「BEVよりも選ばれる存在に」ホンダが新型燃料電池車『CR-V e:FCEV』世界初公開、今夏リース販売へ

ホンダ CR-V e:FCEV
ホンダ CR-V e:FCEV全 16 枚

ホンダ(Honda)のSUVを代表するモデル『CR-V』が、新型燃料電池車『CR-V e:FCEV』として日本市場に復帰する。2024年夏の発売を予定しており、販売方法はリース形式を予定しているという。価格は未発表。2月28日に開幕した「H2&FC EXPO[春]2024~第21回[国際]水素・燃料電池展[春]~」で実車が世界初公開となった。

世界初公開となったホンダの新型燃料電池車『CR-V e:FCEV』

CR-V e:FCEVは、すでに欧州や北米で2023年より販売を開始している新型CR-V(6代目)をベースに、ホンダとゼネラルモータース(GM)が共同開発し、両社の合弁会社であるFuel Cell System manufacturing,LLC(米国ミシガン州)で生産される最新の燃料電池システムが搭載される燃料電池車(FCEV)。燃料電池車は充填した水素で発電することで走行可能だが、CR-V e:FCEVではさらに日本の自動車メーカーが発売するモデルとしては初めて、外部からの充電が可能なプラグイン機能を持つのが大きな特徴。燃料電池車が持つ長い航続距離と、水素の充填時間の短さ(約3分)といったメリットに加え、家庭や外出先で充電できることで利便性を高めた。

水素一充填あたりの走行距離は600km以上、電気とモーターのみでのEV走行可能距離は60km以上となる見込み。バッテリー容量は17.7kwh。

◆燃料電池システムのコストを3分の1に

ホンダ CR-V e:FCEVホンダ CR-V e:FCEV

ホンダは、2050年にホンダの関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルの実現を目指し、企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロの実現に向け「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」を3つの柱として取り組んでいる。その中で水素は、電気とともに有望なエネルギーキャリア(エネルギーを運搬する物質や方法)と位置付け、30年以上にわたり研究開発をおこなっている。2002年には初の燃料電池車『FCX』を、2008年に『FCXクラリティ』、2016年に『クラリティ フューエルセル』をそれぞれリース販売するなど取り組んできた。

CR-V e:FCEVに搭載されるGMとの共同開発による燃料電池システムは、クラリティ フューエルセルのシステムと比べ、白金使用量やセル数の削減、電極への革新材料の適用、量産効果などでコストを3分の1に、さらに耐食材料の適用や劣化抑制制御などにより耐久性を2倍以上に向上させた。また、耐低温性も大幅に向上、氷点下などの環境でも安定して始動し出力を供給できる急速暖気制御などを開発した。

燃料電池システムを中心としたパワーユニットを一体化することで小型軽量化を実現。ベース車であるCR-Vのエンジンスペースをそのまま活用し搭載することでコスト低減を図ると同時に、衝突安全性能にも貢献。FCスタックやモーター、エアポンプ、コンプレッサーなどが一体となったことで振動や騒音といったいわゆるNV性能が大幅に向上し、内燃機関を持たない燃料電池車ならではの静かで上質な走りを実現したという。

◆e:FCEVならではの専用デザインも

ホンダ CR-V e:FCEVホンダ CR-V e:FCEV

CR-V e:FCEVのグランドコンセプトは「E-life Generator」。約3分で水素を充填できるストレスフリーな長距離ドライブ、EVのような使い勝手を提供するプラグイン充電機能、そしてSUVならではの走破性や使い勝手を合わせ持った「身近に使える燃料電池車」として開発された。CR-Vをベースとしたのは、人気の高いSUVとすることで燃料電池車の本格普及に拍車を掛けたいというねらいがある。

室内空間はベースとなったCR-Vとほぼ同じ。水素タンクは後席下と、後席うしろに搭載し、プラグインハイブリッドのIPU(インテリジェントパワーユニット)を床下に収めることでSUVとしての快適性を確保した。荷室は水素タンクの張り出しを逆手にとって、フレキシブルボードを活用することでフラットで広い荷室スペースと、荷物の整理や収納がしやすい2段式の荷室を実現している。

ホンダ CR-V e:FCEVホンダ CR-V e:FCEV

エクステリアデザインは、歴代CR-Vが持つスポーティで機能的なスタイリングに「クリーン」「タフ」「アイコニック」をキーワードに、知的なたたずまいと力強さを表現。ヘッドライトは薄型でワイド感を強調し、リアコンビネーションランプはCR-Vの伝統である縦型とすることでキャラクターを強調。e:FCEV専用デザインとしては、フロントは燃料電池ユニットを搭載するため、ベース車と比べて110mm延長。リアコンビネーションランプはアウターレンズがクリア化され、よりクリーンな印象となっている。

インテリアは『シビック』などから採用されている水平基調のシンプルで質感の高いデザインをベースに、SUVならではのタフなイメージを盛り込んだ。さらに環境に配慮した素材としてバイオ合皮を採用するなど、「人と環境に寄り添うFCEVのスタイルを提案している」という。

ボディカラーは「軽やか」「クリーン」をイメージさせる「プレミアムホワイトパール」と、「力強く」「頼もしい」イメージの「メテオロイドグレーメタリック」の2色を設定。エコカーとしてではなく、SUVとしての魅力を引き出すカラー選択となっている。

◆「バッテリーEVよりも選ばれる存在になりうる」

AC充給電コネクターに接続した「ホンダパワーサプライコネクター」AC充給電コネクターに接続した「ホンダパワーサプライコネクター」

車体左側のフェンダー(助手席ドアの前)にはAC充給電コネクターを装備。家庭のACコンセントから車両の充電をおこなうことができる。AC車外給電用コネクター「ホンダパワーサプライコネクター」を接続することで、最大1500WのAC給電が可能な外部給電機能も装備しており、停電時やアウトドアレジャーでの電源として活用することもできる。

日本仕様ならではの特徴として、荷室内に設置されたCHAdeMO方式のDC給電コネクターに可搬型外部給電機を接続することで、非常時や屋外イベントなどへの高出力な電力供給が可能なDC外部給電機能も装備した。

水素と電気の“いいとこ取り”ともいえるCR-V e:FCEV。開発責任者である生駒浩一氏は、「水素インフラの整った地域においては、その強みを生かしてバッテリーEVよりも選ばれる存在になりうると考えている」と語る。

ホンダ CR-V e:FCEV 開発責任者の生駒浩一氏ホンダ CR-V e:FCEV 開発責任者の生駒浩一氏

《宮崎壮人》

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