もしポルシェ935を現代のマシンとして復活させたら…? 超進化系レストモッド『MADLANE 935ML』の全貌

MADLANE 935ML
MADLANE 935ML全 76 枚

東京オートサロン2024の北館において、会場で極めて異質なオーラを放っていた1台がある。それは岡山にファクトリーを構える「MADLANE(マッドレーン)」が展示した『MADLANE 935ML』だ。9月に開催された「A-MESSE JAPAN 2024」でもカバーカーを務めており、その存在は今のマッドレーンがもつ全てを体現している1台。今回はその珠玉のマシンについて、マッドレーンのファクトリーを訪ねて緻密なディテールに触れてきた。

MADLANE 935ML / A-MESSE JAPAN 2024MADLANE 935ML / A-MESSE JAPAN 2024

◆世界各国から岡山県のファクトリーへ人が集まる「MADLANE」の誇る世界レベルのカスタム

A-MESSE 2023 TOKYO / MADLANEA-MESSE 2023 TOKYO / MADLANE

車から人へ、そして世界へ」これはマッドレーン代表を務め、この935MLのメインビルダーである大橋和生さんのアイデンティティだ。もともとは国産スポーツカーなどのモディファイをしていた和生さんだが、あるときテスタロッサをスラムドした車両で、ポーランドのカスタムカーショー「raceism(現Ultrace)」で日本代表2位のアワードを獲得する。瞬く間に、世界中のカスタムカーフリークが和生さんの存在を知ることになる。

その後もポルシェを中心としたスーパーカーや輸入車を数多く手掛けた和生さんは、とある1台に手を付ける。それが今回の935MLだ。このクルマは当時23歳の和生さんが、オーストリアで初めて実車を見たときに衝撃を受けたことからスタート。自分の手で夢の935を再現したいと考えた和生さんは、帰国後すぐにベース車両となる964C2(911カレラ2 Type 964)を手に入れる。そこから6年の時を経て、東京オートサロンの会場で見事に展示することができたのだ。

◆全てのモディファイは“ROOTS”を大切に、一貫した哲学が生み出すビルドには魂が宿る

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少し話を戻すと、「エアサスを組んでカッコいいホイールを組んでいるだけ」そう笑いながら過去を振り返った和生さん。サラッと一言でいってしまっているが、マッドレーンの作る車はいわゆる“アワードレベル”の車両。何台もモディファイするなかで、和生さんが気付いたのは「ルーツには全て意味がある」という結論であった。

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935MLの製作テーマは、“935をMADLANE流の美しいレーシングマシンへ仕上げる”ということだ。エクステリアで最も大きなものはフラットノーズとダブルウイングのディテール。そこにシャークフィンを加えることで、過去のルーツを大切にしながらも、現代的な解釈のエアロパッケージとなっている。

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組み合わせるリムは当時物のBBSレーシングメッシュ、かつフロントはターボフィンを装着したエアロキャップ仕様だ。タイヤはレーシングスリックであるADVAN 005を装着する。

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元のボディはA/B/Cピラーを残すのみで、レーシングカー同様に前後パイプフレーム化されそこにカウルが組み付けらている。しかもリア側は実際に海外のレースで使用されていた『935 K4』のリアカウルを使用。935MLを印象づけるリアパートを構成している。

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 リアだけでなく他の外装パーツについても、世界中のコネクションを活かして基本的には本物のパーツを使っているというから驚きを隠せない。しかし単に当時パーツをつけるだけではなく、上述のとおり各部の造形・フィニッシュはレーシングマシンとは思えないレベルの美しい造り込みだ。

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タービンはKKK製 3LDZ ターボをツインでレイアウト、カウルをつけていると大人しく見えかもしれないが、当時のレーシングポルシェをオマージュした仕様だ。語り尽くすときりがないが、いかにルーツを大切にしてビルドされているということが、おわかりいただけるだろうか。

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935MLは純然たるレーシングマシンに違いないのだが、個人的にはどこかストリートのエッセンスを感じる。ルーツに敬意をはらったビルドであることは大前提として、これまでに培ってきた足元の美しいフィッティング、そして全体のアピアランスは、ストリートを走ったとしてきっと自然に馴染むだろう(もちろんナンバーはつくわけがないので実際に公道は走れない)。それは和生さんが今までに創り上げた“和生さん自身のルーツ” によって、935MLが単なるレーシングマシンという存在を超越しているからではないか、とまじまじとマシンをみながら感じた。

◆11月17日開催の真庭速祭で走行予定!貴重な走行シーンを見るチャンス

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最後に、夢を現実にするということは並大抵の人間ができるものではない。それを単なる夢で終わらせず形にすることは、本当に素敵なことだと思う。しかし現在の935MLはまだまだ和生さんにとっては通過点だ。

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“本物の走り”を再現するために、現在は997GT3Cupでサーキット走行を行い自身のドライビングスキル向上にも挑戦している和生さん。きっと935MLは、さらに高い完成度へと今後も進化していくだろう。次に935MLが見れる真庭速祭は11月17日、岡山県真庭市で開催予定だ。

《後藤竜甫》

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