5月21日に発売となった新型マツダ『CX-5』。毛籠勝弘社長も「マツダの自信作」と胸を張るが、シャシーはキャリーオーバー。日本で人気だったディーゼルエンジンは廃止され、2.5Lのマイルドハイブリッド仕様になるなど、フルモデルチェンジでありながら進化ではなく熟成を選んだ(※独自のフルハイブリッド仕様は2027年投入予定)。
マツダのグローバル販売の28%を占め、日本でも25%の構成比率を誇る主力モデルだけに、大きな失敗はできないのもあるのだろう。新型では、これまで評価されてきた「魂動デザイン」や「人馬一体の走り」などは踏襲しながら、ユーザーの使い勝手に徹底的に寄り添う戦略をとる。
そんな新型CX-5には、マツダならではの地味だけど凄い、細かな気配りや機能が満載されていた。
◆「視界」が違う、新型CX-5のこだわり

細かなアップデートの1つが、安全性の向上だ。「クルージング&トラフィック・サポート」や「プロアクティブ・ドライビング・アシスト」、「360度ビューモニター」といった先進安全装備の採用に目が行きがちだが、実はもっと根本の「視界」も大幅に改善しているという。
新型CX-5では、Aピラーの細径化(片側-9mm)やリアクォーターウィンドウの大型化で視界を広げつつ、ボンネットの左右の峰をわずかに立たせることで車両感覚の掴みやすさも高めているそうだ。
新型CX-5の開発主査を務めた山口浩一郎氏は「Aピラーは衝突安全性の確保のためにもかなり重要な部分。新型は、1310MPaという超高張力鋼板をAピラーのインナーとアウターに使用することで、細くしながら強度も出している。さらに、フロントガラス下端の角Rをできるだけ小さくして、ボンネットの稜線を手前まで見せることにもこだわった」と述べる。
さらに山口氏は、視界確保のためにワイパーにも秘密があると話す。

「雨の日の視界を大事にしたいので、今回トルクセンシング式のワイパーを採用した。ガラスの抵抗を測り、雨の日でも端までピタリと止まるよう、ワイパーの位置をコントロールする制御を入れている。(マツダの)他のクルマにも同様の制御を入れているものもあるが、ここまではっきり効果が出ているのは、角Rを小さくしたから」(山口氏)
山口氏によると、単純なリンク式の場合、雨などで摩擦抵抗が低くなるとAピラーにワイパーが当たってしまうそうで、普通のクルマはそれを嫌いどうしても拭き残しができてしまうそうだ。
特にCX-5は、雨の中でも200km/h近い速度で走る欧州も主戦場。トルクセンシングの効果はかなり大きいそうで、実際にデモ動画を見ると、制御の有無で拭き残しの違いは明らか。購入してからではないと気付きにくい点だが、買った後の満足度と安全性に大きく効いてくるのは間違いない。
◆「ドアの開閉」に込めた制御と“和太鼓の原理”

さらに新型CX-5では、NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)も改善点の1つ。風切り音の低減や、吸音材の最適配置により高い静粛性を実現しているという。
山口氏は「(NVH低減のために)ドアのシールを強化して、音の通り道である穴も徹底的に塞いだ。ただ悪いことが1つある」と述べる。



