アウトモビリ・ランボルギーニは7月11日、公道仕様の『テメラリオ』をベースに開発された初のレーシングカー『テメラリオGT3』を発表した。世界中のレースシリーズに参戦し、ランボルギーニのレーシングカーの新たな基準を打ち立てるという。
テメラリオGT3は、イタリアのサンタアガタ・ボロネーゼの工場ですべて設計、開発、製造された初のモデルである。テメラリオプロジェクトは当初からモータースポーツを念頭においており、設計初期段階からレース指向のエンジニアリングを戦略的に組み込んでいるという。

ランボルギーニにとって革新的なこのアプローチにより、GT3には、レースの構造要件と整備要件を満たすように特に改良された特別なアルミニウム製スペースフレームを採用。量産モデルと同じ4リットルV8ツインターボエンジンを採用しているが、特に過給システムを見直し、GT3のレギュレーションに準拠しながらも、レース条件下でピークパフォーマンスを発揮するようにターボチャージャーコンポーネントも再設計。エンジンの出力方法を公道仕様の800hpではなく、550hpに変更している。
テメラリオGT3にはランボルギーニのモータースポーツ部門の「ウラカンGT3」における経験が活かされている。この車は過去10年間に、全世界のGT3レースで96勝を収めた。
アルミニウム製スペースフレームはテメラリオの量産車から引き継がれているが、軽量化と簡素化を徹底して、レース仕様に仕上げた。特に、フレームが簡素化され、ピット作業で、フロントとリアのサブフレームを素早く取り外して再度取り付けることができる。取り外し可能なリアサブフレームには、エンジンと新トランスミッションのコンポーネントが収容される。

量産車ではハイブリッドコンポーネントを支持するブラケットはこのレース仕様では不要なため、すべて除去された。アルミニウムフレームの中心部には、FIA GT3安全基準に準拠したロールケージが組み込まれている。フロントサブフレームも変更され、量産車の特徴である電気モーターを取り除いている。
シャーシに装着された最新のボディワークには、初めてカーボンコンポジット素材が採用され、車両のベース重量を可能な限り軽量化した。目標は、量産車に特徴的なスタイルを維持しつつ、新しいエンジンとブレーキ冷却システムの要件に適合させ、ダウンフォースとドラッグの性能目標を達成し、最適なエアロダイナミクスバランスを実現することだった。
リアディフューザー、エンジンカバー、ボンネットも素早い取り外しを念頭に設計。フロントライトにも、迅速な取り外しを可能にするクイックコネクタシステムを採用した。フロアは4つの独立したパーツで構成されており、フロントアクスル前方の2つのセクション、車体中央を通る1つのセクション、そして強力なリアディフューザーから成り立つ。中央セクションは、必要に応じてピットロードでジャッキアップして交換できる設計となっている。

アウトモビリ・ランボルギーニのチェアマン兼CEOであるステファン・ヴィンケルマンは、「テメラリオGT3は、テメラリオプロジェクトから生まれた最初のレーシングカーであり、ランボルギーニのモータースポーツに対する強い信念を表している。本プロジェクトはロードカーのプロモーションとしても非常に重要である。ウラカンGT3プロジェクトは、96回のチャンピオンシップ獲得、販売台数は200台以上と、レースでも商業面でも成功を収めた。そのため、私たちはテメラリオプロジェクトの始動時から、常にレーシングモデルを思い描いてきた。テメラリオGT3はロードゴーイングモデルのテメラリオと同様に、レースの世界でも新たな基準を生み出すだろう」と話している。