020年度実績が開示されているが、2022年10月に上下分離方式で再開する只見線会津川口~只見間と、上越新幹線の車両が乗り入れる上越線越後湯沢~ガーラ湯沢間は除かれている。

2019年度の輸送密度については以前からJR東日本のウェブサイトで公表されているが、今回の開示では、収支、営業係数、収支率のデータも加えられている。

JR東日本が公表した2019年度時点で1日あたりの輸送密度が2000人未満だった線区。JR東日本が公表した2019年度時点で1日あたりの輸送密度が2000人未満だった線区。

線区の大半は東北地方や上信越地方に分布しているが、このうち、国土交通省の「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」で示された輸送密度1000人/日未満の線区は2019年度で48線区となっており、2020年度はさらに6線区増えている。このなかには、奥羽・羽越・中央といった本線級も含まれている。

羽越本線の車内。日本海を望む村上~鶴岡間は2019年度の輸送密度が1000人を超えていたが、2020年度は600人台に転落した。2020年1月1日。羽越本線の車内。日本海を望む村上~鶴岡間は2019年度の輸送密度が1000人を超えていたが、2020年度は600人台に転落した。2020年1月1日。

このうち2019年度で最も少ない線区は花輪線荒屋新町~鹿角花輪(かづのはなわ)間で78人(2020年度は60人)。JR東日本の発足初年度となる1987年度と2019年度との増減率も91%と最も高い結果となっている(915→78)。

鹿角花輪駅に停車している花輪線のキハ110系普通列車。荒屋新町~鹿角花輪間は岩手県と秋田県の県境を越えることもあり、JR東日本では2019年度で最も輸送密度が低かった。鹿角花輪駅に停車している花輪線のキハ110系普通列車。荒屋新町~鹿角花輪間は岩手県と秋田県の県境を越えることもあり、JR東日本では2019年度で最も輸送密度が低かった。

また、100円を稼ぐために要する費用を示す営業係数では、2019年度で久留里線久留里~上総亀山間と花輪線荒屋新町~鹿角花輪間が1万超えとなっている。

しかし、コロナ禍の2020年度になると、飯山線戸狩野沢温泉~津南(つなん)間、磐越西線野沢~津川間、陸羽東線鳴子温泉~最上間も加わっており、とくに陸羽東線鳴子温泉~最上間はJR西日本芸備線東城(とうじょう)~備後落合間の2019年度における輸送密度(2万6906)に匹敵する2万2149に。輸送密度も花輪線荒屋新町~鹿角花輪間以下の41と最少になっている。

久留里線の終点・上総亀山駅。首都圏に近い線区では同線の久留里~上総亀山間の輸送密度が極端に低く、2019年度は85人、2020年度は62人。木更津~久留里間は1000人を超えているだけに、同じ路線でも極端な差がある。久留里線の終点・上総亀山駅。首都圏に近い線区では同線の久留里~上総亀山間の輸送密度が極端に低く、2019年度は85人、2020年度は62人。木更津~久留里間は1000人を超えているだけに、同じ路線でも極端な差がある。

JR東日本では、今回挙げた線区について「当社としても重要な経営課題として認識しております」としており、持続可能な交通体系について「建設的な議論」をするために、今回の公表に至ったという。


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《佐藤正樹》

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