【シトロエン C4 新型試乗】“もうひとつのダンパー”がなかなかいい仕事をしている…島崎七生人

シトロエン C4 MAX Hybrid
シトロエン C4 MAX Hybrid全 18 枚

温故知新を地で行くような新しいロゴマークに、公道テスト車両のダミーの灯体のようにも見える(?)ライトシグネチャー……。独特のミステリアスな雰囲気さえ漂わす新しい『C4』のマスクは、遠く『GS/GSA』を源流とするクルマとして程よく個性があり、なかなか心地いい。

試乗車の新色“マンハッタングリーン”も、スタイリングをそこはかとなく引き立てる。個人的にも自分で乗るならこの色だな……などと、かつて初代C4を色まで決めて買う寸前まで検討した(4ドアの“グリフェール”だった)ことがある筆者はそう思った。あくまでも実用車の範疇だが、乗るたびに小さく心躍らせてくれるのがシトロエンの魅力だ。

◆明るい室内と独特の乗り心地

シトロエン C4 MAX Hybridシトロエン C4 MAX Hybrid

乗るたびに……といえば、明るい室内空間にも好感をもった。資料によればシートには“厚さ15mmのフォームパッドを挿入”とのこと。素材のウレタンの硬度や密度、表皮がどのくらいの張りで圧縮をかけているのかなど不明ながら、『エグザンティア』や『BX』の頃とまでは言わないまでも、着座するとシートが身体に微妙にヒタッと吸い付いてくる感触が味わえる。

一方で後席は前席よりもクッションがフカッ!とストロークし、愛用のボアマット越しながら我が家のシュンもラクな座り心地(フセ心地?)が味わえたようだ。起こされたシートバックの角度、十分な頭上と足元空間、ファミリーユースに適した広い窓の視界などで“人にとって”の快適性ももちろん高い。

シトロエン C4 MAX Hybridシトロエン C4 MAX Hybrid

快適性といえば独特の乗り心地も見逃せない。音楽の奏法で“スラーのような”といえばいいか。微低速から個々の振動を押し並べ、そのことで走行中のクルマの揺れの振幅が大らかなものに変換され、いつの間にかゆったりとした気分で乗っていられる……そんなイメージ。

PHC(プログレッシブ・ハイドローリク・クッション)と呼ぶ、ピストンスピードとは別にストローク位置で減衰を変化させる、いわば“もうひとつのダンパーが組み込まれた”このPHCは、なかなかいい仕事をしている。

シトロエン C4 MAX Hybridシトロエン C4 MAX Hybrid

◆自然なパワーフィールのハイブリッド

もちろん1.2リットルの3気筒ガソリンターボ(100kW/230Nm)+6速デュアルクラッチ(e-DSC6)に16kW/51Nmのモーター、48V駆動用バッテリー(容量0.876kW)を組み合わせたハイブリッドシステムは、この新しいC4の注目のポイントだ。

ただし“注目”といっても際立っている風ではなく、むしろ当たり前のように自然なパワーフィールを味わわせてくれるところが良さだと思う。

シトロエン C4 MAX Hybridシトロエン C4 MAX Hybrid

ベルトスターターでまずエンジンを始動させて走り出すが、その後は駆動用バッテリーの残量が50%を維持するような制御だそうだが、タッチスクリーンで“オートモード”をオンにしておけば思いのほかEV走行をし、エンジンをよく止め、またエンジンの“入りかた”もスムースで、デュアルクラッチの威力で変速もスッスッと何事も起こっていないかのように実行される。

音や振動、ショックが気になる場面はほぼ皆無で、とにかく上質で洗練されたマナーが印象に残る。

シトロエン C4 MAX Hybridシトロエン C4 MAX Hybrid

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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