こんなところ走るの? 東京メトロ「冒険列車」に乗った!…車庫発着、留置線や連絡線を走行

夢の冒険列車 ルート銀丸
夢の冒険列車 ルート銀丸全 21 枚

地下鉄に車庫で乗車し、営業列車では行かない引き込み線や、通らない連絡線を経由して、また車庫で下車する、貴重な経路のイベント列車が東京地下鉄東京メトロ)で運行された。

【画像全21枚】

東京メトロは5月30日に、東武トップツアーズと共同企画で、銀座線で運行する1000系レトロ仕様車を用いたイベント列車「夢の冒険列車 ルート銀丸」を運行した。

●電車乗務員らが企画

イベント列車は、現役の銀座線乗務員が中心となって企画した特別列車だ。「お客様により一層お楽しみいただける体験をご提供したい」という想いから、通常では体験できない運行ルートや演出を通じて、鉄道の魅力を楽しめる内容としたという。

当日は、銀座線・上野駅最寄りの上野車両基地から丸ノ内線・中野富士見町駅最寄りの中野車両基地をめざす「銀丸壱号コース」と、中野車両基地から銀座線の“幻の新橋駅”をめざす「銀丸弐号コース」の、2コースが用意され、記者は銀丸壱号に乗車した。「銀丸」は銀座線と丸ノ内線との直通を意味する。出発と到着以外、詳細な経路は事前に明かされていない。ゆえに「冒険」だ。

地下鉄開通当時(1927年)の復刻制服地下鉄開通当時(1927年)の復刻制服

●上野車両基地から出発

イベント列車は地上にある上野車両基地から出発した。直後、日本で唯一の地下鉄の踏切を通る。両側では東京メトロ職員が手を振ってお見送り。急勾配を下って地下に降りたところで停車、銀座線の本線に合流するのではなく、後退を始めた。上野車両基地は地下と合わせて2層になっており、イベント列車は地下の留置線に入線した。いきなりレアな体験だ。

イベント列車は再び進行方向を変え、銀座線の本線に合流する。合流・分岐地点は上野駅の浅草寄りで、車両基地からの線路は渋谷向きに合流する配線だ。ところがイベント列車は渋谷行き線路に入線せず、浅草行き線路を逆行して、上野駅に到着した。イベント列車なのでドアの開閉はない。

上野車両基地、地下留置線上野車両基地、地下留置線

●浅草駅の奥の奥

イベント列車は上野駅で三たび進行方向変えると、浅草駅に向かった。途中駅は全て通過だ。通過するから速いかといえばそうでもなく、追い越し設備のない銀座線では、先行列車につかえて徐行することがしばしばだ。

浅草は旅客営業区間の終点だが、イベント列車はさらに奥の留置線に進入する。進行方向で2編成が縦列停車できる長さがあり、都合5編成が止められる。東京メトロ職員が、駅寄りの留置線を「奥の留置線」、その奥を「奥の奥の留置線」と呼んでいるのがおかしい。松屋デパートの隅田川側の道路の地下になる。留置線で携帯電話は圏外だ。

●昔の銀座線は車内灯が消えていた

4回目の方向転換を終えてイベント列車は中野車両基地をめざす。1000系レトロ仕様車の車内には、銀座線の旧1000形車両を模した予備灯があり、旧型車が、電気供給セクションの境界通過時に一時的に暗くなる現象を再現している。

溜池山王駅でイベント列車は一時停止。次の赤坂見附駅手前で、連絡線を通って丸ノ内線に転線する。赤坂見附駅の溜池山王寄りには、銀座線・浅草方面と丸ノ内線・中野富士見町方面とを連絡する線路があり、銀座線車両が中野車両基地で修繕する際や、今回のようなイベント列車で使われる。なお丸ノ内線車両は銀座線車両より大型なので、丸ノ内線車両が銀座線を走行することはない。

01系01系

●01系保存車両と並ぶ

中野富士見町を出てすぐ、車庫への引き込み線が分岐、イベント列車は急勾配を登って地上に出ると中野車両基地に到着した。9時38分に上野車両基地を出発し、11時27分に到着。中野車両基地では、乗車してきた1000系レトロ仕様車と、1000系の1世代前の主力車両ですでに引退した01系保存車両とを並べた、車両撮影を楽んだ。

銀丸弐号は中野車両基地を出発し、1939年1月から9月までの約8か月間しか使用されなかった新橋駅の“幻のホーム”へ降り立ち、見学できるコースだった。

1000系レトロ仕様1000系レトロ仕様

●1000系レトロ仕様で何かできないか

東京メトロ鉄道本部運転部、浅草車掌事務室の江口直人常務助役は、今回の企画について「せっかくレトロ車両という良いものがあるから、何かに使いたい、そういった気持ちから発展した」という。また浅草車掌事務室の山田真大朗2級車掌は「乗務員が中心となって企画を考え、進めてきた。この日を迎えられたことが嬉しい。そしてお客様が楽しんでいる様子を確認できたので、ほっとしている。これからも企画が続くので、さらにお客様に楽しんでもらえるよう頑張りたい」と語った。

ツアー参加人数は、壱号が102人、弐号が募集時点で100人。ツアー代金(消費税込み)は壱号が大人・子ども同額2万5000円、弐号が大人5000円となっている。壱号はやや高額設定で、そのためか参加者はほぼ中高年だった。興味深い貴重な体験のできるツアーだったが、記者がいちばん興奮したのは、イベント列車が上野を後にして、普段は通過しない稲荷町駅を通過した時だった。

《高木啓》

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