自動車開発に求められるスピード感、課題解決に向けクエスト・グローバルが提案する「エンジニアリングの力」とは

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クエスト・グローバル・ジャパン Automotive部門ジェネラルマネージャーの藤間真樹氏
クエスト・グローバル・ジャパン Automotive部門ジェネラルマネージャーの藤間真樹氏全 5 枚

◆自動車開発の現場に求められる「スピード」とその本質

自動車開発の競争軸がSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)に代表されるようにハードからソフトウェアへと移り、ソフトウェアの開発スピードが新たに競争力として問われるようになってきた。その変化の本質は「クルマに、より安全で快適で、そしてエンタテイメントの要素が強く求められるようになっていることが大きい」---。

そう指摘するのは、プロダクトエンジニアリングの先駆であるクエスト・グローバル・ジャパンの Automotive部門ジェネラルマネージャー兼ストラテジック クライアント パートナーである藤間真樹氏だ。

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「車の“走る・止まる・曲がる”という基本性能は熟成の域に達し、この領域での差別化は難しくなっています。安全性や快適性が新たな差別化要因となり、また体験型のサービスを提供することが自動車の新たなビジネスモデルになりつつあります。これらを体現するADASや自動運転、デジタルコックピットは、ソフトウェアで制御するシステムの代表例です。これらシステムの技術進化は凄まじく、またソフトウェアのアップデートが通信(OTA)で行われるようになったことで、より一層、開発スピードの向上が求められるようになりました」

クエスト・グローバル・ジャパン Automotive部門ジェネラルマネージャーの藤間真樹氏クエスト・グローバル・ジャパン Automotive部門ジェネラルマネージャーの藤間真樹氏

しかし開発スピードを上げていくためにも、他の産業と比べて自動車業界は、人の命を乗せて公共の安全に大きく関与する分、開発プロセスの時間軸に“慎重さ”が重くのしかかる。

「通信によるソフトウェアのアップデートだけではクルマの商品価値の向上には限界があります。ハードも含めた短いサイクルでのアップデート、すなわち車両自体の開発スピードを上げていく必要があります。自動車は人の命を乗せて走る製品ですから、開発における安全要求は厳しい。自動車の電子・電気システムの安全に関する標準規格である機能安全(ISO 26262)に代表されるように、ウォーターフォール型の開発プロセスで自動車の安全は保証されています。ソフトウェアの開発で他業界では普通に採用されているアジャイル方式は自動車には馴染みません。ウォーターフォール型の開発プロセスを維持しながら、いかにして自動車の開発期間を短縮できるかが自動車メーカーの競争力の鍵になってきています」

開発スピードを上げるには、いくつかの柱となるものがあるという。

「昨年来、OEMの方から『中国のOEMはどうやって自動車を短期間で開発をしているのか?』との質問を頂く機会が増えました。中国のOEMはウォーターフォール型のプロセスを無視しているわけではありません。では何が彼らのスピード開発を可能としているのか。大きく分けると次の4つが挙げられます」

1. OEMを中心とした垂直統合
2. プラットフォームアーキテクチャ
3. プロセスイノベーションとデジタルトランスフォーメーション
4. 潤沢な人的資本

◆ティア0.5が可能とする「垂直統合」

「まず垂直統合。自動車業界は当然、OEMの下にシステムサプライヤーのティア1、コンポーネントを造るティア2、素材を用意するティア3が分業しているわけです。ただしバッテリーを製造していた中国メーカーは元より制御も手がけていましたから、統合ECUも内製している点は大きなアドバンテージ。結果的にサプライチェーン間のコミュニケーションにおけるロスがなく、開発プロセスも短い。一方、従来的な自動車業界の上意下達では、品質課題などの問題はOEMの主導だけでは改善しづらく、その都度、差し戻しが生じる。サプライチェーンの垂直の関係を圧縮して水平型に分業するという、新しい意味での垂直統合、いわゆる水平統合によってコミュニケーション・ロスを解消できれば、開発スピードを上げることが可能となります」

「具体的にサプライチェーンを圧縮する手順には、DO/BUY/CONTROL/PROTECTという4つのアクションがありますが、三つ目のコントロールとはサプライヤーとの戦略的パートナーシップを通じて、ステークホルダー間の利益マージンを調整することにあります。ですからティア1と同等の知見で検証できるノウハウをもち、“ティア0.5”という立場で動ける機敏なチームが必要になるのです。クエスト・グローバルは長年、ティア1向けの開発を手がけた経験が豊富なため、仕様書や要件定義、どういった規格に則って開発するかといった方向づけが可能です」

つまりエンジニアリング・カンパニーとして開発業務の一部をOEMから託されて請け負うのだが、R&D体制の中心にエキスパートを送り込みティア0.5の機能も発揮するのだという。

例えば、これまで車載インフォテイメントといえば、ナビゲーションとオーディオシステムが中心で、車両コントロールやメーターパネル内の表示機能は、別のECUで制御していた。これらの機能の制御は今やコクピットドメインコントローラーで一元化され、ソフトウェアはクラウドやOTAを前提にアップデートし、センシングや通信領域のデータを管理する必要さえあるが、開発体制は従前のままで、ステークホルダーの調整や整理がされずに開発が進められてきたきらいがある。

