【モト・グッツィ V100マンデッロS 海外試乗】目からウロコ、伝統の縦置きVツインが21世紀の走りに大進化…佐川健太郎

モト・グッツィ V100マンデッロS
モト・グッツィ V100マンデッロS全 35 枚

モト・グッツィV100マンデッロ』の国際試乗会がマレーシアの首都、クアラルンプールで開催されたのでレポートしたい。

モト・グッツィ V100マンデッロS

◆現代レベルの新設計にモト・グッツィらしさも宿る

モト・グッツィ V100マンデッロSモト・グッツィ V100マンデッロS

V100はモト・グッツィ誕生100周年を記念して開発された全く新しいモデルだ。エンジンは縦置き90度Vツイン+シャフトドライブという伝統のレイアウトは守りつつも完全新設計の「コンパクトブロック」と呼ばれる水冷DOHC4バルブタイプへと進化。排気量1042ccから最高出力115ps を発揮するなど動力性能も一気に現代レベルへ。

一方で往年の「ル・マン」シリーズをオマージュした流麗なフォルムにモト・グッツィらしさも宿っている。V100マンデッロには2タイプが用意されているが、今回はオーリンズ製セミアクティブ・サスペンションやクイックシフター、グリップヒーターなどを装備した上級バージョンの「S」に試乗した。

モト・グッツィ V100マンデッロSモト・グッツィ V100マンデッロS

第一印象は“美しいマシン”。空気を切り裂いて飛ぶ航空機のようなフォルムは、モト・グッツィ創業者の3人がイタリア海軍航空隊で出会ったエピソードと重なる。ライポジはやや大柄で、ロングタンクにアップハンドルで上体が起きた楽な姿勢がとれる。電制サスは沈み込みも自然で、標準的なシート高(815mm)とも相まって足着きも悪くない。

◆洗練されたパワートレイン

新型エンジンはまさに大進化と呼べるもの。吸排気系のレイアウトを90度外側に捻ったことでエキパイは前出しから横出しになり、スロットルボディは燃料タンク下に隠れる形となった。その結果、エンジン搭載位置を前に寄せてハンドリングが向上し、従来の空冷エンジンのようにヒザがシリンダーヘッドに当たらなくなっている。

また、従来はスロットルを空吹かしすると車体が右側に傾いでいたが、V100では左側へのモーションを僅かに感じる程度に。加速時にリア側がリフトするシャフトドライブ特有のクセもほとんど出ない。ドライブシャフトを兼ねた片持ち式スイングアームも従来とは反対の車体左側に配されるなど、すべてが新しい基準で設計されていることが分かる。

モト・グッツィ V100マンデッロSモト・グッツィ V100マンデッロS

エンジンはスムーズでスロットルを開け閉めしたときのギクシャク感もなく、バランサーにより不快な振動も感じない。Sに標準装備のクイックシフターは操作も滑らかでワインディングでの頻繁なギアチェンジでもストレス無し。従来の空冷縦置きVツインの図太い鼓動感や味わいを残しつつ一気に洗練された感じだ。

ちなみに高速道路では6速固定からでも楽々追い越し可能で、スロットルを半分開けるだけで図太く重厚なトルクが大柄な車体を押し出していく。ハンドリングはどちらかというと安定志向で、適度などっしり感が安心。それでいて街の交差点も素直に曲がるし、タイトな峠道のコーナリングも軽快にこなす。クラッチも軽いし、昔からのモト・グッツィを知る人には目からウロコだろう。

◆幅広い層を虜にできるポテンシャルがある

モト・グッツィ V100マンデッロSモト・グッツィ V100マンデッロS

4種類のライディングモードも試してみたが、全体的に穏やかセッティングで馴染みやすい印象だった。「スポーツ」モードでも急にパワーが出たりしないし、「レイン」だからといって極端にトラコンが効いたりせず自然なフィーリング。また電制サスペンションの動きもモード毎に変化し、たとえば「ツーリング」ではソフト設定になり荒れた路面でも突き上げが緩和されて疲れにくかった。

そして、注目の可変式エアロフラップ。基本設定で70km/h以上で作動する仕組みで、航空機がフラップを広げるようなアクションは優雅で美しいが、実際的な空力効果は常識的な速度レンジでは感じにくかった。一方で電動スクリーンを最大90mmアップするとヘルメットに受ける風圧とノイズは明らかに低減されていた。

強力なエンジンと優れた空力、電制サスによる快適性も含め、スポーツツーリングにおけるV100マンデッロの実力は一線級と言えるだろう。そして、次の100年へ向けての高い理想を伝統の縦置きVツインで実現してみせた、そのこだわりに拍手を送りたい。昔からのモト・グッツィファンのみならず幅広い層にアピールできる力作だ。

モト・グッツィ V100マンデッロSモト・グッツィ V100マンデッロS

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. レクサス『NX』ビッグマイナーチェンジはこうなる…新デザイン採用で商品力を大幅強化か
  2. 「飛びついちゃうよね」第3のエコカーがフルモデルチェンジ!? 次期ダイハツ『ミライース』に期待の声
  3. ホンダ『シビックタイプR』受注停止のままモデルチェンジへ、登場は2026年秋か…最終デザイン
  4. アキュラ『インテグラ』の「タイプS」、FF車の新記録を達成…パイクスピーク 2026
  5. 【シボレー コルベット Z06 新型試乗】ノーマルとは別物、まさに「洗練の極み」…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ボルボカーズ、2028年以降の車両にアプティブのGen 8レーダー採用へ…悪天候や複雑な市街地でも高精度センシング
  2. ボッシュ、ヒューマノイド向け需要拡大でロボティクス事業を強化
  3. アステモが執行役員を解任、「職務遂行の適切性に問題」…子会社社長も交代
  4. SDV時代、進化するアフターマーケットの“今”と“未来”が一堂に…「アウトメカニカ フランクフルト 2026」9月8~12日開催
  5. 7/27申込締切 【激変するインド自動車産業】政策転換とEVシフト、クイックコマースが拓く日本企業の勝機
ランキングをもっと見る