三菱自動車は5月29日、2026年度から2030年代に向けた新中長期ビジョンを発表した。「尖った商品・ブランドの強化でお客様満足と企業価値を向上」を掲げ、ブランド強化による成長戦略と収益体質の構造転換を同時に進める。
◆三菱自動車、2030年代へ向けた新中長期ビジョンを発表
三菱自動車を取り巻く事業環境は、地政学リスクの拡大や環境規制対応の見直しなどにより不確実性が高まっている。こうした状況を踏まえ、従来の中期計画の延長線上ではなく、より長期的な視点で「尖った商品・ブランドの強化でお客様満足と企業価値を向上」を新たな方向性として掲げた。
この方針のもと、ブランドを軸とする「成長戦略」と、収益体質の強靭化をめざす「構造転換」を同時に推進。不確実性の高い市場環境の中でも持続的な成長と企業価値向上を図る。
成長戦略では、三菱自動車らしさを体現する商品や技術を強化するとともに、ブランド優位性を持つ市場への重点投資や、同社の特長を生かしたバリューチェーン事業の拡大によって収益力向上をめざす。
いっぽう、構造転換ではコスト競争力の強化に加え、事業規模に応じた損益分岐点の最適化、AIやDXの活用による生産性向上を推進し、柔軟性と強靭性を兼ね備えた収益体質の構築に取り組む。
三菱自動車の新中長期ビジョン
◆『パジェロ』投入、6年間で13車種を展開
商品戦略では、アセアン向け商品群とオフロード商品群に経営資源を集中する。
同社は三菱自動車ブランドを象徴する『パジェロ』を2026年度中に投入するとともに、将来に向けたシリーズ展開を進める方針だ。また、今後6年間で13車種を投入し、商品ラインナップの強化を図る。
さらに、価値訴求を進化させる「収益アップ戦略2.0」を推進する。
地域戦略では、成長が著しいフィリピン、ベトナム、日本を重点国と位置付け、成長投資を重点配分する。加えて、市場ポテンシャルの高い中東や中南米では、ブランド力を活用しながら事業拡大を進める。
新車販売に加え、中古車販売、販売金融、アフターサービス、用品販売などのバリューチェーン事業も強化し、車両1台当たりの収益最大化をめざす。
三菱自動車の新中長期ビジョン◆2029年度に営業利益1600億円、4年間で1兆円投資
構造転換では、部品やコンポーネントの共用最適化、グローバル調達戦略の推進によりコスト競争力を強化する。さらに、生産能力や固定費構造の見直しを進め、損益分岐点の最適化を図る。
また、既存および新規のアライアンスや協業を活用し、不足する商品ラインナップを補完することで成長を加速させる考えだ。
こうした取り組みにより、2029年度には営業利益1600億円、営業利益率4.5%、ROE10%の達成を目標とする。さらに2030年度以降には営業利益2000~2500億円、営業利益率5.5%以上、ROE12%以上をめざす。
投資面では、2029年度までの4年間で約1兆円の成長投資を実施する計画だ。あわせて総額1000億円規模の株主還元も行う。
三菱自動車は、新中長期ビジョンの着実な実行を通じてブランド価値の向上と収益基盤の強化を進め、持続的な企業価値向上をめざすとしている。




