【ダイハツ タント 改良新型】家族全員の使いやすさが重要…チーフエンジニア[インタビュー]

ダイハツ・タントカスタム
ダイハツ・タントカスタム全 23 枚

3日に発表されたダイハツの改良新型『タントカスタム』は車格が変わったように見えるほど、イメージが変わった。タントファンクロスもよりタフな印象になった。だが、こだわったのはエクステリアだけではないようだ。新型のチーフエンジニアである秋本智行氏に聞いた。

【画像全23枚】

■狙ったのは主張しすぎない力強さ

インタビューした場所が屋内ショールームの中ということもあり、新型の第一印象は「え。これ軽だっけ?」だった。軽規格のサイズをキープしながらコンパクトカー並みに大きく見える。その理由は大きめにとった両サイドのドアと、ボンネットフードを高くしたフロントマスクのデザインにある。大きくなったフロントマスクによって、ヘッドライトやグリルのデザインの自由度が増した。

そのため、「カスタム」では存在感の強いデザインとメッキ加飾、DLEランプ(LED)が精悍さがうまく融合している。「ファンクロス」ではブラックパーツがデザインアクセントだけでなく、アウトドア志向なヘビーデューティさを醸し出している。

トヨタの『ノア』&『ヴォクシー』が、ファミリーカーでありながら大胆なフロントマスクで話題となった。タントカスタムのその流れを受けたのだろうか。秋本氏は次のように説明する。

「今回のデザインでノア&ヴォクシーを意識したことはありません。どっしりとした力強さは意識しました。フロントでは地面を支えるような安定感と存在感を出したかった結果だと思います。ただ、細部の品質や上質感にはこだわりました。細部というのは、例えば内装の素材、シートの柄、配色などです。あとは痒いところに手が届くような収納やユーティリティもこだわりの変更ポイントです。タントのメインターゲットはファミリー層なので、家族全員の使いやすさは重要です」

ダイハツ・タントカスタムダイハツ・タントカスタム

■収納や2段式リアトレイで進化した使いやすさ

収納は助手席正面のポケット、リアクオーター内側のポケット、アームレストポケットなど充実している。センターコンソール下の助手席側には小さいフックがついている。エコバックなどを引っ掛けてもいいし、マスクを吊るすのに使ってもよい。大きな買い物袋の場合は、前席背面に設置された折りたたみ式テーブルにバッグの持ち手を引っ掛ける溝がついている。テーブルを畳んだ状態でバッグを吊るせる。

スペアタイヤがわりのパンク修理キットは助手席フロアに格納された。リアの荷室は底面トレイがテーブルのようになっており、後席背もたれを前に倒した高さと同じになる。フラットかつ大きな荷室となる。リアトレイの下はそのまま荷物を入れるスペースになる。ちなみに、リアトレイをたたんだ状態でも、その下にも空間が残る。ここも収納として使うことができる。

メーカーオブションになるが、純正ナビの他、9インチのディスプレイオーディオが選べる。「今後、コックピットまわりはどんどん進化していくでしょう」と秋本氏がいうとおり、今後コネクテッドカーが増えてくると、ネット端末としてのナビ、ディスプレイオーディオは車を利用する上で欠かせない要件となるだろう。

助手席側はピラーレスドアとなり、荷物を持ったままの乗り降りもしやすい。「ファンクロスでアウトドアを楽しみたい家族なら、スキー場などで子供を車内に立たせたまま外から着替えさせたり世話をすることも可能(秋本氏)」だという。また、前席、後席ともに、後ろから簡単にシートをスライドさせることができる。スライドレバーが背もたれの裏側にあるので、後席から前のシート調整がしやすい。同様に荷室から後席のスライドやフラット化が行える。なお、荷室の室内灯は2か所に設置されている。ひとつはルーフ側なので、荷物が照明をじゃますることはない。

秋本チーフエンジニア秋本チーフエンジニア

■軽だけどクロスオーバー指向

アウトドアという視点では、ダイハツには『ウェイク』があった(2022年8月に生産終了)。ファンクロスはどのような位置付けになるのだろうか。

「コロナ禍がいちばん要因だと思うのですが、ここ数年、アウトドアや車中泊など車の利用スタイルが変わってきていると思います。本格的にアウトドアを楽しむ層ではないですが、家族旅行の延長でキャンプなどを楽しむというニーズが増えていると思います。ファンクロスはファミリーカーだけど、クロスオーバー的な使い方もしたい、という声に応えるものだと思っています」

秋本氏によれば、ファンクロスはあくまでタントの延長でユーティリティを考えたもので、キャラクターは分けているとのことだ。

新型タントカスタム&ファンクロスは、ファーストカーにしても問題ないくらいの上質感を目指したという。かといって軽自動車の利便性や家族ユースでの使いやすさは妥協していない。それどころか、ユーティリティをさらに追及したことで、収納や荷室アレンジが進化した。結果として、アウトドアやアクティブな用途にも十分対応できる仕様になった。買い物や日常の足からドライブやアウトドアレジャーまでカバーするクロスオーバーな車に仕上がった。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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