アウディの歴史的旧車を電動化、240馬力モーター搭載…実習生のプロジェクト

1961~1973年に製造されたNSU Prinz 4

EVの『e-tron』用のモーターに『Q7』のPHEV用バッテリー

オリジナルモデルに敬意を表したエクステリア

シグナルイエローのロールケージ

NSU Prinz 4 と アウディ EP4
NSU Prinz 4 と アウディ EP4全 10 枚

アウディ(Audi)は7月8日、アウディのルーツにあたるブランドのひとつ「NSU」の象徴的なクラシックカー『Prinz 4』を、電動化した『EP4』をドイツで初公開した。ネッカーズルムで働く12人の実習生が製作した1台限りのEVだ。

写真:アウディ EP4

◆1961~1973年に製造されたNSU Prinz 4

NSU Prinz 4NSU Prinz 4

EP4は、アウディのネッカーズルム拠点の150周年を記念して開催されたファミリーデイで初公開された。EP4の「E」は電動駆動を表し、「P4」はNSU Prinz 4を表している。EP4は、自動車メカトロニクス、ボディワーク、車両構造メカニック、塗装の各コースに所属する実習生の作品だ。

NSU Prinz 4は1961~1973年、NSU Motorenwerkeによってネッカーズルムで生産された。NSUの車両は、ドイツにおいて「Wirtschaftswunder」(ライン川の奇跡)のシンボルとして、数多くのヒルクライムレースで勝利を収めた。その栄光の歴史は、現在に至るまで自動車愛好家にインスピレーションを与え続けているという。

このプロジェクトの出発点となったのが、1971年に製造されたNSU Prinz 4だ。「プリンス」の愛称で親しまれた。EP4はそのスタイルと電動駆動システムにより、アウディのネッカーズルム拠点が受け継いできた歴史を、電動化の未来へと繋げる橋渡しとしての役割を担う。

◆EVの『e-tron』用のモーターに『Q7』のPHEV用バッテリー

ボディや塗装を専門とする若手実習生が、このクラシックカーのシャシーとボディパネルに取り組んだ。その一方で、未来のメカニックが、パワートレイン、バッテリー、サスペンションの改造に着手した。オリジナルモデルの後部には、最大出力30hpを発生する2気筒ガソリンエンジンが搭載されていた。EP4には、最大出力240hpを引き出す電気モーターを積む。これは、EVの『e-tron』用の電気モーターだ。バッテリーは、プラグインハイブリッド車(PHEV)の『Q7 TFSI eクワトロ』から流用している。

バッテリーは、もともと燃料タンクが設置されていたボンネットの下に搭載された。バンパー下部の幅広いエアインテークから冷却用のエアを取り込み、ボンネットに設置された大型の開口部から熱気を排出する。トランクリッドの形状は冷却効果も改善し、半開の位置で固定することも可能。トランクリッドを半開にすると、電動パワーユニットを外から眺めることができる。

これは、スポーティなNSU 『Prinz 1000』をベースにしたレーシングカーを想起させるのが狙い。その当時、半開にしたテールゲートの中には、キャブレターのファンネルが整然と並び、スポーティな雰囲気をさらに高めていた。EP4では電気モーターを見ることができる。

◆オリジナルモデルに敬意を表したエクステリア

アウディ EP4アウディ EP4

実習生は、EP4の製作にあたり、新たな命が吹き込まれたNSU Prinzの姿を、誇らしく示す必要があると考えた。そのため、前後のライトだけでなく、他の伝統的な要素も継承した。1970年代のボディの特徴的なショルダーラインやルーフラインは、そのまま残された。実習生はシートメタルの錆を取り除き、アウディ専用カラーのスズカグレーとブリリアントブラックでボディを塗装。ボディサイドには150周年を記念して、「150」のアクセントが添えられた。

パフォーマンスを向上させるため、シャシーとボディワークを強化した。そのため、改良が施された『A1』のフロアパンを、ブレーキとアクスルを含んで、ベースとして採用した。実習生は、広範囲に改造され、幅が広くなった車体をその上に載せた。実習生は、「Audi Design」のサポートを受けてこれらの要素をデザインし、3Dプリンターを使用してパーツを製作。フェンダーには、ワイドなホイールを収めた。最新のパフォーマンスタイヤを装着している。

リアウイングは、シグナルイエローで塗装された。ウィングは、ボディではなく、ロールケージに取り付けられた。その結果、支柱はリアウィンドウを貫通している。

◆シグナルイエローのロールケージ

室内には、シグナルイエローのロールケージを配した。レーシングカーらしく、必要最低限の機能に絞り込んだ。他のすべてのトリム類はブラックで塗装。シートには、レカロ製バケットシート「ポディウム」を装着する。

インストルメントパネルには、シングルボードコンピューターとそれに対応するスクリーンが設置された。このスクリーンには、スピードメーターと診断タスクを実行する車載コンピューターの機能が表示される。

また、今回のプロジェクトでは、電気駆動システムに加え、3Dプリンティング技術を活用した。ボンネットには、カーボンファイバーを採用している。

《森脇稔》

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