『プロサングエ』はSUVなのか? 4ドアだけど“純血”、「家族と分かち合えるフェラーリ」の意味

フェラーリ・プロサングエ
フェラーリ・プロサングエ全 39 枚

フェラーリ・ジャパンは8日、フェラーリ初の4ドア4人乗りスポーツカー『プロサングエ』の日本導入を発表した。かねてより「フェラーリ初のSUV」として各所で取り上げられてきたモデルだが、プロサングエはSUVなのか?答えは「NO」だ。同社代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏は明言した。「プロサングエはSUVではない。新しい形のスポーツカーだ」と。

プロサングエの日本初公開の場に選ばれたのは京都の仁和寺。1100年以上の歴史を持ち世界遺産に登録された由緒ある寺院だ。「ユニークでシンボリック。フェラーリ、そしてプロサングエと通じるものがある」(パストレッリ氏)。プロサングエという新モデルのキャラクターが、こんなところからも垣間見える。

新しい形であり純血、「スポーツカーとは性能だ」

フェラーリ・プロサングエフェラーリ・プロサングエ

これまでのフェラーリには2+2シーターは存在したが、大人4人が快適に過ごすことができるモデルはなかった。1980年に名匠ピニンファリーナが手掛けたコンセプトモデル『フェラーリ・ピニン』は4ドアを持ち、新たなフェラーリの形と期待されたが実現には至らなかった。技術が成熟し、スポーツカーとしての性能と快適性を両立が可能となったことから生まれたのがプロサングエだという。フェラーリは「75年におよぶ最先端の研究の集大成として、世界的にもユニークなモデルを生み出した」と説明する。

そのスタイリングを見ると、高められた車高やブラックアウトしたフェンダーアーチ、そして4枚のドアなどの特徴はいかにもSUV的だ。だが現代のクロスオーバーやSUV(フェラーリは「典型的な現代のGTモデル」と表現)と一線を画すのは「レイアウトとプロポーション」だという。これらは重量配分が最適ではなく、“跳ね馬のお客様”が満足するドライビング性能の水準には到底届かない、と語る。

フェラーリ・プロサングエフェラーリ・プロサングエ

プロサングエはミッドフロントにV12エンジンを搭載し、リアに8速DCTを搭載するトランスアクスル・レイアウトを採用。パワー・トランスファー・ユニット(PTU)をエンジン前方に組み合わせたユニークな4×4(全輪駆動)レイアウトを取る。これにより前後重量配分をミッドフロントシップのスポーツカーに最適な49:51とした。

そしてプロサングエを唯一無二のものとしているのが、自然吸気V12エンジンだ。V12エンジンはフェラーリのフラッグシップの証であり、フェラーリたらしめる重要なアイコンでもある。さらに同セグメントで最高レベルの最高出力725cv(725ps)、最大トルク716Nmの80%を2100rpmから発生させるパフォーマンスは、4ドア4シーターながらピュアなスポーツカーと呼べるものだ。

フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏

ではスポーツカーとは何か。パストレッリ氏はきっぱりと答えた。「スポーツカーとは性能だ」と。そのメッセージは車名にも現れている。「プロサングエ」とはイタリア語で「サラブレッド」つまり純血を意味する。フェラーリとしては全く新しいカテゴリのモデルでありながら、意外にもフェラーリのDNAを直系で受け継いだサラブレッドだということだ。

「家族と分かち合うことができるフェラーリ」

フェラーリ・プロサングエフェラーリ・プロサングエ

4ドア4シーターとして誕生したプロサングエについてパストレッリ氏は「家族と分かち合うことができるフェラーリだ」と表現する。これまでドライビングシートとナビシートでしか味わうことができなかったフェラーリの世界観を、4人で楽しむことができるということだ。これにより「新しい人たちにも興味を持ってもらっている」と、世界的な反響が大きいことを示唆した。

独立四輪操舵や、6ウェイ・シャシー・ダイナミック・センサー(6w-CDS)を活用するABS“Evo”、新アクティブ・サスペンション・システムの初採用、そしてカーボンファイバー製ルーフを採用して軽量化と低重心化を図った完全新規のシャシーなど、ダイナミクス性能にも抜かりはない。

フェラーリ・プロサングエフェラーリ・プロサングエ

ボディシェルは後部ドアをリアヒンジ(観音開き)としたことで乗降性の向上と、車体のコンパクト化を両立。キャビンは大人4人が無理なく過ごすことができる。使い勝手の面では、ハッチバックを持つ荷室スペースはフェラーリ史上最大の473リットルを実現した。リアシートは可倒式で、さらに容量を拡大することも可能だ。

「プロサングエは他のGTとは違う。フェラーリのDNAを尊重し、妥協はしない。4ドアでありながらドライビングポジションはフェラーリそのもので、スポーツポジションを取っている。スポーツ性能と快適性、そして運転した時のエモーション。これだけのものを実現したユニークなモデルは存在しない」とパストレッリ氏は言い切る。

「“妥協なく生まれた絶え間ない革新と、卓越した美しさの追求、純粋で誠実であり続けたいという願い”これはハートについて語っています。つまりフェラーリのレーシングDNAにつながるものです。フェラーリのすべてはパフォーマンスを向上させるためにデザインされています。そしてそれと同等の努力がロードカーにも注がれているのです。すべてのフェラーリは何よりもまずスポーツカーなのです。そして、プロサングエはプロダクトレンジにおけるスポーツカーの位置づけなのです。そして妥協のない快適性と多用途性を備えたゲームチェンジャーなのです」

フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏

《宮崎壮人》

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