残クレ車もOK! 純正の音を良くする話題のアイテム『DSP』ってなに?

残クレ車もOK! 純正の音を良くする話題のアイテム『DSP』ってなに?
残クレ車もOK! 純正の音を良くする話題のアイテム『DSP』ってなに?全 17 枚

愛車のオーディオの音を良くしたいというニーズは今も昔も強い。しかし近年はクルマの加工を避けるいくつかのハードルがあり、スピーカー交換などに手を出しにくくなっている。そこに救世主として現れたのがDSPだ。

【画像全17枚】

◆加工を避けたいニーズに応えるDSP

音楽はもちろん、ラジオでも映像コンテンツでも音が良くなることで車内環境は劇的にアップする音楽はもちろん、ラジオでも映像コンテンツでも音が良くなることで車内環境は劇的にアップする

「クルマを購入して純正オーディオを聴いているけど、その音に満足できない」というユーザーは多いだろう。しかしスピーカー交換や配線などで加工が伴うのはハードルが高いと思っているユーザーが多いのも事実。そこで相反するニーズを一挙に解決してくれるのが今回取り上げるDSP(DSP=デジタル・シグナル・プロセッサー)。

スピーカー交換やサブウーファーの追加のような目に見える変化はないのがDSPの特徴で、オーディオのグレードアップとしては少々地味な印象だが、それだからこそ魅力となっているのは純正オーディオを加工することなくアドオンできる点だ。

具体的にはディスプレイオーディオやスピーカーなどの純正システムを変更することなく高音質化できるのがDSPの魅力。つまりクルマ側で加工が難しい場合やユーザー心理として加工をよしとしない場合にもスマートに取り付けできるのがメリット。もちろん残価設定型ローン(残クレ)を利用しているユーザーも、純正状態を崩すことなく高音質化できる、とっておきの音質向上メニューなのだ。

◆DSPの基本機能と得られる効果

タイムアライメント調整前は運転席で聞くと右側に偏って聞こえる場合が多いタイムアライメント調整前は運転席で聞くと右側に偏って聞こえる場合が多い

そこでまずはDSPの機能やメリットを紹介しておこう。カーナビやディスプレイオーディオなどにイコライザーやゲイン調整などの設定メニューがあるのを見たことがあるのではないだろうか、これも簡単なDSP機能だ。そんな“音の調整機能”をさらに高めて独立したユニットとしたのがDSP。

ハイスペックな調整機能を備え、愛車に合わせたセッティングを行うことで「目の前にボーカルが浮かび上がる」「クリアで引き締まった音になった」「ライブ会場の雰囲気が車内で再現されている」「締まりのある低音が体感できる」など多くのメリットが感じられる。しかも前に紹介したとおり、スピーカーなどを変更せず調整だけで高音質化が図れるのもDSPの特徴だ。

それらのメリットを生み出すDSPの機能がイコライザーやタイムアライメント、クロスオーバー、ゲイン調整などの詳細設定だ。イコライザーは低音~高音の各帯域を調整する機能、タイムアライメントはスピーカーとリスナー(主に運転席)との距離を補正する機能、クロスオーバーは各スピーカーの再生する帯域を制御する機能。これらを駆使して、音源に収録された元の音に近い音を車内で再生できるようにするのがDSPの働きだ。

タイムアライメントは距離を測って数値をソフトに入力すれば演算して設定してくれるタイムアライメントは距離を測って数値をソフトに入力すれば演算して設定してくれる

例えばタイムアライメントを調整するとして、大まかに言えば自身の着座位置とスピーカーまでの距離を測定して数値を入力すれば“ある程度”の調整は可能なのだが、車室内はシートやルーフ、ダッシュボードやセンターコンソールの形状などによって音が反射したり吸音されて測定値だけでは測れない部分もあるのだが、何もやらないよりは測定値を入力した方が音場は整ってくれる。

