[低音強化・実践レクチャー]“ボックス”は設計の仕方で鳴り方が変わる

「単体サブウーファー」を搭載したオーディオカーの一例(製作ショップ:シティロード福山<広島県>)。
「単体サブウーファー」を搭載したオーディオカーの一例(製作ショップ:シティロード福山<広島県>)。全 6 枚

クルマの中では、低音が不足しがちだ。ゆえに「低音強化」が成されることが多い。当特集では、そうである理由からその実践方法までを全方位的に解説している。今回は、「ボックス」の“タイプ”について考えていく。

◆カーオーディオで使われることが多い「ボックス」タイプは、主には2つ!

「単体サブウーファー」を鳴らすには「ボックス」が必要となる。前回の記事ではその理由と「ボックス」製作におけるポイントを説明したが、それに引き続いて今回は、「ボックス」にはタイプ違いがあることを解説する。

さて、カーオーディオで使われる「サブウーファーボックス」は、以下の2タイプのうちのどちらかである場合が多い。1つが「シールドボックス」で、もう1つが「バスレフボックス」だ。ではそれぞれがどのようなものなのかを説明していこう。まずは「シールドボックス」から。

なおこれは、「密閉型」とも呼ばれている。前回、「ボックス」はスピーカーユニットの裏側から放たれる音エネルギーを“閉じ込める”ためのものだと説明したが、「シールドボックス」はその目的を愚直に果たす。完全なる密閉箱とすることで、スピーカーユニットの裏側から放たれる音エネルギーを100%ボックス内にとどまらせる。

シールドボックス」の一例(カロッツェリア・TS-WX2530)。シールドボックス」の一例(カロッツェリア・TS-WX2530)。

◆「シールドボックス」では、ボックス内の空気が振動板の動きを助ける!?

結果、「シールドボックス」では箱の中の空気がサスペンションの役割を果たす。空気が振動板の動きを支え、そしてその作用により振動板は素速く元の位置に戻れる。かくして「シールドボックス」ではレスポンスの良い、そして締まった低音を鳴らしやすい。

また構造がシンプルなので設計もしやすく、組み上げ作業も比較的に楽だ。つまり作りやすい。そして、「ボックス」サイズを小型化させやすい。インストール面でも利を放つ。

なお、容量を工夫することで鳴り方をコントロールできる。大きめに作れば伸びやかな低音を鳴らしやすくなり、小さめに作ればタイトな低音を奏でやすくなる。なので「シールドボックス」ではタイトな低音しか出せないと考えるのは早計だ。作り方で鳴り方を変えられる。

では続いて、「バスレフボックス」について説明していこう。ちなみにこれは「位相反転型」とも称される。

ところで「位相」とは、音波のタイミングだとイメージしてほしい。前回の記事の中で、スピーカーユニットの表側から放たれる音と裏側から放たれる音は耳で聴く分には同じ音だが音波としては真逆の関係にあると説明した。これはつまり、「位相」が真逆の状態であるということを意味している。

というのも、表側の音と裏側の音とは音波のタイミングが真逆なのだ。表側の音は0度のところをスタート地点として上下動を繰り返しながら空気中を進んでいくが、裏側の音は180度のところをスタート地点として上下動を繰り返す。

「バスレフボックス」の一例(ロックフォード フォズゲート・P1-1X12)。「バスレフボックス」の一例(ロックフォード フォズゲート・P1-1X12)。

◆「バスレフボックス」では、裏側の音を積極的に活用することで鳴り方を変えられる!

で、耳で聴く分には同じ音なのに「位相」が真逆の音同士が同一空間で交わると、「キャンセリング(音の打ち消し合い)」が引き起こされる。「ボックス」はそれを防ぐべく裏側の音を箱の中に閉じ込めるわけだが、「バスレフボックス」ではなんと、裏側の音を積極的に利用する。裏側の音を表側に放出する仕組みを持っているのだ。ただし、裏側の音の「位相」を反転してから表側へと放出するので「キャンセリング」は起こらない。そしてむしろ、低音を増強させられる。しかも設計の仕方により、増強具合を変えられる。

ただし、設計の難易度は上がる。またボックスが大型化せざるを得なくなる。同じ「単体サブウーファー」を使う場合、「バスレフボックス」の方が推奨容量が大きくなるのだ。そして製作の難易度も上がる。ゆえに導入のハードルは高まる。でも、低音の鳴り方を自分の思いどおりにコントロールしたいと思うときには「バスレフボックス」の方が向いている。工夫を凝らせる要素が増えるからだ。

低音の鳴り方にとことんこだわりたいと思ったら、「バスレフボックス」にもご注目を。

今回は以上だ。次回以降も「低音強化」の実践方法に関する解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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