誕生から50年、VW『LT』が商用車の常識を覆した革新的設計とは

50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』
50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』全 11 枚

フォルクスワーゲン(VW)の大型商用車『LT』が誕生から50年を迎えた。1972年にベルリンで発表されたLTは、当時すでに2代目となっていた『ブリ(トランスポーター)』の兄貴分として、VWの商用車ラインナップを拡大した。

商用車の常識を覆したVWの初代『LT』

ブリよりも大型で、かつトラックよりも小型、2.8トンから3.5トン級の貨物輸送車として、LTが誕生した。

50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』

LTの名称は最大許容重量の2.8トン、3.1トン、3.5トンに応じて、「LT28」、「LT31」、「LT35」と呼ばれた。ブリと同様、顧客の要望に耳を傾け、2種類のホイールベースと2種類のルーフバリエーションを用意。パネルバン、ステーションワゴン、バス、平ボディ、ダブルキャブ、キャブ付きシャシーなど、多様なボディタイプを展開した。

開発にあたっては、リアエンジンのブリよりも積載スペース比率を高めることを目指した。エンジンをフロントアクスル上の運転席と助手席の間に配置し、駆動は後輪のままとすることで、荷室全体を有効活用できるようにした。その結果、ブリと比べて全長34cm、全幅30cmの増加で、7.85立方mの荷室容積を確保。積載量は50%以上増加した。

50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』

VWが特に誇るのが、当時の商用車では軽視されがちだったエルゴノミクスだ。人間工学の専門家と協力して開発されたキャビンは、操作系をドライバーの近くに配置し、大型フロントガラスと特大サイドミラーを採用するなど、使いやすさを追求した。

また、フロントアクスルの独立懸架サスペンションを採用し、乗り心地の向上を図った。これはLT登場から長年経っても、同セグメントでは標準的ではなかった先進的な特徴だった。

50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』

エンジンは当初、アウディ『100』由来の2リットル4気筒ガソリンエンジン(55kW/75hpに抑制)と、イギリスのパーキンス社製2.7リットル4気筒ディーゼルエンジン(48kW/65hp)が選択可能だった。1979年にはVW初の6気筒ディーゼルエンジンに置き換えられ、出力は8hp増にとどまったものの、トルクが大幅に向上し、静粛性も格段に改善された。

LTは革新的な設計と使いやすさで、商用車の常識を覆した先駆者的存在だった。誕生から50年を経た今も、その先進性は色あせていない。

50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』50周年を迎えたフォルクスワーゲンの大型商用車『LT』

《森脇稔》

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