イコライザー調整は低域から少しずつ調整してトライ&エラーで進めていくイコライザー調整は低域から少しずつ調整してトライ&エラーで進めていく

イコライザーに関して今は周波数測定が出来る無料アプリもあるので、測定しながらイコライザーを調整すると精度はかなり上がってくる。オススメとしてはナビやディスプレイオーディオがBluetooth接続可能だとして、ピンクノイズを再生する無料アプリでノイズを流しながら周波数測定を行い、低域から順に振れ幅の大きい帯域を調整していく流れだ。

市販DSPは調整を行うとリアルタイムに反映してくれるので、ピンクノイズを流しながら周波数測定グラフを見てイコライザーを調整するというアプリ3つを駆使して行うことになる。その時に注意するのが調整は2~3か所までにしておくこと。これは音の成分は調整した場所だけじゃなく、上の帯域にまで影響を及ぼすので、一気にやってしまうと何が正解で何が間違いなのかが分からず、沼にハマるからだ。目標としては、周波数測定で出来る限り上下幅の少ない、なだらかな右下がりのグラフを目指して調整していくことになる。それが出来たときに“低域を強くしたい”とか“高域を強調したい”という好みを足していける。

◆カロッツェリアDEQ-2000Aの使いやすさ

今回テスト機として使用したcarrozzeria DEQ-2000Aは高品位な定格出力40 W x 4chのデジタルパワーアンプを搭載今回テスト機として使用したcarrozzeria DEQ-2000Aは高品位な定格出力40 W x 4chのデジタルパワーアンプを搭載

DSPはすでに国内外から数多くラインアップされている。中でも今年発売されたパイオニア・カロッツェリアブランドのDEQ-2000Aは機能に加え、手軽にDSPを設置できる面で一歩進んだ仕様を備えているので注目した。まずはDSPの根幹機能となる調整には車種専用のセッティングデータを用意し(車種専用データが無い車種向けに車両形状別のデータも用意)、データをダウンロードするだけで最適セッティングが完了する手軽さ。これならDSP調整の知識が無いユーザーでもDSPをブラックボックスとして使えるので誰もが今すぐ利用可能だ。

無料でダウンロード出来るセッティングデータ。今後も設定車種は増えてくそうだ無料でダウンロード出来るセッティングデータ。今後も設定車種は増えてくそうだ

DSPのセッティングデータのダウンロードや各種設定はスマホ(PCを利用することも可能)から行えるのもDEQ-2000Aの魅力。基本的にはダウンロードして車種専用データをそのまま利用すればOKだが、調整の内容(イコライザーやタイムアライメントなど)もスマホの専用アプリ(DSP Controller)から見ることも微調整することも可能。さらにDEQ-2000Aのもうひとつの注目点は別売で純正システムとの接続用ハーネスが用意されていることだ。これを用いれば純正システムにカプラーでDSPを接続可能で、純正配線を加工することなく設置が完了する=取り外しも容易だ。

タイムアライメント調整後はダッシュボード上に綺麗に分離してクリアで臨場感あるサウンドが体感出来るタイムアライメント調整後はダッシュボード上に綺麗に分離してクリアで臨場感あるサウンドが体感出来る

ところで、今さらだが、高音質って何だろう。もちろんスピーカーなどを交換して出てくる音のクオリティを高めることはもっともわかりやすい高音質化だろう。しかしもうひとつの要素として音の定位が大きな要因になる。

定位とは音像定位のこと、つまりボーカルや楽器などが録音された状態であるべきところで鳴っていること。具体的には左右のスピーカーの間の空間で演奏しているように感じる音像が音の良さのひとつの要因でもある。そこでDSPの登場となる。純正ではモヤッとした不確かな音像だったものがDSPを使って調整することでフロントガラスの中央部分の空間に音像が浮かび上がる。スピーカーが無い空間から音が出てくる感覚は初めて体験したユーザーにはかなりの衝撃のはず。多くのユーザーもこれを体感すると「すごく音が良い」と感じるのは筆者も多くのエントリーユーザーを取材して体感済みで、それをサポートできるのがDSPなのだ。

