不確実性の高い時代こそ、必要なライフタイムデータバリューチェーンという考え方…なぜデータ連携が重要なのか[インタビュー]

不確実性の高い時代こそ、必要なライフタイムデータバリューチェーンという考え方…なぜデータ連携が重要なのか[インタビュー]
不確実性の高い時代こそ、必要なライフタイムデータバリューチェーンという考え方…なぜデータ連携が重要なのか[インタビュー]全 1 枚

大変革期を迎えている自動車産業。経済安全保障、エネルギー危機など社会の変化によって、従来のやり方が機能しなくなっている。見方によっては、検査不正・品質低下などの問題は、盤石な産業構造ゆえの制度疲労なのではと思える。

このように正解がなく、不確実性の高い時代において、自動車業界が考えるべきことはなにか。

アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクターの川原英司氏は「製品ライフサイクル全体でのデータバリューチェーン(DVC)という考え方が重要」と説く。

3月28日に開催予定のレスポンスセミナー「モビリティ企業の次世代戦略を支えるライフタイムデータバリューチェーン」では、業界の現状と課題に対してどんな戦略をとればいいのか、ライフタイムデータバリューチェーンとは何かを解説する。

■生活を取り巻くライフタイムで考える

――さっそくですが、ライフタイムデータバリューチェーンとはなんでしょうか。そして、それがなぜ重要なのでしょうか。

川原氏:電動化やIoT化など、自動車業界、モビリティ産業ともに産業構造が変化しつつあるのはご存じと思います。「EV」やソフトウェア化によって車のプラットフォーム自体も変わり、業界では自動車メーカーからモビリティカンパニーになるというスローガンも一般化しています。グローバルビジネスにおいては、カーボンニュートラルや地政学的な問題から、さまざまな規制や企業責任も問われるようになりました。

モビリティカンパニーになるとは、ビジネスや関わる領域が車の製造販売から周辺領域へ大きく広がることを意味します。そのため、変革は製品の企画、資源の調達から販売後の廃棄やリサイクルまで、製品のライフタイムを通してかかわる人々や社会との接点すべてに必要です。

ここで重要になってくるのが、様々なところに分散して存在しているデータを相互に連携させ、全体で一貫性のある価値創造につなげていくという考え方です。

――自動車業界でもLCA(ライフサイクルアセスメント)という考え方が浸透してきています。それとは違うものでしょうか。

川原氏:LCAも活用対象つまりユースケースの一つです。LCAは製品のライフサイクルを通した負荷軽減の観点で語られることが多いと思います。一方、モビリティビジネスの新たな価値創造を考えていくと、資源や部品のサプライヤーから開発・生産、販売・アフターマーケット、あるいは顧客や車両との接点まで広範囲に連携し、オペレーションや製品やサービスを変革・高度化していくことが必要です。

もちろん、環境負荷軽減の観点でもあらゆるメーカーが、資源調達の人権問題から適正廃棄のトレースまで求められています。会計基準でもこれらを報告、説明できないと資金を調達できず、海外の強制労働に頼った製品は輸出できません。エネルギー危機や経済安全保障の面では、地産地消やトレーサビリティも必要です。こうした規制への対応を一つのきっかけとして、データ連携の仕組みを作り、そこから価値創造を目指すという考え方も有効です。

ライフタイムデータバリューチェーンとは、開発・製造・販売・メンテナンス・リサイクルなど全ての段階で発生し管理されるデータを収集し、それらを活用して効率化しながら付加価値を生み出すためのデータ共通連携基盤、つまり、個別最適に陥りがちなシステムを全体が効果的に価値を生み出すためのインフラに昇華したものなのです。

■サイロ化するバリューチェーンを連携させる基盤をつくる

――なるほど。統合的なデータ連携、バリューチェーンの重要性は高いと思いますが、OEMの各部や現場レベルでもそこまで考える必要はあるのでしょうか。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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