「それぞれの専門性が絡んでいるため、一人ですべての領域を把握できているエンジニアはどこにもいません。クエスト・グローバルは専門領域をカバーできるエキスパートを“ティア0.5”として開発の中枢に送り込み、そのミッションを支えるオフショアのチームが専門性を発揮するから、役割を果たせるという考え方です」

OEMが抱える4つの課題と、競争力を実現するための構造《資料出典 Quest Global》OEMが抱える4つの課題と、競争力を実現するための構造《資料出典 Quest Global》

「また、垂直統合の他にもいくつかの柱があり、中国メーカーが高いパフォーマンスを発揮している要因として、テック&プラットフォーム面での効率の高さが挙げられます。中国車はブランドの垣根を超えてプラットフォームをかなりの部分で共有している。様々なブランドの各モデルをよく見ていると、基幹となっているものは一緒で、差別化すべきところだけ競争領域としてやっています。日本にも協調領域はありますが、中国に比べると狭い。一方、自動車メーカーの個性を出すには差別化領域は大きく取るべきですのでここは難しいところです」

◆シフト・レフト - デジタルを駆使してプロセスを効率化

自動車の安全規格に関するコンサルティング経験もある藤間氏は、こうも強調する。

「前述の通り機能安全というコンセプトによって、新たに開発されて世に出るプロダクトの安全性は守られます。自動車ではソフトウェアのシステム開発も、プロセスを守ることによって安全を担保するという考え方に基づいているのです。ですからメーカー側は、規格に準拠したプロセスに沿って開発を進めて、成果物をつくらなくてはならないということ。開発の効率化を考えれば、“V字モデル開発”における左バンクへのシフト・レフトが肝要になります」

左バンクというのは主に設計開発のプロセスのことで、右バンクはテストや検証活動を指すが、検証時に不具合が出た時に左バンクへの手戻りが起こる。この手戻りを減らすために、開発段階からシミュレーションを活用し先行して検証を行う、いわゆるシフト・レフトが今や必須というのだ。

「手戻りして開発からやり直すという前提でいると、担当者がすでにいないということも起こり得ます。左バンクの開発の早い段階でHILSや、デジタルツインなどのバーチャル・シミュレーションで検証を行うことで、右バンクの実機での検証の負荷を軽減し、検証精度を高めることが可能となります。自動車業界はテストを自動化するところまで来ましたが、AIを活用したテストケースの作成や、IT業界ではソフトウェアの開発で一般化しているDevOpsやCI/CDの活用、デジタルツインの導入は遅れています。我々は自動車以外の産業にも精通し、実績も豊富ですので、デジタル化のインフラ構築も含めた自動車開発プロセスの効率化を支援する体制が整っています」

OEMに向けたテスト&統合ロードマップ《資料出典 Quest Global》OEMに向けたテスト&統合ロードマップ《資料出典 Quest Global》

◆自動車産業の変革を、エンジニアリングの力で牽引するクエスト・グローバル

開発期間を短縮する4つめの要素である人的資本。これこそが、クエスト・グローバルの強みだと藤間氏は言う。

「我々は『ヒューマンキャピタル・デプロイメント』という考え方に則り、数学やエンジニアリング、サイエンステクノロジー教育に積極的なインドに豊富なソフトウェア人材を擁しています。前述の生成AIによるテストケース作成やテストの自動化、DevOpsやデジタルツインへの対応もさることながら、開発プロセスそのものを改善し標準化することも可能です」

電動化に続く自動車の本質的な変化とは、ソフトウェア化であり開発ロジックの異なる最適化であるが、ソフトウェアプロダクトの形としては、「デジタルコクピット」に収斂されていくと藤間氏は言う。ユーザーとのインターフェイスであり、アップデートを通じて提供されるサービスの基盤にもなるそれを、今後どのように捉えていくべきものなのか。

クエスト・グローバル・ジャパン Automotive部門ジェネラルマネージャーの藤間真樹氏クエスト・グローバル・ジャパン Automotive部門ジェネラルマネージャーの藤間真樹氏

「SDVの視点からデジタルコクピットを考えると、スマートフォンと同じように、アプリを通じたサービスが起点となるでしょう。そのアプリ開発には、色々なものが詰まっている。ソフトウェアと単純にいっても、その下にはプラットフォームやミドルウェア、OSやアプリケーションがあって、さらにはその先のクラウドへOTAで繋がっています。これらすべてを動かすものが、狭義でなく広義のソフトウェアです。プロダクトアウトではなく、デジタルコクピットの上で、マーケットインから始まるものをどう開発するか、そのシステムの上にどのようなアプリを入れたら魅力的で売れるか、そのアプリを回すためにはOSをどう開発しなければいけないか。サービスサイドからクラウド、システム、半導体まで、これらの全スタックで、インドのハイレベルな人材をオフショアで展開できる点が、クエスト・グローバルの強みであり、自動車開発における総合力ということです」

クエスト・グローバルは、自動車産業のサービス・イノベーションをエンジニアリングの側から牽引するということだ。自動車の存在や価値そのものが大きく変わろうとしている今、開発現場にも新たなソリューションが求められている。クエスト・グローバルが約25年にわたって培ってきた知見や手法、そして強力な人材がそれを力強く後押ししてくれるに違いない。

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クエスト・グローバル・ジャパンは、国内最大級の自動車関連技術展示会「人とくるまのテクノロジー展2026」にオンライン出展(5月19日~6月9日)し、その魅力をアピールする。

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《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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