◆デモカーを体験することで分かるDSPのメリット

ここまでDSPによるメリットを紹介してきたが、実際にDSPを取り付けて調整するとどのような音になるのかは体感してみるのがいちばん。そこでカロッツェリアのDEQ-2000Aを取り付けたトヨタ『アルファード』を試聴し、取り付け・調整前/後の聴き比べを実施してみた。アルファードは純正ディスプレイオーディオ、純正スピーカー(フロント/リア)をそのまま使った状態で、DEQ-2000Aを接続した上でアルファード専用のセッティングデータを用いた。

carrozzeria DEQ-2000Aのタイムアライメント調整画面carrozzeria DEQ-2000Aのタイムアライメント調整画面

DSPの効果を確かめるには、純正システムを使ったこのアルファードは最適。さらにDSPを介した音と純正の音を切り替えて聴き比べられる環境も整えられていた。DSP調整の有無を聴き比べると、純正では大きく右側に偏ってAピラーやドアなどに張り付いて聴こえていた音像が、ピタリとフロントガラスの中央部付近に集まり空間に音が浮かび上がるのがわかる。すでに音の心地良さは大きくグレードアップしている。さらに純正ではぼんやり広がっていた音がきゅっと引き締まり、ボーカルや楽器が目の前に居るかのようにフォーカスされるのが印象的。

carrozzeria DEQ-2000Aのイコライザー調整画面carrozzeria DEQ-2000Aのイコライザー調整画面

DSP調整により楽器やボーカルなどの位置が明確になるのに伴い、純正では平板に感じていた音が立体的に感じられる。特にライブ音源では、ステージと会場の雰囲気をリアルに体感できる音に仕上がっている。また音のクリアさもアップし、純正ではさまざまな音が混じり合って聴こえていたイメージが、DSPを通すことでそれぞれの音が分離して独立して聴こえるのも心地良い。キリッとしたクリア感はそこから生まれている。

carrozzeria DEQ-2000Aの車種別プリセットON(右)OFF(左)の周波数特性。全体的に整っているのが分かるcarrozzeria DEQ-2000Aの車種別プリセットON(右)OFF(左)の周波数特性。全体的に整っているのが分かる

このようにDSP調整による高音質化を試聴で体感したが、さらに今回は裏付けとなるデータとして簡易的なRTA(リアルタイム・アナライザー)を用意して周波数測定を実施することにした。測定器のデータを見ると、DSP調整前には大きく上下して荒れていた周波数特性が、DSP調整によって比較的フラットに落ち着いているのが確認できた。

周波数特性の乱れを補正するのがイコライザーの役目となるのだが、例えば反射で強まった周波数を下げるなど、DSPのイコライザーをうまく利用した調整であることがデータからも確認できる。イコライザーのデータも、先に紹介したアルファード専用のセッティングデータに含まれているのでその精度は高い。パイオニアはさまざまな車載オーディオ機器を開発しているので、車種ごとのノウハウも蓄積しアルファード専用の調整にも長けている。その上で車種専用のセッティングデータを作り込んでいるのも結果につながっている。

気になったユーザーはDSP調整の効果を販売店などで体感してみると良いだろう。国内外さまざまなブランドからDSPは発売されていて、数万円から最高峰だと100万円を超える製品もあるのだが、今回の例に挙げたカロッツェリアのDEQ-2000Aは価格的にも4万800円(オートバックスでの販売価格)と比較的手軽なのも魅力。純正との音の違いは想像以上で、手軽な設置を考えるとコスパやタイパの面でもメリットを感じるはず。

製品の発売自体は12月からなのだが、すでにオートバックスで先行販売が開始しているので、手間をかけずに高音質化を目指すユーザーならDEQ-2000Aの導入を検討してみると良いだろう。もちろんDSPだけではなくスピーカー交換も同時に行えばその効果は大幅にアップするのでぜひチャレンジして欲しい。

《土田康弘》

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