130万円台・最新ネオレトロ比較!スズキ『GSX-8TT』&ヤマハ『XSR900』、それぞれの違いと選ぶべきポイントは

スズキ GSX-8TT(左)とヤマハ XSR900(右)
スズキ GSX-8TT(左)とヤマハ XSR900(右)全 58 枚

車体価格130万円台のネオレトロモデル、スズキ『GSX-8TT』とヤマハ『XSR900』にワインディングで試乗。落ち着いている方と軽やかな方。コロコロ回る方とギュンと吹け上がる方。ハンドリングにもエンジンにも、それぞれまったく異なるキャラクターが与えられていた。

【比較画像】最新ネオレトロ、スズキ『GSX-8TT』&ヤマハ『XSR900』

「GSX-8TT」(およびGSX-8T)は2026年1月に、「XSR900」は2025年4月に発売された。年間の国内販売計画は前者が480台(GSX-8Tとの合算では840台)、後者が600台を想定しており、ターゲットユーザーは似通っているが、スペックは結構異なる。

ヤマハ XSR900(左)とスズキ GSX-8TT(右)ヤマハ XSR900(左)とスズキ GSX-8TT(右)

●GSX-8TT/XSR900
・エンジン:直列2気筒/直列3気筒
・排気量:775cc/888cc
・最高出力:59kW(80ps)/8500rpm/88kW(120ps)/10000rpm
・最大トルク:76Nm/6800rpm/93Nm/7000rpm
・燃費(WMTCモード):23.4km/l/20.9km/l
・燃料タンク容量:16リットル/14リットル
・シート高:810mm/815mm
・車重:203kg/196kg
・全幅:775mm/790mm
・最小回転半径:2.9m/3.5m
・車体価格:138万6000円/132万円

エンジンを基軸にして考えると、GSX-8TTの対抗には『XSR700』(直列2気筒/688cc/100万1000円)をぶつけてもいいのだが、そうすると価格に開きがあり、車格も変わってくる。そのため、今回はXSR900がふさわしいと考えた。

◆とっつきやすさとハンドル切れ角の余裕は「GSX-8TT」に軍配

スズキ GSX-8TTのライディングポジションスズキ GSX-8TTのライディングポジションヤマハ XSR900のライディングポジションヤマハ XSR900のライディングポジション

シートにまたがって走り出し、とっつきやすいのはGSX-8TTだ。車重はXSR900より7kg重く、数値的にはバカにならない差ではあるが、動的な状態では気にならない。エンジンはいずれも扱いやすいものの、2気筒のGSX-8TTの方がサウンドもバイブレーションもジェントルに感じられ、猛々しさは皆無。また、シートに対してステップの位置が低く、ヒザの曲がりも穏やかな分、ポジションにもゆとりが感じられる。

そしてもうひとつ。ここが決定的だが、ハンドルの切れ角に余裕があることだ。最小回転半径を比較すれば分かりやすく、XSR900の3.5mに対して、GSX-8TTは2.9mで回ることができる。実際、撮影時は片側1車線ずつの道路を何度もUターンすることになるのだが、GSX-8TTだとなんの準備もなく、その場でクルリと転回できるのに対し、XSR900の場合は道路の端に一旦停止し、スイッチバック的に少しでも頭の向きを変えておかないと、一発で決めるのは難しい。

また、グリップの端同士の距離は(バーエンドは含めず)、GSX-8TTが720mm、XSR900が730mm。10mm程ではあるがXSR900の方が幅広で、ハンドルをフルに切った時にアウト側の手が伸びやすいこと、そして、その先にミラーが出っ張るため、心理的にも大柄な車体を扱っている感覚が強い。ちなみに、ミラーの端同士の距離になると、GSX-8TTが890mm、XSR900が1030mmと140mmの差がある(数値はいずれもメジャーによる手計測)。

スズキ GSX-8TTスズキ GSX-8TTヤマハ XSR900ヤマハ XSR900

◆フレーム、レイアウト、エンジン…スポーツ性は「XSR900」が優位に

鋭い読者は、「あれ、全幅は15mmしか違わないのでは?」と思うだろうが、その通り。スペック上の全幅とはグリップ(バーエンドを含む)、もしくはレバー同士(クラッチ/ブレーキ)の先端値のことを言い、つまりミラーは無関係だ。

XSR900のハンドル切れ角は、アルミフレームの形状やエアクリーナーBOXのレイアウト(燃料タンクの前方にある)、ハンドルの高さやスイッチBOXといった要素が絡み合った結果だが、言い換えると、そのアルミフレームが車重の軽さと剛性の高さに、エアクリーナーBOXが高揚感をくすぐる吸気音に、そしてハンドルがスポーツライディングのしやすさにそれぞれ貢献。GSX-8TTのフレームはスチールで構成され、エアクリーナーBOXはシート下に置かれている、という違いがある。

ヤマハ XSR900ヤマハ XSR900

したがって、スポーツ性という観点で評価すると、俄然XSR900が優位となる。中回転域から高回転域で盛り上がる3気筒特有のパンチ力、その時に発する刺激的な吸排気音、しなやかさとダイレクト感がバランスした足まわり、高剛性フレームや軽量ホイールがもたらす軽快なハンドリング……といった要素がポジティブに機能。コーナリングの醍醐味を堪能することができる。

◆「GSX-8TT」と「XSR900」それぞれを選ぶべきポイントは

そして、それを支えているのがスーパースポーツのフラッグシップと遜色のない電子制御の数々だ。エンジンモードやトラクションコントロールはもちろん、6軸のIMUを搭載しているため、姿勢変化とその加速度も検知。スライドコントロール(横滑り制御)、リフトコントロール(ウィリー制御)、ブレーキコントロール(バンク中のブレーキ制御)、バックスリップレギュレーター(エンブレによるホイールロックとその時のトルク制御)といったあれこれと連動し、車体のスタビリティとコントロール性を引き上げている。

ヤマハ XSR900ヤマハ XSR900

これらに加え、クルーズコントロールやYVSL(任意に設定した速度を超過しないよう出力を制限してくれる)、スマホと連携したナビゲーション表示など、快適&便利機能の充実度が極めて高く、それでいて価格がGSX-8TTより6万6000円安く、ノンカウルの「GSX-8T」と比較しても2万2000円高に過ぎないコストパフォーマンスのよさは、相当の訴求力を持つ。

乗車シーンの多くがストリートで、そこでの扱いやすさや取り回しのよさ、低速低回転域の心地よさ、航続距離を優先するならGSX-8TTを、郊外を走る機会が多く、そこでのスポーツ性や中高回転域の刺激、装備面に重きを置くならXSR900がおすすめとなる。

スズキ GSX-8TTスズキ GSX-8TT

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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