GR 86/BRZワンメイクレースに参戦して4年、上位進出をめざすネクセンタイヤ

GR86/BRZ Cup ネクセンタイヤチーム
GR86/BRZ Cup ネクセンタイヤチーム全 44 枚

今シーズンから新型に車両をチェンジした「GR86/BRZ CUP」レース。プロフェッショナルシリーズ(=クラス)はマルチメイクのタイヤ競争が激しい。その中で参戦4年目を終えたネクセンタイヤの戦いに注目する。

2013年から始まった「TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race」は10年目を迎える2022年、新型トヨタ『GR 86』/スバル『BRZ』を使った「TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup」に名称が変わった。ジェントルマンドライバーが多く参戦するクラブマンシリーズ、プロフェッショナルドライバーが参戦するプロフェッショナルシリーズの2クラス制として年間を通じて戦う。

今シーズン、クラブマンシリーズはタイヤがダンロップ DIREZZA ZIIIのワンメイクとなり、プロフェッショナルシリーズは、ブリヂストンPOTENZA RE-08D、ダンロップDIREZZA β05、ネクセンN’FERA Sport Rの中から選択する。タイヤサイズは215/45R17と、去年までの16インチからサイズアップされた(POTENZAはシーズン途中でRE-08DからRE-09Dに変更になった)。

ネクセンタイヤは2019年から参戦を開始し今シーズンで4年を経過した。過去3年は岡本大地選手1人で参戦し、成績は残念ながら下位争いをしていることが多かった。それでも徐々に進化したタイヤとレースに慣れた岡本選手の頑張りにより、2021年シリーズでは第2戦富士で5位、第7戦十勝で3位でフィニッシュするなど徐々に成績を上げてきた。

2022年は、過去に優勝争いを何度もしてきた近藤翼選手が移籍し、2台体制での参戦となった。上位争いに加わるかと思えたが、車両が新型GR 86になったこと、車高調やマフラーなどタイヤ以外にも選択肢が多くなりマシンのセットアップに苦労していること、さらにタイヤサイズが17インチと大きくなったことにより、過去のデータを生かすのが難しく苦戦をしている。

今シーズン開幕戦富士は近藤が14位、岡本が35位。第2戦SUGOは岡本が3位、近藤が7位。第3戦十勝は近藤が11位、岡本が25位。第4戦鈴鹿は岡本が4位、近藤が25位。このように上位に絡むことが増えている反面、下位に沈むことも多く、安定した結果が得られていない。

長年タイヤ開発を担当してきた岡本は「気温や路面コンディションなどマッチする幅が結構狭く、当たると良い結果が残せるのだけど、マッチしないときは大きく外れてしまうことが多い」とコメントする。

最終戦の岡山国際サーキット大会では、19日土曜日の午前中に予選が行われ、各選手のトップタイムが午後に行われる第5戦の決勝レースのグリッド順位になり、セカンドタイムが日曜日に行われる第6戦のグリッド順位になる。1回の予選で良いタイムを2本揃えないと、2本の決勝レースのグリッドで上位にいけない。

GR86/BRZレースのプロフェッショナルシリーズは、今年は様々なパーツ交換ができるようになったがその差はほぼ無く、ドライバーの実力も拮抗している。予選では1秒以内に26台のマシンがいて、決勝でも前走車を追い抜くのは難しい。岡山の決勝レースは12周という少ない周回数のため予選は非常に重要だ。

岡本選手は土曜日の1レース目は予選14位からスタートし12位でフィニッシュ。近藤選手は22位からスタートして17位でフィニッシュとなった。

続けて日曜日に行われた2レース目は岡本選手は20位からスタートし15位でフィニッシュ。近藤選手は23位からスタートし19位でフィニッシュした。

レギュレーションにより、予選で使ったタイヤを土曜日の決勝1レースで使用し、そのまま決勝2レースでも使用するため、タイヤをなるべく温存しなくてはいけないが、土曜日の決勝1レースはタイヤを消耗する激しいレースとなり、決勝2レースではタイヤがグリップダウンして厳しい戦いを強いられた。

岡本選手も「ネクセンタイヤはロングランに対して少し不安があり、レース後半になるとタイヤグリップが落ち順位を落としてしまう。今回の岡山でも決勝1でかなりタイヤを使ってしまったので、決勝2での走りにはかなり不安があった。しかし意外と悪くなく、もちろんグリップダウンはするが、思った以上に落ちなかった」と振り返る。

ネクセンは韓国製タイヤなので、韓国から開発陣がサーキットに訪れている。コロナ禍により一時は開発陣が来日できない状況が続いていた。そのことでタイヤの開発とテストに遅れが生じているという。しかし最近日本の規制緩和で来日できるようになり、ドライバーの生の声を拾い他メーカーの状況をつぶさに観察しているのが見られた。開発陣はGR 86/BRZレースについて、SUPER GT並にドライバー、レース、タイヤ開発、全てのレベルが高いことに驚愕していた。

岡本選手は4年前にネクセンが86/BRZレースに参戦するにあたり、オファーが来て初めて知ったタイヤメーカーだったという。最初はすごく不安があったが、ネクセンの86/BRZレースにかける想いが相当強いということと、開発にものすごく投資をしていることを知った。そして開発が進み徐々に上位に入れるようになり、他メーカーに対して開発スピードが速いとも感じているという。

今シーズン、ネクセンチームに移籍してきた近藤選手は「新しい環境で新しいチャレンジをしたくて移籍してきた。もちろん苦労している部分は多くて、上位に絡むことも少ないが、ネクセンタイヤを使ってくれるチームが増えるように自分達は開発に参加している。今は他のタイヤに比べてタイムが落ちていることもあるが、徐々にタイム差もなくなってきている。より多くのデータが揃うようになり、2台でマシンのセットアップを変えて走ることで得られるものが多い」という。

《雪岡直樹》

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