スーパー耐久参戦のスバル BRZ、最終戦はまさかのリタイア

Team SDA Engineering 61号車SUBARU BRZ CNF Concept
Team SDA Engineering 61号車SUBARU BRZ CNF Concept全 50 枚

ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankookの第7戦、SUZUKA 5時間耐久レースが11月27日決勝レースが行われた。ST-Qクラスに参戦しているTeam SDA Engineeringの61号車SUBARU BRZ CNF Conceptはまさかの結果に肩を落とした。

Team SDA Engineering 61号車SUBARU BRZ CNF ConceptTeam SDA Engineering 61号車SUBARU BRZ CNF Concept

今シーズン、ORC ROOKIE Racingが走らせる28号車 ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptと、ガチンコ勝負を行ってきたTeam SDA Engineeringが走らせる61号車SUBARU BRZ CNF Concept、シリーズの結果としては61号車が4勝、28号車が3勝になるが、予選での順位は28号車が4勝で61号車が3勝となる。

今回の最終戦でもスバル陣営は予選も28号車の前に行き、決勝でも28号車の前でゴールする意気込みを見せていた。毎戦ごとにアップデートを行ってくる中で、今回は低フリクションピストン、ECU充電制御、マフラー変更など出力アップを狙った改善、ブレーキシステムの変更、再生カーボンを使ったフロントアンダーカバーの採用、ステアリング系剛性アップ、各種サスアーム最適化などの足回りや空力など改善を行ってきた。

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木曜日の練習走行から始まり金曜日の占有走行と順調に走行を行っている中で、金曜日午前の走行時間中に、山内選手がドライブ中にシケインでブレーキトラブルが発生し、スポンジバリアに突っ込んでしまうことが起きた。幸い山内選手に怪我もなく、車両もスポンジバリアに沿うように斜めに突っ込んだことで、ボディ左側面は傷がついたがそれほど大きな損害もなくチームは修復を行った。

「今回投入したブレーキシステムが原因となってしまったが、しっかりと止まるように制御も含めて改善を行った」と本井監督は言う。

Team SDA Engineering 61号車SUBARU BRZ CNF ConceptTeam SDA Engineering 61号車SUBARU BRZ CNF Concept

土曜日の朝、修復が終わったBRZは練習走行を無事に走り抜け午後の予選に挑む。予選ではまたしても28号車に先を行かれてしまうがその差はわずか0.2秒。しかしこの0.2秒の差を埋めるのに苦労をしている。

決勝が行われた日曜日は気温18度前後と11月末にも関わらず暖かい気候となった。オープニングラップでコースアウトする車両がいたことですぐにFCY(フルコースイエロー)が宣言され、荒れたレースの予感が走る。その後FCYが解除されると28号車と61号車は互いに前を譲らない接戦を繰り広げる。しかし徐々に61号車が遅れ始めると、12周を終えた2コーナーでコースを外れた。そのまま芝生エリアを走り続けるがマシンが止まってしまった。何度か再スタートを試みるがそのまま息絶えてこのレースのリタイアが決まってしまった。

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スタートからドライブをしていた山内選手は、マシンを降りてからしばらくコースサイドでライバルマシンの走りを見ていた。何か思うことがあったのだろう。山内選手は「28号車もそうですけど、86が何台もいるのでその走りを見ていただけです」とコメントするが、悔しさがそこには溢れていた。

レースを終えた山内選手は「今回はスロットル系のトラブルが出てしまいストップしてしまいました。そのことは残念ですが、この1年非常に楽しく過ごすことができました。レーシングカーとは違う考え方や、やり方を考えないと良い車は作れないと感じられました。エンジンだったりミッションだったり、いろいろな部署のみなさんとコミュニケーションをとって、いろいろな考え方を知れたのは非常に良かったです。なによりここに携わる若いエンジニアがみんな、志しや目の色がシーズン当初よりも全然変わっていったのが一番楽しかったし嬉しいし、お互い頑張って良い車作りをして行こうというのが感じられた」とレースは残念な結果に終わったが、シーズン通してエンジニアがレースに対する姿勢が変わったことに嬉しさを感じていた。

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「スバルファンも多いですし、多くのお客さんに対してもスバル車の良さを感じ取ってもらいたい。そのためにレースで活躍しているスバル車を見せていくのが自分達の仕事ですし、ディーラーの販売に携わる方々に魅力を伝えられるようにしていきたいと思います」とレース活動を通してスバルファンを増やしていきたいとも語った。

決勝ではステアリングを握ることなく終わってしまった井口選手は「車を速くすることと乗りやすいことを考えながら行うのが難しい1年だったなと感じます。レースなのでライバルとタイムを競うことになりますが、速いことが乗りやすいとは限らないし、バランスを考えるのが難しいなと改めて思えました。マシンはシーズン最初から考えれば速くなったと思えました。人の成長もすごく感じられて、最初は意見を言うのも難しかった環境だったかもしれませんが、途中から若いエンジニアがどんどんアイデアを盛り込んで意見を言ってくれるようになったことが非常に良かったと思います。各部署のみんなが考えてくれたことに感謝します」と若手エンジニアの成長に驚きを感じたと言う。

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「スーパーGT、スーパー耐久、ワンメイク、そしてマイカーと1年間ずっとBRZに乗っていましたが、BRZは乗っていて楽しいし、コントロールする楽しさがある車です。味付けがそれぞれちょっと違うけど、求めるところはハンドリングの良さなのでずっと楽しめました」と、ほぼ同じレイアウトの車両に乗っていると、何に乗っているのか分からなくなるときもあったが楽しめたと1年を振り返った。

本井監督は1年を振り返って「もう、ちくしょーとしか言いようがないです。車両を解析しないと最終的なことは言えませんが電気系なのか機械的なのか、しかしトラブルが他でもあった部分のようなので、そこを改善できていなかったことは非常に残念です」とリタイアに関して悔しさを見せた。

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「ここに集ったメンバーに対しては通常の業務があり、S耐の業務があり、負けることで知る悔しさは計り知れないモチベーションになると思うので今後の業務に繋げてもらいたいです。シーズンとして勝った感じのない勝ち方もありましたので、もっとちゃんと勝ちに行けるようにしていきたいです。来季も量産車を鍛えると考えはブレないです。BRZを鍛えていきながら、他車種に展開できる技術を今後も考えて行きたい。それはスバル全体の技術に間違いなく繋がると思います。来季はこのS耐メンバーも固定化しないで入れ替えていく必要もあるし、新しい人材に繋げていく育てる難しさもあると思いますが、やっていかなくてはならない。ここで育った人材が社内で他のことでもっと育ってくれることも期待したいです。来季はもちろん打倒GR86を目標にしながら戦っていきたい」と人材育成と車両開発を続けながら、来季はもっと勝ちに行きたいとも語った。

《雪岡直樹》

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