ASEAN乗用車市場を揺るがす中国自動車メーカーとエレクトロモビリティの動向

タイ バンコク(参考画像)
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代替パワートレイン・ソリューションへの移行プロセスが加速し、BYD、長城汽車、LG、現代自動車、テスラ、BASFといった外資系企業が存在感を強めようとしている。そのため、インドネシア、マレーシア、タイといった主要市場では競争上の混乱が顕著になると考えられる。

ASEAN乗用車市場の新たな変化

近頃のニュースでは、2023年上半期にタイで販売されるバッテリー電気自動車(BEV)のトップ3はBYD、Hozon、テスラが製造し、インドネシアでは現代モービスがEV用バッテリー工場を建設し、マレーシアではテスラが年内に操業を開始すると報じられているが、驚くにはあたらない。これは、ASEANの乗用車(PV、Passenger Vehicle)市場に新たな変化が起きていることを示すもので、外資系自動車メーカーの存在感が増し、政府の後押しを受けてEVへのシフトが進んでいる。

ASEAN地域(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の自動車市場は、2023年も力強い成長を続けると予測されている。GDP成長率の上昇、道路インフラの改善、特にベトナムとフィリピンでは自動車保有台数が少ないことに伴う消費者需要の高まりが、乗用車販売を押し上げると思われる。一方、商用車セグメントでは、ピックアップの魅力が持続するだろう。従って、フロスト&サリバンは、PVとピックアップの合計販売台数はインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの主要自動車市場が牽引し、2022年の320万台から2023年には推定330万台へと着実に増加すると予測している。

同時に、中国の自動車メーカーが参入し、競争が激化している。例えば、BYDは2024年にタイで電気自動車(EV)の生産を開始する予定だ。同じ中国のOEMである長城汽車(Great Wall Motor)とともに、競争力のある製品でタイ市場を揺さぶっている。韓国企業もまた、インドネシアにおける現代LGエナジー・ソリューション・バッテリー工場の合弁事業に見られるような大きなインパクトを与えている。

ICEの販売は依然として優勢だが、EVへのシフトは勢いを増している。エレクトロモビリティ市場はまだ黎明期にあり、初期段階での普及率は、不十分なサポートインフラ、遅々として進まないバッテリー開発、チップ不足によって抑制される可能性が高い。

メーカーおよび各国間の競争が激化

フロスト&サリバンは下記のように見ている。拡大するASEAN自動車市場のシェアをめぐり、自動車メーカー間および各国間の競争が激化する。政府の支援により、タイは外国人投資家の強力な誘致国として脚光を浴びるだろう。


《フロスト・アンド・サリバン・ジャパン株式会社》

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