変革期における人材育成、ボッシュのリスキリングはここまでやる…DXやSDVを意識

古い常識といま求められる知識のギャップを埋める

複雑な社会課題に対応するためのマインドセット

DX・AIに特化したコース

ボッシュがAIにこだわる理由

イメージ
イメージ全 2 枚

変革期真っ只中にある自動車業界において、技術者を始めとした従業員の能力開発や学び直しがこれまで以上に重用視されている。

オートモーティブワールド 2023でボッシュが取り組んでいるリスキリングに関するセミナーが行われた。スピーカーはボッシュジャパン 代表取締役社長 クラウス・メーダー氏。その内容は、DXやSDVを強く意識したものだった。

古い常識といま求められる知識のギャップを埋める

ボッシュグループはグローバルで40万人の従業員がいる。そのうちR&D人材(エンジニア)は7万人。おもな事業分野はインダストリー、コンシューマ、エネルギー、モビリティの4つだ。日本ではモビリティ事業(オートモーティブ関連)が最大だが、グローバルでは工業やホームエレクトロニクスの規模が大きい。エネルギー関連も注目が高い。4つすべての分野においてイノベーションが起きており、事業の体質改善やビジネスモデルの変革に晒されている。

なぜリスキリングが必要なのか。「これまで我々が学んできたことと、現在社会で求められているものにギャップがあるからだ」とメーダー氏は説明する。例として、1960年代のパンチカードを挙げ、当時のバッチ処理環境と現在のコンピューティング環境の違いを説明した。

当時はプログラムをパンチカードに打ち込み「JCL」(ジョブコントロールのカード)と一緒にジョブキューに入れる。ジョブキューは物理的なトレーだ。ここに輪ゴムで止めたパンチカードの束を並べていく。結果はラインプリンタの出力として順番に受け取る。コンピュータサイエンスは当時からそれほど変わっていない。基礎で必要な知識や体系は同じにもかかわらず、手元のラップトップからクラウド上の仮想リソースを縦横に使う現在のクラウドコンピューティングとは比較にならない。パンチカードがソースファイルに、JCLがOSのコマンドやJSONスクリプトになっただけ、という分析は簡単だが、両者にはまったく違う機械を使っているかのような違いがある。

このギャップを埋めるのがリスキリングだ。

複雑な社会課題に対応するためのマインドセット

表計算ソフトのバージョンアップで新しいショートカットを覚えることや、新しいWindowsのメニュー画面の構造を覚えるだけなら、リスキリングとは言わない。重要なのは、対応すべき変化がいままでの技術分野の延長ではないことだ。コンピューティングは、制御技術・通信技術やスマートフォン、あるいはオープンソースのような考え方によって現在の形になった。自動車は、ソフトウェアとAIによって変わろうとしている。


《中尾真二》

アクセスランキング

  1. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  2. 【フィアット 600ハイブリッド 新型試乗】意外にもBEV版よりスムースで快適! 価格にも「親近感」…島崎七生人
  3. スバル『フォレスター』に早くも「理想の姿」と話題の特別仕様、「最初から出してよ!」の声も
  4. 「スポーツバイクの王者」新型スズキ『GSX-R1000』発表! 40周年で大幅改良、日本市場復活なるか
  5. 航続262kmの新型電動バイクが約10万円から、ビンファストが2モデル発表
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
  5. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
ランキングをもっと見る