「プライベートとビジネスをジョイントするのがアフィーラの役割」ソニー・ホンダモビリティ水野会長…CES 2024【インタビュー】

ソニー・ホンダモビリティ 代表取締役 会長兼CEOの水野泰秀氏
ソニー・ホンダモビリティ 代表取締役 会長兼CEOの水野泰秀氏全 14 枚

昨年のCES 2023で鮮烈デビューを果たしたソニー・ホンダモビリティの『AFEELA(アフィーラ)』の登場から1年。ソニー・ホンダモビリティ 代表取締役 会長兼CEOの水野泰秀氏がCES 2024の会場でインタビューに応じ、発売に向けたアフィーラの基本戦略について考えを述べた。


販売戦略の指標はテスラ、具体的な発表はCES 2025で

そうした中で水野氏が販売戦略上で一つの指標としているのが、米EV市場で約5割のシェアを持つテスラだ。「販売方法はサブスクもあるが、いわゆるオンラインで販売する“テスラ方式”を採用することを予定している」とし、その上で「メンテナンスはホンダのディーラーを活用するかもしれないし、それ以外があるかもしれない」とした。具体的には来年のCES 2025で明らかにする予定とした。

テスラを参考にする上で見逃せないのが、自動運転など機能面のOTAによるアップデートにも積極的に対応し、それをビジネスとして展開していることだ。水野氏は「個人的にはそこまでやりたいと思っている」と述べ、「たとえばAWDにしたければ、そこの部分を開放して後で対応できるようにしておき、それがなければ2WDのままで乗る形を採ることもあり得る。また、出力曲線を変えて、たとえば加速重視の設定に切り替えられるという方法もあるだろう」とした。

ただ、難しいのは安全に対する機能だ。水野氏は「(クルマとしての安全性を考慮すれば)絶対に触ってはいけない上の部分がある。自動運転やADASがそこまでビジネスとして結びつくかはいろいろ検討していく必要がある」とも語り、OTAによるアップデートが安全に関わる部分で対応することに慎重な姿勢を示した。

ソニー・ホンダモビリティ AFEELA(アフィーラ)ブランドのプロトタイプ(CES 2024)

目指すアップデートのキーワードは“パーソナライズ化”

ではアフィーラとして、どんなアップデートを念頭に置いているのだろうか。話を聞いていくと、キーワードは“パーソナライズ化”にあった。

水野氏は「今回、マイクロソフトのAI『Auzre Open AI Service』を導入することになったが、以前からパーソナライズ化はやらなければならないと考えていた。たとえば、去年、スマートフォンとシンクロさせながらどうやってパーソナライズ化していくかを提案したし、それがAIが組み合わされることでもっと進んでいくことになる」と述べた。

具体的には「ソフトウェア上で自分なりのコンテンツを買ってきて、色を変えたり好きなアニメのキャラクターを加えるとか、ログインすることで、その人に合った設定やデコレーションなどが自動的に変更される。つまり、“◯◯スペシャル”が簡単にできるわけで、その役割を果たすのがマイクロソフトのAIだったりする」と説明した。

ヨーク型ステアリングを装備したインテリア。ダッシュボード中央にドライバー認識用赤外線センサーが見える

ところで、これらの仕様の作り分けができるのは、生産する上で大きなアドバンテージにつながるのではないか。クルマは生産においてたくさんの種類・仕様が流れており、単一仕様を流しておいてソフトウェアでグレードを分けることは生産上で有利になるのではないか? という考え方だ。

水野氏はこれについて、「確かに生産上の効率はメチャメチャ上がる」とする一方で、「テスラがよくやる手法だが、バッテリーの容量をあらかじめ大きく持っておいて、グレードによって開放していくというやり方もある。しかし、この方法だと工場のラインの流し方としては効率はとても良くなるが、バッテリーをあらかじめ多く積んでおくことになりコストは下がらない。ラインでの効率化によるコスト低減は微々たるものなのでしかない。要はこのバランスをどう取るかが重要」とも述べた。

左右のミラーは光学式に加えてデジタルミラーも加えた“ダブル仕様”

とはいえ、ログインすることで、ユーザーは簡単にサスペンションや出力カーブが好みの設定に設定されていけば、これは新しいクルマを乗り換えても自分の好みが踏襲されていくことを意味する。新ブランドで登場するアフィーラだけにそうしたことには対応してほしいと考えている人も多いはずだ。水野氏は「それはやらなきゃいけないと思っているし、加えてクルマ屋らしいこともやらないといけない。そこの味付けを今やっているところだ」と回答した。


《会田肇》

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