日立製作所は7月10日、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて、低温で高出力な発電を可能にする次世代固体酸化物形燃料電池(SOFC)技術を開発したと発表した。
この技術は、半導体で培った技術を応用し、燃料電池の構造を細かく分割して管理することで各セルごとに性能を評価し、不良セルを事前に除去している。これにより、全体としての故障リスクを低減し、高い信頼性を実現した。
また、発電に重要な部品である電解質層の厚みを均一に薄くすることで出力密度を向上させた。この結果、SOFCの動作温度を従来の約700度から519度まで低下させながら、1W/cm2を超える高出力と高信頼性を両立した。
低温動作により、断熱材の使用削減やコスト低減が可能となり、工場の自家発電や災害時の非常用電源など、産業用分散電源や可搬型電源など幅広い用途への適用が期待される。