シガーソケットの罠! 愛車の電源を充実させるなら ~Weeklyメンテナンス~

シガーソケットの罠! 愛車の電源を充実させるなら ~Weeklyメンテナンス~
シガーソケットの罠! 愛車の電源を充実させるなら ~Weeklyメンテナンス~全 1 枚

近年クルマの中で電気を用いることが増えている。スマホの充電や空気清浄機など、さまざまな利用が考えられる。そこで愛車の電源を充実させる方法を考えた。レジャーに出かける前に実践しよう。

車内で電気機器を用いるケースが急速に増えている近年、どんな電気機器を用いるかによって車内での電源環境の整え方が異なるので注意して充実を図ろう。まずはポピュラーなのがUSBポートの増設だろう。すでに純正でUSB電源が確保されている車種もあるが、まだ装備されていないクルマでも簡単にUSBポートを追加することができるので今すぐ実践してみよう。

用いるのはシガーソケットに差し込んで使うことができるUSBポートだ。加工など無しに取り付けるだけでUSBポートを車内に設置できるので便利なアイテムだ。これさえあればスマホなど、USBを用いて駆動している電気機器を充電切れを心配すること無く車内で用いることができる。

しかし、ひとつ注意したいのが容量の問題だ。シガーソケットに配線されている電線は限られた太さなので、一般的には10A(アンペア)程度の電流量以上は流せない。そこでUSBソケットにいくつものUSB機器をタコ足で配線してしまうと、容量オーバーになることがある。その場合はシガーソケットのヒューズが切れる仕組みになっている。

こうなってしまうと車両のヒューズボックスを探し出して、該当するヒューズを交換するまではシガーソケットの電源は使えなくなってしまうので要注意。使用する機器の合計アンペア数を概算して、シガーソケットの使用限界の容量を超えないように利用すると良いだろう。シガーソケットの正確な上限の電流量(アンペア数)が知りたい場合は、車両のヒューズボックスを探し出して、シガーソケットに該当するヒューズを見つけ出せばOK。そのヒューズが例えば10Aのものであれば流せる電流の上限が10Aだとわかる。

ところでここで紹介したUSB電源は直流だ、クルマのバッテリーも直流(12V)なので12V→5V(USBの電圧)に変圧して用いる構造になっている。これをDC/DCコンバーターと呼ぶ。直流→直流の変換なので比較的シンプルな仕組みで変圧することができるのだ。一方家庭用の100V電源を車内で用いるときはちょっとハードルが高い。ハイブリッド車などの一部車種ではすでに純正で100V電源のコンセントが装備されているクルマもあるが、後付けで100Vを取り出すのにはインバーターと呼ばれる機器が必要になる。

インバーターとはDC/AC(直流→交流)に変換する機器のこと。車内で用いる機器としてはシガーソケットに差し込んで用いるコンパクトなインバーターもある。しかしUSBポートの項目でも紹介した通り、容量には要注意だ。100Vの電源で使うことができるのは計算上100W~120W程度。それ以上の機器をつないで用いたらヒューズが切れてしまう。例えば車中泊でドライヤーなどを使いたいと思ってもまず無理なのだ。またもうひとつのポイントが正弦波/矩形波の違い。インバーターはスタンダードなモデルでは矩形波での出力で、熱線などの単純な機器なら動作する電源だ。一方高級モデルになると正弦波での出力になる。これはマイコン機器などを内蔵している電気機器を正常に動作させるのに必要になる電源だ。用いる機器に合わせて選ぶと良いだろう。

ところで、100W程度以上の電力を車内で使いたいと思ったらどうすれば良いのだろう。その場合にはバッテリーから直の電源をインバーターに供給する必要がある。これはDIYではちょっとハードルが高いが気になる読者は自己責任でチャレンジしてみても良いだろう。

まずはエンジンルーム内にあるバッテリーに配線を接続。配線にはトラブルの場合を考えてヒューズを設置するのが必須(オーディオ用にバッテリー直電源用のキットなども売られているので利用すると良いだろう)。その配線を車内側に引き込むのが一苦労。純正配線を通しているバルクヘッドなどのグロメットに割り込ませて車内に導入するのだが、防水処理を傷めてしまうと最悪の場合には車内への漏水もあるので要注意。この作業は細心の注意を払って処理したいところ。

電源配線を車内に導入できれば、あとはバッテリーの電源を直接インバーターに接続できるのでより大電流の100V電源の利用が可能になる可能になる。ただしインバーターにも容量(○Wで表記される)があるので、使用する電気機器に合わせて余裕のある容量を選ぶ必要がある。キャンピングカーなどでは車内電源用にメインとは別にサブバッテリーを設置して、インバーターを介して電子レンジなどを駆動させているケースもあるので、工夫次第で自宅の電気環境を車内で再現することも可能だ。

車内の電化が進むクルマをより快適にするためには電源環境の整備が急務だ。電気関連の変換機器や配線キットなどは充実しているので、その気になればDIYでかなり高度なことも可能。目的に合わせた愛車の電源環境の充実をはじめてみよう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

《土田康弘》

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