EVを電力安定供給に活用するバーチャルパワープラントの可能性…電力中央研究所

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電力中央研究所は、資源エネルギー庁のV2G実証事業のひとつである、EVアグリゲーションによるVPP(バーチャルパワープラント)の可能性についての評価結果を「“くるまからモビリティへ”の技術展2022」にて発表した。発表者は同研究所 上席研究員 高橋雅仁氏。

脱炭素の鍵、ゼロエミ電源の活用

EVアグリゲーションとは、市井のEVバッテリーを電力供給網の蓄電池として集約(アグリゲーション)して、電力需給の安定化、ピークシフトに役立てようというもの。温暖化対策には化石燃料の低CO2化、効率化だけでは不十分というのが専門家の共通認識だ。

大幅なCO2削減には、電力の供給側と需要側の取り組みが欠かせない。「脱炭素化の基本公式は、電源の低炭素化と需要側の電化の推進が欠かせない」(高橋氏)という。電源と低炭素化でキーとなるのがゼロエミッション電源だ。原子力、水素、再生可能エネルギーが主なパワーソースとして考えられる。どれも万能ではなく、課題が多い。原子力は放射性廃棄物、水素はカーボンニュートラルとするにはコストと効率の課題が多く生じる。再生可能エネルギーは、日本の場合用地確保の問題や安定供給の課題がある。

どれも対策や研究は続けられている分野であり、エネルギーミックスの考え方ではマルチソースを組み合わせる必要がある。このうち再生可能エネルギーでは、実は発電能力や総出力だけでなく、余剰電力をどうするかが大きな問題になっている。原子力やガスタービンは稼働を調整することができるが、太陽光発電を筆頭とする再エネはそれが難しい。メディアなどは雨や曇天で発電できないことを問題視するが、実際には再エネの発電能力だけでなく、昼間の余剰電力をどうするかも問題だ。

電気は足りている。需給調整の問題(“くるまからモビリティへ”の技術展2022 高橋氏講演資料より)

セクターカップリングとVPP

高橋氏は、「再エネ電源の活用にはエネルギー需要を可視化・可制御化し、地域は時間帯ごとに需給を最適化することが重要。これを可能にするため、需要側と供給側を横断するエネルギーマネジメントであるセクターカップリングの研究を進めている。狙いは、CO2削減のほか、省エネ、需要家コストの抑制、系統安定化、レジリエンス性の向上などだ」と語る。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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