【ヤマハ Xフォース】前後ホイールで1.6kg減、スクーターでも「めちゃくちゃ頑張った」ハンドリング

ヤマハ Xフォース
ヤマハ Xフォース全 25 枚

ヤマハから登場した155ccの新型スクーター『X FORCE ABS』(Xフォース)の開発者インタビュー第2弾。前編では、そのコンセプトやデザインに関する情報をお届けしたが、後編となる今回は、そのパフォーマンスに迫っていく。

「めちゃくちゃ頑張った」というハンドリングのヤマハ Xフォース

【インタビュー参加メンバー】
望月 幹:プロジェクトリーダー 主管 CV開発部SC設計G
柳原祐輝:カテゴリープロジェクトリーダー グローバルブランディング統括部コミューターG
勝山祐紀:SC-PT設計G 主事
藤原雅司:第1PT実験部SC-PT実験G 主事
宇都宮理沙:グローバルブランディング統括部コミューターG
逵 由典:車両実験部ブレーキG主務

『NMAX155』や『マジェスティS』との違いは

ヤマハ NMAX155ヤマハ NMAX155

----:ヤマハはXフォースと同じクラスに『NMAX155』や『マジェスティS』といったモデルを用意しており、価格に決定的な差があるわけではありません。ユーザーは、なにを基準にXフォースを選べばいいでしょう?

望月:NMAX155と比較した時の一番の違いは、乗車時に足を置くフロア部分にセンタートンネルがあるか、フラットになっているかです。街中での乗降性など、日常的な利便性ではXフォースに分があると思います。

----:マジェスティSは、Xフォースと同じフラットタイプですね。

望月:マジェスティSはリアのモノサスペンションとロングホイールベース(マジェスティS:1405mm/Xフォース:1340mm)が特徴です。車体サイズにゆとりがあり、乗り味もゆったりとマイルド。これに対して、きびきびとした運動性や車体の軽さ(マジェスティS:145kg/Xフォース:130kg)を優先するお客様にはXフォースがおすすめとなります。

ヤマハ Xフォースヤマハ Xフォース

----:なるほど。分かりやすい指標です。エンジンは、155ccの水冷4ストローク単気筒が搭載されています。スペックを見たところ、NMAX155と同じユニットですか?

勝山:NMAX155とは基本的に同じで、マジェスティSとの比較では、VVA(可変バルブ機構)の他、スマートモータージェネレーターの採用によってエンジン始動時の静粛性が向上している点が異なります。VVAは6000rpmを境にカムのリフト量が切り換わり、中高速域の伸びやかな吹け上がりが大きな魅力のひとつになっています。

----:基本的に、ということは多少異なる部分もありますか?

SC-PT設計G 主事 勝山祐紀氏のこだわりはエンジンSC-PT設計G 主事 勝山祐紀氏のこだわりはエンジン

勝山:駆動系を見直し、減速比を変更しています。わずかな差ではありますが、加速方向にリセッティングして、Xフォースのキャラクターに見合う特性になっています。

藤原:これに関しては、テストコースでかなり時間を割きました。加速感だけでなく、サウンド面でもスポーティさを感じて頂けるように排気系も変更しました。具体的にはマフラーのテールパイプ径を調整し、発進加速や低速走行時にトルクを感じられる音質にチューニングしています。音量を大きくすることなく、心地いいサウンドを達成できました。

前後ホイールで1.6kg減、「めちゃくちゃ頑張った」ハンドリング

----:足まわりはいかがですか?

望月:こだわりはホイールですね。特に4輪的な重厚感を持つマジェスティSからは一転して、見た目にも軽快な6本スポークへデザインを刷新し、重量の大幅な削減にも成功しています。

----:数値ではどれくらいの軽量化ですか?

柳原:フロントで1.4kg、リアで0.2kgの計1.6kgのマイナスです。これによるハンドリングの向上は大きく、めちゃくちゃ頑張った部分です。

ヤマハ Xフォースのプロジェクトリーダー、望月 幹氏。こだわりはホイールとハンドリング。ヤマハ Xフォースのプロジェクトリーダー、望月 幹氏。こだわりはホイールとハンドリング。

----:前後13インチのホイール径で、その数値はまったく別ものですね。ハンドリングの向上は、どのような場面で感じられるものでしょう?

逵:自由度の高いライディングポジションとの相乗効果で、交差点を曲がるだけでも俊敏なレスポンスを味わって頂けますし、スラロームもヒラヒラと軽快にこなせるはずです。そうやって積極的な操作でも乗り心地や一体感を損なわないよう、シートの材質や表皮にも気を配っています。

スポーツもできる幅広さがXフォースの魅力

ヤマハ Xフォースヤマハ Xフォース

----:フレームに関するエピソードがあれば教えてください。

望月:大部分は『シグナス グリファス』と共有しています。ただし、排気量に差がありますから(シグナスグリファスは124cc)、しなやかさと剛性のバランスを考慮して各部をグレードップしています。

柳原:ホイールと同様、フレームもなるべく軽量化できるように努めました。単に部材を追加して強度や剛性を引き上げるのは簡単ですが、ブラケットひとつとっても機能を集約し、重量増を最小限に抑えられるように作り込んでいます。このクラスのスクーターとしては最軽量の一台になっていますから、エキサイティングな走りをご体感いただけると思います。

----:このクラスになると、フラットフロアと剛性の両立は難しいものなのでしょうか?

望月:センタートンネルを設けていいのなら、縦剛性もねじれ剛性も確保しやすいのは事実ですが、形状や素材の見直し、テンションバーの追加といった細かい調整によってバランスをとっています。

グローバルブランディング統括部コミューターG 柳原祐輝氏グローバルブランディング統括部コミューターG 柳原祐輝氏

逵:実走チームと設計チームが協力し、加振実験を繰り返しながら何度もフレームを作り直しました。結果、タンデムツーリングに使って頂いてもなんら不足のない車体になっています。トラクションコントロールや前後独立式ABS、大径のウェーブディスクといった装備も含め、レベルの高いスポーツ性を堪能して頂けるのではないでしょうか。

----:スマートフォンとの連携機能も備わっていますね。

宇都宮:専用のアプリ「ヤマハ・モーターサイクル・コネクト」をインストールすることによって、お持ちのスマートフォンとのペアリングが可能です。電話やメールの着信通知、メンテナンス時期やエンジン回転数などの車両情報、駐車位置の確認といった様々な機能を備えていますから、ぜひご活用ください。

----:アフターマーケットではカスタムパーツもどんどん増えているようですね。コミューターとしてだけでなく、スポーツもできる幅広さがXフォースの魅力かと。試乗できる日を楽しみにしています。

ヤマハ Xフォースと開発メンバーヤマハ Xフォースと開発メンバー

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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