BYDのPHEV発売は日本車の脅威になるか?…BYD事業戦略発表

PHEV国内市場投入を発表(BYD 事業方針発表会 2025)
PHEV国内市場投入を発表(BYD 事業方針発表会 2025)全 24 枚

BYDオートジャパンが1月24日、2025年の国内事業戦略を発表した。主な発表内容は、『SEALION 7(シーライオン7)』の販売開始、PHEVの市場投入決定、中型電気バス『J7』のお披露目及び年内納車開始、EVトラック市場参入の4項目だ。これらの日本市場へのインパクトについて考えてみたい。


BYD日本市場での20年の歴史

BYDは電子機器の事業を含めて、日本で20年の歴史がある。本社の事業に合わせて自動車産業に参入してからは、商用車の市場から着実に実績と積んできた。乗用車参入は3年前だが、すでに類型で4000台以上、そして2024年は前年比で50%を超える2223台の新車を販売している。国内輸入車トップのメルセデスは5万台以上(2024年登録車台数)を売っているので、輸入車の中でも突出しているわけではないが、国内新モデルを導入するごとに着実に販売台数を伸ばしている。

グローバルでは2024年のEV・PHEVの販売台数が427万台を超え累計販売台数ではすでに1000万台を達成している。海外展開も積極的で、欧州オーストラリアに加え、2023年、24年には東南アジアへの進出を本格化させた。2025年は韓国市場にも参入し、世界中が注目している企業でもある。

事業戦略発表には、BYDジャパン代表取締役社長であり、BYDアジア太平洋地域のセールスも統括する劉学亮氏が出張先のインドネシアから駆け付けた。「日本でのこれまでの実績は、ひとえにBYD製品を信頼して購入してくれた全国のお客様、販売店のおかげです」とあらためて感謝の意を表した。

シーライオン7も戦略価格となるか

BYDの戦略は、市場との対話を重視する点だ。深圳発、技術起点のテックカンパニーだが「持っている技術」を売るのではなく「ユーザーが求める製品」(のために持っている技術を利用する)を売ることを考える。劉氏は、自身でディーラーや拠点に出向き現場の声を聞いているという。その声、市場にニーズを受けての発表が、前述した4項目となる。

シーライオン7は『DOLPHIN(ドルフィン)』や『SEAL(シール)』といった「海洋シリーズ」のハイエンドモデル。高級感あるクロスオーバーSUV(EV)だ。4月に販売が始まるが、正式な価格発表は行われなかった。おそらく、2025年度のCEV補助金の詳細が発表になってから最終的な価格設定が行われるだろう。EVやPHEVに適用されるCEV補助金は、年度ごとに予算や条件が設定される。制度がある間は、新車購入のインセンティブに大きく影響を与えるため、その動向を見極めてからの価格発表が予想される。逆にいえば、補助金を含めた戦略価格の設定が期待できるということだ。

シーライオン7は、後輪駆動(RWD)と四輪駆動(AWD)の2モデルが設定される。4830×1925×1625mm)の寸法となりホイールベースは2930mm。最小回転半径5.9m。車両重量は2230kg(RWD)、2,340kg(AWD)となっている。

82.5kWhのバッテリーを搭載し、航続距離はWLTCで590km/540km(RWD/AWD)だとする。搭載されるバッテリーはLFPでシールと同じブレードバッテリーの技術が使われている。モーターは永久磁石同期モーターがリアに、AWDのフロントにはかご形三相誘導モーターが搭載される。出力は308kW・380Nm(リア)、215kW・310Nm(フロント)で、0-100km/h加速はAWDで4.5秒だという。

なお、以上の緒元数値は発表時に国交省に提出しているデータだ。最終的なカタログ値などは変更される可能性がある。

BYDオートジャパンの2025年の展望

シーライオン7は、昨年に発表した「年間1台以上の車種を投入していく」(BYDオートジャパン 代表取締役 東福寺厚樹氏)という国内戦略を踏襲するもので、2025年に追加される新モデルが早くも実現されることになる。東福寺氏は、今回の発表でも国内戦略についてプレゼンを行っている。それによると、昨年は「話題づくり・拠点づくり・実績作り」をモットーに事業を進めてきた。2025年もこれを引き続き継続・拡大していくとした。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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